南極からの便り

2017年3月25日

今日の天気は、どうだろうか?暖かい晴天?こちらも、暖かい。キャビンから出なければの話だが。

我々がどこにいるのか、おわかりだろうか?南極周辺の海上だ。サイエンスとアートにちょっとした苦行をミックスした旅をしている。我々の乗る船、全長117mのアカデミック・セルゲイ・ヴァヴィノフ(Academik Sergey Vavilov)号は、アルゼンチンのティエラデルフエゴにあるウシュアイアの港を発ち、南に向かっている。

南というと暖かそうに聞こえるが、実際にはそうではない。我々はこれから南極圏に入り、南極大陸近海の島々の海岸に立ち寄った後、いよいよ南極の氷を踏み、その後ホーン岬へ向かうのだ。それからようやく帰途に就く。

我々がここにいるのは、海水浴と日光浴極寒の南極の風景を楽しむためだけではない。やるべき仕事があるのだ。そう、南極ビエンナーレだ。アーティストや詩人など芸術分野の人々が集まり、未来学者や科学者といったテクノロジー分野の人々と交流する。それも南極という場所で…そう、南極はまさに、他と違うもの、他に類を見ないようなもの、まさにこれだ、というようなものを作り出すインスピレーションを得るのに最適な場所と言えるだろう。

ここでの環境は、言ってみればスパルタ式だ。100MBのデータ通信が使える衛星電話が、1団体につき1台あてがわれるだけだ。だから写真を送るのは諦める、そんな我々ではない!これから、目についたものをどんどん撮影して、低帯域の衛星データ回線で本土に送れる限りのものをその場で投稿してみようと思う。だから、この投稿は下から上に読むのが正しい。まず一番下までスクロールして、そこからスタートだ。

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南極ビエンナーレが他と違っているのは、現代美術を主題とするだけでなく、哲学的な討論会や科学的なディスカッションも取り入れていることだ。主催者の狙いは、まさにそこにある。参加者たちは「混ざり合うのではなく、結びつく」ことで、分野を越えた独自のプロジェクトを作り上げる。このやり方なら、さまざまな物事を多角的に捉え、多様な意見を認められるようになる。そして、新たな物事や考えを呼び起こしてくれる。

ウシュアイアへ帰還する旅の中で、我々はまさにそれを実践した。プロジェクトやプロジェクトの成果に関して意見を交わし、未来を予測し、空想し、計画を立てた。

かなり危険(だが、とてつもなく美しい)景色に囲まれながら船上で過ごした11日間は、グループを結束させるのに十分だ。我々はすっかり満足しているし、誰もが別れを告げることにさみしさを感じている。だが、この悲しみは、イベントが成功したことの何よりの証拠ではないか?

実は、南極ビエンナーレは、まだ終わっていない。展示したり参加したり、もっと面白いことがまだまだある。展示会あり、カンファレンスあり、本もあれば、映画もある。この先もお見逃しなく!

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天気の方も、ようやく勘弁してやってもよいという気分になったらしい。周囲には驚くほど美しい風景が拡がっている。ここがパラダイス湾と呼ばれるのも故なきことではない。

この天気のおかげで、1日で多くのことができた。たとえば、我らがリーダーのアレクサンダー・ポノマレフによる展示だ。甲板で組み立てるのには数日かかったが、今や、ついに海面に浮いている。この展示物を簡単に説明すると… いや、簡単には説明できない。複雑なのだ。見た目は3つの球状の構成物から成るシャンデリアの下にランプが1つ付いている感じで、すべてが海中につり下げられている。シャンデリア部は海面からランプへ光を誘導するように設計されていて、これによって輝くランプが南極の動植物を楽しませる…少なくとも、楽しんでくれたことを願う。この展示は、彼らにインスピレーションを与えることを目的としている。

さて、昨日の展示も2つほどご紹介しよう。いずれも自然を大切にすることと関連している。まず1つめ。ショウ・ハセガワ氏による南極氷面でのアイススケートだ。彼が履くスケート靴は電気エネルギーを生む。彼はまたライトペンを手にしていて、充電すれば使えるようになっている。さあ、どうやって充電するかわかるかな?スケートだ!続いて2つめ。空に浮いて太陽エネルギーを吸収する黒いピラミッド状のもの。これは、自然に害を及ぼすことなく、宙に浮いてさまざまなものに電力を供給する。南極以外でも用途が見付かることだろう。スケート靴と黒いピラミッドを十分に調達できればだが。

もちろん、我らがグリーンベアのことを忘れてはならない。グリーンベアはグリーンベア自身が展示物であり、同時に、他の展示に参加することもできる…誰かがハグしようとしたり一緒に自撮りしようとしたりするのが途切れる一瞬の隙であれば。この緑色のクマは、大変な人気者なのだ。

