ミッション・ポッシブル:ネット上のトラッキングツールを回避するには

2019年5月10日

誰もがオンラインで監視されている。これは周知の事実です。自動車の車種をGoogleで検索したり、ネコの写真に「いいね」したりすれば、行く先々のWebサイトで、自動車やペットショップの広告がやたらと表示されるようになります。Cambridge Analyticaのスキャンダルの件も、記憶に新しいのではないでしょうか。

オンラインプライバシー(または、その欠如)について人々がどう考えているのかを知るため、私たちは21か国、約1万2,000人を対象に調査を実施しました。その結果、半数を超える人(56%)が、オンライントラッキングから完全に身を守ることはできないと思っている(英語記事)ことが明らかになりました。これはある意味で正しいのですが、第三者による個人情報へのアクセスをできるだけ制限することは可能ですし、必要なことでもあります。そして、さほど難しいことではありません。この記事では、オンラインプライバシーの保護に役立つツールについて説明します。

ブラウザーの一時ファイルを削除する

ブラウザーは、あなたがアクセスしたWebサイトに関するさまざまな情報をコンピューターに保存します。

  • キャッシュ。画像などのWebデータが保存されたストレージです。いったん保存されたデータは、サーバーから再度ダウンロードしなくてよいため、ページの応答時間が速くなります。
  • Cookie。さまざまな機能を持つ小さなファイルです。特に、Webサイトにあなたのデバイスを記憶させ、ブラウザーが閉じられてもログイン状態を維持するのに使われます。
  • Webサイトの閲覧履歴。

こういった情報の大部分はトラッキングツールに筒抜けで、あなたがどんなWebサイトにアクセスしたか、何に興味を持っているかを特定するのに使用されます。このような情報を定期的に削除すれば、トラッキングツールによるプロファイリングを妨げることができます。削除手順については、それぞれリンク先をご覧ください。

なお、一時データを必ずしも手作業で削除する必要はありません。多くのブラウザーでは、Cookieの自動削除を設定できます。設定手順については、各ブラウザーのヘルプページをご覧ください。

ただし、一時データを削除すると、保存されていたWebサイトのログイン情報が消えてしまうので、再度アクセスしたときに改めてログインする必要があります。

ある程度の個人情報(たとえば、オンラインフォームに入力する名前など)をWebサイトに記憶させておきたい場合は、多少譲歩して、サードパーティのCookie(ほぼトラッキングの用途で使用されるタイプのCookie)だけを使用禁止にすることもできます。詳しくは、それぞれリンク先をご覧ください。

シークレットモードを使用する

設定をあれこれいじりたくない場合や、閲覧履歴をすべて隠す必要はなくて個々のWebサイトへのアクセスだけトラッキングされないようにしたい場合には、シークレットモードを使うとよいでしょう。このモードを使うと、アクセスしたページ、Cookie、パスワードなどに関する情報が保存されません。一方、シークレットタブが通常のタブの使用を妨げることはなく、ブラウザーに保存済みの情報が削除されることもありません。

シークレットモードに切り替えるには、設定メニューにアクセスします。メニュー項目はブラウザーのバージョンによって多少異なる場合があります。

  • Chromeの場合:設定メニュー(3つの点のアイコン)から[新しいシークレット ウインドウ]を選択
  • Edgeの場合:[ツール]メニューから[新しいInPrivateウィンドウ]を選択
  • Firefoxの場合:設定メニュー(3本線のアイコン)から[新規プライベートウィンドウ]を選択
  • Safariの場合:[ファイル]メニューから[新規プライベートウィンドウ]を選択
  • Operaの場合:設定メニュー(Operaのアイコン)から[新しいプライベートウィンドウ]を選択

ただし、Cookieやブラウザーデータの全消去もそうですが、シークレットモードでも、特定Webサイトでのデータのぞき見を阻止することはできません。また、シークレットモードを使っているからといって、あなたのIPアドレスが隠されるわけではなく、あなたが利用するネットワークへのアクセス権を持つ人からあなたが見えなくなるわけでもありません。

ブラウザーを賢く選択する

プライバシーを保護する方法は、ブラウザーによって異なります。最も使われているブラウザーであるGoogle Chromeは、アドレスバーに入力した内容を含め、利用者に関するあらゆるデータを収集します。さらに、既定の設定のままだと、トラッキングCookieなど利用者の行動を追跡するツールも動作します。しかし、主要なブラウザーのポリシーはさまざまです。

Mozilla Firefoxの場合

Mozillaは、プライバシー保護を重視しています(英語記事)。Mozilla Firefoxのプライベートブラウジングでは、既定の設定のままでも既知のトラッキングツールがブロックされますし、通常のセッションでもトラッキングツールのブロックを有効化できます。もちろん、これだけであらゆる個人情報収集手段から保護されはしませんが、収集されるデータ量は大幅に削減されますし、ページの読み込み時間も速くなります。

ちなみにMozillaは、モバイルデバイス向けにプライベートブラウザー「Firefox Focus」を提供しています。このブラウザーは、トラッキングツールをブロックするだけでなく、[消去]ボタンをタップするだけで、アクセスしたWebサイトで収集されたデータをすべて消去することもできます。

