デジタルテクノロジーに関する5つの神話

スマホは自分のアクティビティを常に追跡しているのではないか?シークレットモードなら自分のプライバシーは完全に確保される?今回のブログではデジタルテクノロジーに関するウソとホント、迷信を紐解きます。

Apple製品はウイルスに感染しない、公衆Wi-Fiへの接続は100%安全、スマホは常にユーザーの行動を監視している、シークレットモードを使用すると閲覧がバレない…など、世間にはサイバーセキュリティやテクノロジーに関する様々な憶測があります。当社は、1万人を対象に大規模な調査を実施し、代表的な5つのデジタル神話にまつわる謎を解明しました。

神話その1:チャットボットと人間を見分けるのは困難である

そう回答したのは、回答者全員のほぼ半数(47%)でした。一見、AIとのチャットを人間とのチャットと区別するのは難しいように思えるかもしれません。というのもボットは、チューリングテスト(どれだけ人間を模倣できるかのテスト)を通過しているからです。とはいえ、AIと人間とを見分けることは可能です。その方法を探るため、チャットボットを使ってみました。AI自身に、自分と人間がどう違うかを回答してもらった結果がこちらです。

  • チャットスタイル:ボットのコミュニケーションスタイルは、より形式的または機械的なものになりがちですが、人間は口語体や専門用語、より表現豊かな言葉を使用することができます。
  • 応答速度:ボットの応答はとても速く、一貫性があることが多いのですが、人間は考える時間を要すため、応答に時間がかかることがあります。
  • 限定的なトピック:ボットの知識には限界があるため、人間のように会話の文脈または微妙な表現を理解できないことがあります。

チャットボットによる応答は以上です。AIの応答で、何か気づいたことはありませんか?淡々とした内容で、繰り返しが多く、トピックからの逸脱は最小限です。その情報は的確で、人間の専門家なら誰でもほとんど同じことを言うでしょう。しかしその語り方は人によって異なり、教科書のように画一的ではありません。

神話その2:スマホはユーザーの行動を追跡する

回答者の3分の2(67%)は、スマホが常に位置情報を追跡していると信じています。まあ、こうした意見を持っていても法律に違反するわけではありません。ほとんどの場合、このような「追跡」を自発的に許可しているのは、ユーザー自身です。ユーザーは多くの場合、アプリに多数のアクセス権を渡し、アプリが開発者にデータを提供することを許可しています。データは少なくともマーケティング目的のために使用されるのですが(可能性は低いとはいえ)実際の監視に使用される場合もあるかもしれません。

スパイウェアのことも忘れてはいけません。正規のアプリを装いつつ、実は通話を録音したり、メッセージを読んだり、時にはユーザーの行動を追跡したりする悪質で小さなプログラムです。こうした悪質さこそが、私たちが67%のユーザー全員に、デバイスにスパイウェアがないことを確認するよう推奨する理由です。必要なのは、信頼性が高い保護機能をインストールするだけです。もちろん、ターミネーターのサラ・コナーが携帯電話の追跡から逃れるためにポテトチップスの空き袋に携帯電話を入れて持ち歩いたように一風変わった方法を試すのもいいでしょう。しかし、最近のチップスの袋で同じことができるかどうかは疑問です。

神話その3:機内モードは監視を防止できる

これも神話や迷信なのか?と、驚いた方もいるのではないでしょうか?回答者の28%以上が、対面での会話中にスマホの電源を切るか、または機内モードに切り替えていることが明らかになりました。さらに、26%は公共の場所ではいつもこの行動を取っているとのことです。断言しますが、機内モードに設定することはスパイ対策になりません。その理由は次の通りです。

感染したスマホがインターネットに接続していなくても、周囲の音を録音できるトロイの木馬は存在します。そして、機内モードをオフにするとすぐに、マルウェアは収集したデータを攻撃者のサーバーに転送します。たとえば、Operation Triangulationで使用されたトロイの木馬にはこの機能がありました。サイバースパイ対策として、より効果のある方法は、専用のセキュリティソリューションを導入することです。また、飛行中は機内モードをオンにしておきましょう

神話その4:公衆Wi-Fiは安全である

少なくとも世界中の回答者の39%がそう考えているようですが、パリ市内の公衆Wi-Fiのホットスポットに関する当社の調査結果を読むと、それは迷信であることは明らかです。オリンピック開催前の7月上旬、フランスの首都にあるWi-Fiホットスポット約25,000か所のセキュリティを分析したところ、実にその4分の1がセキュアでないことが判明しました。その多くは、時代遅れのセキュリティプロトコルで保護されていたのです。この結果は世界のどの都市でも同じです。たとえば、モスクワ、ベルリン、東京、サンパウロでも、状況はほとんど変わりません。

そのため、どうしても必要な場合を除き、公衆Wi-Fiへの接続は避けることをお勧めします。接続が必要な場合は次のことに注意してください。

  • 公衆Wi-Fiに接続している時はネットで買い物をしない。
  • 二要素認証なしで個人アカウントにログインしない。
  • 信頼性が高いVPNをデバイスで有効にすること。ノートPCの場合は、ファイアウォールも有効にする。
  • デバイス上でファイル共有とAirDropを無効にすること。

神話その5:シークレットモードを使用すると閲覧がバレない

調査の結果、10人中4人がそう考えていることがわかりました。しかしシークレットモードをオンにしても、ネット上のプライバシーが完全に秘匿されるわけではありません。もちろん、閲覧履歴を保存したり、閲覧したサイトで入力した情報を記憶したり、ブラウザーキャッシュにデータを保存したりすることはありません。言い換えれば、シークレットモードはデバイスに閲覧の痕跡を残しません。しかし、IPアドレスを隠すことはできないため、誰かがあなたの現在位置を突き止めることは可能です。また、サイトにログインしている場合、あなたの身元情報が露見する可能性もあります。

シークレットモードでのブラウジングは、デバイスに最小限の痕跡しか残したくない場合には最適です。たとえば、家族へのプレゼントを探す場合、特に家族全員が同じコンピューターとブラウザーを使用している場合などです。シークレットモードを使用することで、ブラウザーに行動を記録されたり、タイミングの悪いコンテキスト広告のせいでサプライズが台無しになったりすることがなくなります。シークレットモードですべきこと、してはいけないことに関するその他のヒントは、別の記事にまとめているのでご一読ください。

この5つ以外にも、検証すべき神話がたくさんあります

カスペルスキーの使命の1つは、サイバーセキュリティに関する知識や最新のテクノロジーを大衆向けになるべくわかりやすく解説することです。特に、当社のブログ「Kaspersky Dailyカスペルスキー公式ブログ 日本語版)」はそのためにあります。当社は、新しい技術脅威に関する様々な情報を皆様にお伝えします。また、いかなる巧妙な詐欺であろうとその仕組みを解説し、対応策を皆様にお伝えします。そして、デジタル世界のいかなる場所で流布されている神話や迷信であろうとも、それが間違いであることを証明し、正しい事実を伝えることに全力を尽くします。

しかし、この記事の内容はデジタル世界の氷山の一角に過ぎません。当社独自のレポートには、さらに驚く神話が満載です。この記事を家族や友人と共有し、こうした神話や迷信の打破にご協力いただけると幸いです。特に、サイバーセキュリティが確保された未来を自身で築き始めたばかりの方々には、ぜひご一読をお勧めします。

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