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ショーは続く。

そしてグリーンベアは南極探検に乗り出した。

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午前7:00。起床時刻だ。アラームが鳴る代わりに「おはようございます、ビエンナーレ!」というアナウンスが大音量で鳴り響く。旅が始まって初めての晴天だったので、南極の日の出を目の当たりにした。見事な眺めだ。歌一曲、とまではいかなくても、少なくともひとつの展示に値する。ホアキン・ファルガス(Joaquin Fargas)氏が氷上に設置するアルミ箔は、陽光を受けてキラキラと輝きを放った。

写真の展示会が開かれ、地元のペンギンたちが招かれた。どうやらお気に召したようだ。シャマ・ラーマン(Shama Rahman)氏がシタールを奏でた – ペンギンたちのために、それから我々のために。想像力をかき立てられる音色だった、殊に、南極の氷のただ中にあるとあっては。ここでこのような演奏会が行われたことが、かつてあっただろうか?我々がやってくるよりも前に?

3月23
南へ南へと我々は進む。かつて英国の基地があったポート・ロックロイに留まる予定だったが、どうやら天候は許してくれなかったようだ。そこで我々は西のエレラ海峡へと移動し、クジラのダンスという類い希なものに遭遇した。たくさんの、たくさんの、それはたくさんのクジラだ。南極の海を十何年も航海してきた船長でさえ、こんなに数多くのクジラを一度に目にしたことはない、と言った。

我々はデザートに何かスピリチュアルなものを欲していた。そこで、ヤスアキ・イガラシ氏と一緒に漁網を準備した。彼が言うに、網は、それを綯う人々の記憶を結び合わせるのだそうだ。網は色とりどりの綱で作られている。これを空に投げれば、網を透かして新たな光の中に風景が見えることだろう。

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南極の風景を少しばかりお目に掛けよう。旅が進むにつれ、ペンギンや氷山や展示物がまだまだ登場する。

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南極は誰かのスケジュールのことなどお構いなしだ。昨日、本当の地面に足を着けるチャンスがあると思っていたのだが、かなわなかった。天候が悪くて港に着岸できなかったのと、巨大な氷山が立ちはだかっていたのとで。そんなわけで、ピーターマン島のペンギンたちは、我々を歓迎するのを今日まで待たなくてはならなかった。しかも、島への上陸はすんなりいかず、何度もやり直すことになった。

島の住民が総出で我々を迎えてくれた…ジェンツーペンギンとミナミゾウアザラシだ。それに、クジラまで何頭か船の近くに現れた。おそらく、アートに興味があったのだろう。我々は彼らのために3点の展示物を用意していた。ここで、我らがミッション「Save the World」が発動した。ロボット「Glaciator」が旅をスタートさせたのだ。このロボットは、古代のウイルスが目覚めて海に飛び込むことがないように、雪を圧縮する。

もちろん、プランやスケジュールが無に帰すことはない。別のプランがいくつもある。我々はルメール海峡を通過することになっていたが、そこは氷山でふさがれていた。しかも、迂回する経路はない。次の展示はルメール海峡の海岸に映像を映すというものだったが、プラン変更、この氷山に投影された。だが、もしかしたらむしろこちらの方が良かったかもしれない。この展示はアレクシス・アナスタシウ(Alexis Anastasiou)によるもの。彼はブラジル人で、アーティストで、いつも感じのいい男だ。

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つい先ほど南極圏に入った!そして最初の氷山を見た。これから2時間ほどで最初の寄港地である氷の島に上陸し、散歩を楽しむ予定だ。

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ドレーク海峡をちょうど抜けたところだ。波の高さ15m、風速毎秒35メートルというのはここではよくあることらしいが、我々にとってはまったく新しい体験だった。あたり一面、穏やかで静かで、問題は視界ゼロということだけ。

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ところで、この緑色のクマは、ここに来るまでにすでに多くの冒険をしてきた。まず、2頭のクマが故郷の日本から送られて来たが、ロシアの税関で足止めを食らってしまった。そこで第3のクマがパリへ行った。パリでは、これは飛行機に乗らないのではないかと心配したエールフランス航空の職員が、何度も何度もクマのサイズを測った。まあ、その辺りは想定済みで、預けられる荷物のサイズにきっちり合わせて梱包してあったのだが。そういうわけで、クマは今ここにいる。いろいろあったが、とにかくこの子は南極の風景を見られることになった。

3月17日
いざ出発!アカデミック・セルゲイ・ヴァヴィロフ号と100名ほどの仲間たちはつい先ほどウシュアイアの港を発ち、南に向かっている。南極の氷という底知れない深淵へと、まっしぐらに。素晴らしい一団だ。皆、話し好きで、独創的で、そして時に風変わりで。それでこそ科学者、未来学者、アーティストというものだ。そしてもちろん、緑色のクマも一緒だ。この後しばらく、普通のカメラで写真を撮って普通のデータ通信で送信することはできなくなるので、今のうちに思う存分楽しむことにする。