Safariの場合

2018年夏以来、Safariはデジタルフィンガープリント(システム情報、使用しているブラウザーやプラグイン、タイムゾーン、エンコーディングなど)の収集を阻止しています。こうしたフィンガープリントは固有性がとても高いので、あなたが一時データを定期的にすべて削除していたとしても、フィンガープリントによってあなたを特定するのは容易です。

Safariは、Webサイトに対して匿名のシステム情報を示すことで、あなたのデバイスをその他デバイスと見分けられないようにしています。また、Webサイトに仕込まれたSNSウィジェットなど、さまざまなトラッキングツールを経由した監視をブロックするためのツールも備えています。

Torなどのプライベートブラウザーの場合

Tor(英語)は、トラッキングに対して最も安全なブラウザーと考えられています。いわゆる「オニオンルーター」のネットワーク全体の上位構造の一種で、IPアドレスを隠し、どこからアクセスを受けているのかWebサイトが判断できないようにします。利用者のリクエストは、オニオンルーターを少なくとも3つ通過しますが、データは最後のルーターに達するまで暗号化されたままです。ここにTorの一番の欠点があります。リクエスト詳細を見られるのは最後のルーターの所有者なのですが、それが誰なのか判断できないのです。Torには、たとえば閲覧速度が大幅に遅くなるなどの欠点がほかにもあり(英語)、一般のPC利用者にはお勧めしません。

この他にも、Epic Privacy BrowserSRWare Iron BrowserBraveDoobleなど、程度の差はありますが、オンライントラッキングに対する保護を提供するブラウザーがあります(リンク先はいずれも英語サイト)。ただし、このようなブラウザーを試してみるにあたっては、ブラウザーの知名度が低いほど、普段よくアクセスするWebサイトとの互換性がない可能性が高く、利用できるプラグインの数も少ない、という点を念頭においてほしいと思います。

プライベート検索エンジンを使用する

信頼できるブラウザーを使っていても、検索エンジンはあなたの監視を続けることができます。GoogleやBingやYahooに入力した検索クエリは、これら企業のアーカイブに保存されます。しかし、検索クエリを記録しない検索エンジンもあります。

最も有名なのはDuckDuckGoです。この検索エンジンは、検索履歴やデバイスデータを保存しませんし、利用者に関する情報を広告ネットワークに転送することもありません。また、独自のインデックスを保持しているだけでなく、100を超えるシステムからの検索結果を(これらシステムには誰が何を検索したのか知らせることなく)返します。

StartPage(英語)という検索エンジンは、Googleでの検索結果を使用します。同エンジンの開発元は、利用者のデータを提供しない代償として、Googleに検索料金を支払っています。また、StartPageでも、検索結果から匿名でWebサイトを開くことができます。

このほか、SwisscowsGibiru(リンク先はいずれも英語)のように、独自のアルゴリズムのみを使用するプライベート検索エンジンもあります。

トラッキングツールをブロックする

このほか、特別なプログラムや拡張機能の助けを借りる方法もあります。たとえば、著名な広告ブロッカーAdBlock Plusは、SNSによる利用者のアクションのトラッキングを阻止します(ブラウザーの設定内でこの機能を有効化する必要があります)。また、既定でブロックするトラッキングツールの一覧を拡張することも可能です。

拡張機能のDisconnectuBlock originGhostery(以上はいずれも英語サイト)、uMatrix は、特別な設定をしなくてもトラッキングツールやSNSによる偵察行為をブロックします。

DuckDuckGoの開発元(英語)も、トラッキングツールを無効化する独自の拡張機能を開発しました。また、AndroidやiOSモバイルデバイス向けに、独自のプライベートブラウザー(英語)も提供しています。

Firefoxを使っているなら、Facebook Containerがあります。この拡張機能は、Facebookが別のWebサイトであなたに関するデータを収集する能力を鈍らせます。この機能を使っていても、Facebookはあなたの投稿や「いいね」をトラッキングできますが、インターネット上のあらゆるところであなたを付け回すことはありません。ただし、これはFirefoxにしかない拡張機能です。

Kaspersky Labの製品にも、強力なトラッキング対策機能があります。カスペルスキー セキュリティをお使いの場合は、Webトラッキング防止機能によって、つきまとうWebサイトに対抗することができます。

VPNを使って、スパイの目をくらます

しつこいトラッキングの回避には、VPN接続を使うこともできます。VPNサーバーは、あなたのIPアドレスの代わりに独自のIPアドレスを使います。このアドレスは接続ごとに変化するので、Webサイトはあなたの居場所を追跡できませんし、(アカウントにログインしない限り)あなたの行動とアカウントを関連づけることもできません。

さらに、VPNは送出したデータを暗号化し、ISPがあなたのオンライン活動を監視できないようにします(プロバイダーもスパイ活動に参加しているのです)。

ただしVPNは、SNS、検索エンジン、トラッキングツールなどによる情報収集にから完全に守ってくれるわけではありません。したがって、これまでに説明した手段と併用してください。

希望はある

見てきたように、トラッキングに関して楽観的になる理由はあります。使用すべきツールが分かっていれば、GoogleやFacebookなどの目から逃れることは十分に可能です。Kaspersky Dailyでは、この記事以外でも、プライバシーに関するヒントを紹介しています。併せてご覧ください。