バーニングマンで儲けようとする詐欺師たち

米国の著名なイベント「バーニングマン」は、チケットの入手が難しいことで知られています。そんなプラチナチケットを、慌てなくても安く買えるとうたう詐欺について。

毎年8月下旬または9月上旬、8日間にわたって開催される一大アートイベント、バーニングマン(Burning Man)。巨大なアート作品、観る者を魅了するパフォーマンス、そして独特なイベントの雰囲気が多くの人を引きつけ、世界中から何万という人々が米国ネバダ州のブラックロック砂漠に集結します。

バーニングマンのチケットはプラチナ級

バーニングマンへの参加は、簡単にはいきません。チケットの数は限られていて、近年は需要が供給を大きく上回っています。そのため、チケットがいちどきに売り切れてしまわないように、主催者はチケットを段階的に売り出しています。

チケットを買うのも、段階を踏まねばなりません。まずはアカウントを作成し、どの販売ステージで購入するかをあらかじめ登録する必要があります。たとえば、この記事を執筆している2月下旬時点では、芸術作品の出展やショーの開催などイベントの重要部分への参加を希望するクリエイターと、低所得の参加者(低所得者であることの証明が必要)を対象とした登録が進行中です。これに該当しない人は3月まで待たなければなりません。

期日内に登録したら、数日ほどでチケットと車両許可証を購入できるようになりますが、ぼんやりしているとチケットはすぐに売り切れてしまいます。次の発売開始までさらに1か月、またはそれ以上待たなければなりません。しかし、そこでも買える保証はないのです。

現地への移動と滞在についても、入念に計画する必要があります。このイベントは砂漠で開催されるので、必要なものはすべて自分で持って行かなければなりません。芸術作品と並んで写真を撮るのだったら、それなりに服装やコスチュームをそろえたいところです。また、イベント会場は徒歩で回るには広すぎる上、自動車は停めたままにしなければならないので、移動手段も考えなければなりません。米国以外の場所に住んでいる場合は、飛行機のチケットやビザの調達も必要です。

できるだけ早くバーニングマンのチケットを手に入れようと、人々が躍起になるのも当然です。

バーニングマンの偽チケット

当然ながら、バーニングマンは、詐欺を働く人々が注目するイベントでもあります。チケットが高額だとあれば、なおさらです。たとえば、今年の価格は475ドルですが、作品を出展しない人が一般発売より前にチケットを手に入れようとすると、価格は1,400ドルに跳ね上がります。低所得者枠は、車両許可証代を含まずに210ドルです。

バーニングマンの公式Webサイトには、ダフ屋や詐欺師にだまされないための注意書きが掲載されています(英語)。しかし、これは第三者と取引する場合の注意事項です。Kasperskyは先日、イベントの主催者を装う詐欺を発見しました。

公式サイトのメインページ

公式サイトのメインページ

詐欺に使われる偽のWebサイトは非常によくできていて、慣れていない人の目には本物に見えます。本物のバーニングマンの公式Webサイトと同じ色、同じフォント、同じデザイン要素が使われており、URLにはイベントの名前である「burningman」の文字列が使われています。このURLだけでも、こうした詐欺についての知識がない人を信頼させるには十分かもしれません。

偽サイトのメインページ

偽サイトのメインページ

偽サイトのチケット情報セクションも本物そっくりに作られていますが、多少変更が加えられています。たとえば本物のサイトでは、チケットを購入するには自分のアカウントを使って販売ステージに登録しなければならないと明記されていますが、偽サイトにはこの部分がありません。むしろ反対に、指定のリンクをクリックすればそこでチケットを購入できると書かれています。

偽サイトのチケット情報

偽サイトのチケット情報

さらには、チケット購入希望者を急がせるため、チケットの残りはわずか300枚である、次回発売は1か月後、価格は今より高くなる、と煽っています。この文面では150%の「メリットを保証」を約束していますが、その「メリット」が何であるかは読み手の想像に委ねられています。

提示されているリンクをクリックすると、注文フォームが開きます。そこに個人情報をいくつか入力し、225ドルを支払えば、プラチナチケットが手に入る…かのように見えます。

偽サイトの注文フォーム

偽サイトの注文フォーム

しかし、お察しのとおり、そのようなチケットは存在しません。

オンライン詐欺の見分け方

バーニングマンに限らず、著名なイベントの偽チケットをつかまされないためには、目の前にあるものをすぐには信じないように心がけたいものです。どのような場合でも、オンラインで決済する前に、そのWebサイトを本当に信頼してよいかどうか確認しましょう。

  • Webサイトの内容を、注意して見てみましょう。偽サイトでは、Webサイトの重要な要素(ホームページ、チケット販売セクション、総合案内)については忠実に再現してある一方で、それ以外の細かいところは無視されていることが多いものです。一般的に、バーニングマンのような大規模イベントの公式Webサイトには、主要なページのほかにイベントの成り立ち、協賛企業の募集、プレスリリース、過去イベントのアーカイブなど、さまざまなコンテンツがあります。
  • 期間限定の漠然とした「保証」や「メリット」をちらつかせて買い手にプレッシャーをかけるようなWebサイトの場合、さらに怪しいと考えましょう。バーニングマンのような著名なイベントは、何度もチケットが売りきれるほどなのですから、そのような戦略に頼る必要はありません。
  • そのWebサイトに掲載されているチケット価格などの情報を、インターネットで検索してみましょう。それが偽サイトならば、誰かがすでにそのことを指摘しているかもしれません。また、検索結果の1ページ目には、公式価格が表示される可能性が高いはずです。
  • カスペルスキー セキュリティなどの信頼できるセキュリティ製品を使って、フィッシングやオンライン詐欺からの保護対策を講じましょう。
ヒント