キャメロン英首相、暗号化に反対

2015年1月20日

「デービッド・キャメロン英首相、暗号通信を制限する意向」-大手メディアやWebメディアのあちこちで、このような見出しが踊っています。

DC

こうしたレポートを読むのは、なんと楽しいことか。「パリで起きたテロ行為のような悲劇から英国を守ろうではないか(お好みで、ちょっとばかりの愛国主義と熱狂を追加)」から「もうおしまいだ、暗号通信はすべて禁止されるのだ!(以下、ディストピア的な恐ろしい話)」まで、意見はさまざまです。

興味深いことに、どれも真実ではありません。では、実際何が起きたのか?…何も。キャメロン氏が演説の際にシンプルな質問を1つしただけです。「内務大臣自ら署名した令状をもってしても読むことのできないような通信手段を、たとえ危機的状況にあっても、我々は許容しなければならないのだろうか?」彼は自らこう答えています – 否。我々はそれを許容しない。保守派(彼自身も含め)が次の議会選挙で勝利したならば、この問題を改めるための法律を確定することに全力を尽くすつもりである。

メディアは、この言葉を曲解し、改ざんを繰り返しながらヘッドライン中で引用しました。そもそも、キャメロン氏は暗号化には言及していません。しかし、同氏がまさにそのことを意味して言ったのだと、誰もが思いたがっています。推測するのは自由ですが、今はまだパニックを起こす段階ではありません。

また、英国には、暗号化と関わりのある厄介な法律がすでに存在しています。かいつまんで言えば、あなたが図らずも所有しているファイルが暗号化されていた場合、裁判所規則により、暗号キーまたはなんらかの解読手段を提出しなければなりません。必要なキーをあなたが持っているか否か、または暗号化された何らかのデータを持っているかは、関係ありません。要請されたときにキーを提出できなければ、罰金または禁固刑を覚悟しなければなりません。1足す2は…

もう少し想像を広げるとしましょう。個人利用のアプリケーションでの暗号化が禁止されることは、まずなさそうです。それをやるなら、もっと洗練された方法があります。たとえば、暗号化キーをシークレットサービスに提供する(Blackberryさん、どうも)とか、ユーザーがノーと言えば暗号化ベースの保護を剥奪する(ハロー、Lavabitさん)とかいった権利を行使する方法。他にも、特定国家の領域内に関する1年分相当のデータを物理的に保管するようサービスプロバイダーに対して規制を課すとか、あらゆる電話通信を管理下に置く、といった方法もあります(SORM-2とロシアの新法律よ、こんにちは)。

こういったことは、世界のあちこちで起きています。集団ヒステリー状態に陥り始めた英国の場合、Data Retention and Investigatory Powers Act(データ保持および調査権法)が2014年に審議を通過し、現在は議員たちがCounter-Terrorism and Security Bill(対テロおよびセキュリティ法案)を議論しています。基本となる論調は同じです。「テロリズム、海賊版、ポルノ(異常なタイプのもの、少なくとも)、容疑者狩りと、戦うのだ。」

暗号化「禁止」に関しては、コリイ・ドクトロウ(Cory Doctorow)氏が、これがまったくばかばかしい考えである理由を説明しています。こうした考えの支持者が「××禁止」の歴史から学ぶことはありません。露骨な例を挙げましょう。キャメロン氏は英国でポルノフィルタリング法を押し進め、同法は去年から発効しています。この法律は機能するのでしょうか?うむ、そうですね…ある程度は。別の言い方をすれば、- ほとんど機能していません。