はい、レニーですが

2019年1月11日

Kaspersky Dailyでは、電話詐欺についてたびたび取り上げてきました。PCがマルウェアに感染していると脅してサービス料を払わせようとする偽のMicrosoftサポート担当者の話や、あなたの息子が事故を起こしたと連絡してくる偽の警察官の話…こういった電話は、詐欺に引っかかっても引っかからなくても嫌なものです。

Chaos Communication Congress(35C3)で、そうした電話詐欺の問題に対処する驚くべき解決策「Meet Lenny」に関する発表を聞くことができました(英語動画)。 

レニー(Lenny)は、電話をかけてきた人の話が途切れたところでせりふを1つずつ読み上げるだけの、朴訥な話し方をするチャットボットです。高齢の声優が録音したせりふが数分間ぶんストックされていて、最後のせりふを読み上げてしまうと、また初めから繰り返すようになっています。それでもとてもリアルに聞こえるので、勧誘電話をかけてきた人は、レニーに向かって何十分でも話し続けます。

どうして話をやめられないのでしょう。レニーは電話でよく使われるフレーズを使います。「すみません、よく聞こえないのですが」、「もしもし、聞こえていますか」、「えぇ、そうですね」といった、どんな話題にもフィットする言葉です。そうかと思うと、元の用件とまったく関係のない話題(家族の話など)に巧妙にするりと替えてしまい、電話してきた詐欺師や勧誘の人はみんなそのおしゃべりを聞いてしまうのです。レニーがどんな会話をするのか、聞いてみてください。

レニーの作者は不明ですが、人間の本質をとてもよく理解した人であるのは確かです。レニーは、勧誘電話や詐欺への対抗手段として驚きの効果を発揮します。レニーとの会話の動画(英語)はYouTubeに多数あります。どれもとても面白く、一番長いものは1時間近く(英語)もあります。ちょっと想像してみてください。生きた人間がレニーに話しかけ、説得しようとしている相手が録音された音声だとは気づきもせず、40分以上も会話を続けているわけです。しかも、いつもより長く。おかげでその日、その人からの勧誘電話を受けるかもしれなかった大勢の人々が勧誘を受けずに済んだのではないでしょうか。

35C3での発表で、Eurecom(英語)のメルヴェ・シャヒン(Merve Sahin)氏とオーレリアン・フランシロン(Aurélien Francillon)氏は、レニーに関する数百ものYouTube動画から集めたデータを、電話をかけた人のタイプ別に分類して提示しました。通話の平均時間は、全タイプで10分強ほどであることが明らかになりました。録音を1.7回再生するのに十分な長さです。

勧誘電話の場合はレニーとの会話が12分程度続くのが標準的で、詐欺の場合は約7分でした。レニーのおしゃべりを十分に聞いてみたなら、この年老いたチャットボットとの会話を7分続けただけでも、その日一日ばかばかしい気分になること請け合いなのが分かると思います。詐欺師には当然の報いです。

両氏はまた、詐欺師は勧誘電話をかける人と違ってかなり頻繁に悪態をつく傾向がある(全通話の約10%)と指摘しています。それだけでなく、罪もないレニーに対して腹を立てるまでの時間も短い結果となっています。幸い、レニーはまったく気にしませんが。興味深いことに、レニーが録音またはボットであると明確に気づくのはわずか5%です。勧誘電話の多くが実際の人間ではないことに気づかないまま電話を切ってしまうとは、これもまた笑わずにいられません。

レニーは数個の音声ファイルと4種類のコードで成り立っていますが、残念ながら自分で設定するのはかなり困難です。まず、AsteriskまたはFreeswitch(英語)を使ってVoIPサーバーを設定する必要があります。無料ではありますが、ITスキルがかなり求められます。ここにレニーをインストールし、音声ファイルをコピーし、コードを正しい場所にコピー&ペーストします。試してみたいなら、必要な情報はYouTubeにあります。Crosstalk SolutionのChris氏が、FreePBXを使用したレニーのインストール方法を動画で説明していますので参考になります(英語)。FreePBXは、Asterisk向けのグラフィカルインターフェイスです。

最後にもう1つ、レニーの動画を紹介してからお別れしましょう。レニー最高!