スマホ依存症に必要なのはデジタルデトックス?それとも医者?

2015年6月18日

この前友人に会ったとき、楽しかったですか?会話は弾みましたか?それとも、Instagramに投稿する料理の写真を撮っていただけで、お互いFacebookで会話していたのでしょうか?

digital-detox-featured

この質問はふざけているわけではなく、日常でありがちな場面について真面目に聞いているのです。世間でスマホ依存症が話題になっています。ノモフォビア、幻想振動症候群などとも呼ばれます。

もっとも、詳しく調べてみると、スマホ依存症は病気なのだろうか、あるいは時代遅れの人や医者がでっちあげたものなのだろうかという疑問がわいてきます。こういった人たちはかつて、インターネットやビデオゲームがいかに人生を台無しにするかを語り、世間の恐怖をあおっていたからです。

いずれにせよ、メールやFacebook、Twitter、Instagram、LinkedIn、Pinterest、Vine、Tumblr、Google+、などなど数十ものアプリを30分おきにチェックするのは、何がそれほど問題なのでしょうか?

私は震える生き物?…

身の周りで起きていることをすべて把握しておかねばと感じるのは、人間の原始的な本能の働きによるもの。インターネットが脳に与える影響について研究している心理学者、ニコラス・カー(Nicholas Carr)氏はそう述べています。大昔、洞穴に住んでいた私たちの先祖は「情報を強く求める気持ち」があったからこそ生き残れました。控え目に言っても現代は情報過多であり、人間の本能がいつも都合よく働いてくれるわけではありません。むしろ日常生活に支障をきたしています。

これは体脂肪と同じ話です。食べ物がない過酷な時代には、腰回りにたまった脂肪のおかげで生き延びる可能性が広がりました。今は、脂肪がつき過ぎると、生存力が低下してしまいます(適度な脂肪は健康のために必要ですが)。

有害な依存症の判断基準は、広く知られています。人間は有史以来、悪習慣に悩まされているからです。使用量を増やさないと気が済まなくなる(依存症の原因物質に対する耐性ができるため)、使用量を減らすと不安にさいなまれる、日常生活全体に支障をきたす、などが一般的な基準です。

友人とのコミュニケーションよりもネットサーフィンを優先する人は、必然的に友人の数がどんどん減ることになるでしょう。また、運転中でもチャットする習慣がある人は、普通の生活に適合できないどころか、命すら危うくなります。ノモフォビアの可能性があるかどうかは、自分でどれだけスマートフォンにのめり込んでいるかを調べればわかります。自己分析が得意でない人は、ノモフォビアをテーマにしたチェックリスト(英語記事)をWebで探してみてください。

それでは、依存症であることがはっきりしたとしましょう。病院に行くなんてばかばかしい、自分で何とかしよう、と思うかもしれません。もちろん、自分で更生することもできます。心理学者のアドバイスに従うのも手です(英語記事)。たとえば、いちいち電話に出ない、1分おきにメールをチェックしない、などです。

それでも、このような方法は、正直なところ優柔不断な人向けです。もっと興味深い方法があります。昔からの言い伝えにある「fight fire with fire」(火には火をもって戦わせよ)、つまり似たものが似たものを治すという「類似の法則」を使うのです。スマホ依存症と戦う上で特別なスマホアプリの手を借りる。これほど理にかなった手段があるでしょうか?さらには、スマホ依存症の人の手によってそのようなアプリを作れるとしたら…

毒をもって毒を制す

同じようなアイデアを思い付いたモバイル開発者がすでにいるようです。そうでなければ、Google PlayやApp Storeにあれほど多くの似たようなデジタルデトックスアプリがある理由を説明できません。

どのスマートフォンにも、一時的にオフラインにする手段がすでに備わっています。音を消す単純なオプションから、機内モードや電源を切る重要な機能まで、いろいろあります。

実際、メジャーなモバイルOSの最近のバージョンには、幅広い機能が搭載されています。Android 5.xのプライオリティモードやiOSのおやすみモードを設定すれば、上司からの電話を取り損なうことも、ささいなことを知らせるデジタル音に邪魔されることもなくなります。

実をいうと、デジタルデトックス専用アプリは、多少の違いはあるものの、どれもほとんど似たようなものです。典型的な例をいくつか見てみましょう。

敵をじっくり観察する必要があると主張するのは、BreakFree Cell Phone Addiction(AndroidおよびiOS用、リンク先は英語)アプリの開発者です。開発に携わっているのはインド出身の夫婦で、モニタリング機能をかなり重視しています。このアプリがモニタリングするのは、会話に費やしている時間、デバイスをロック解除する頻度、最も時間を費やしているアプリ(有料バージョン)です。このモニタリング情報をもとに「依存度」を算出します。同じアイデアに基づいた簡易版アプリには、Checky(AndroidおよびiOS用、リンク先は英語)があります。

意志の強くない人向けに作られたDigital Detox(Android用、リンク先は英語)アプリは、もっとシンプルです。前もって設定した期間、スマートフォンを使えなくするのです。気が変わっても、時すでに遅し!(もちろん、抜け道はあります。スマートフォンの設定をリセットすれば使えるようになりますが、その代わりデータはすべて消えてしまいます。開発者向けの抜け穴を使うという手もあります)

digital-detox-app

Digital Detoxアプリ

Big Red Stop(Android用、リンク先は英語)アプリは、FacebookやTwitterの受信メッセージに対して、今は取り込み中で、いつなら空いているかを自動で返答してくれます。オフラインになる時間を設定できますし、「BIG Red」ボタンをタップしてオフラインになることもできます。

このカテゴリにはさまざまなアプリがありますが、これといって目立つ存在は現れていません。この分野全体としてみれば、好奇心に満ちたスティーブ・ジョブズ的な人物が待ち望まれています。比較的バランスよく機能が盛り込まれているアプリの中では、Offtime(Android用、リンク先は英語)も面白いかもしれません。

アートの力

肩肘張らずに考えるほうが、複雑に考えるよりもうまくいくことがあります。デザイナーのモリー・マクラウド(Molly McLeod)氏は、自分がスマートフォンをチェックする衝動を抑えられないことに気付きました。そこで、こんなメッセージの付いた壁紙を作成しました −「Stop looking at your phone. Look around you」(スマホから目を離して。周りに目を向けよう)

このアイデアは思いのほか効き目がありました。現在は、誰でもマクラウド氏のサイトからさまざまな壁紙をダウンロードできるようになっています(英語記事)。さらに、Fast CompanyとHuffington Postがマクラウド氏のアイデアについて記事を掲載すると、サイトの訪問者数は激増しました。

iPhoneの代わりを務めるデバイス

逆の発想からデジタルデトックスすることもできます。スマートフォンをすべての誘惑とともに家に置いていき、持っていくのは電話をかけるだけのシンプルなデバイスだけにするのです。これを提案したのは、Light Phoneプロジェクトに携わる開発者たちです。このクレジットカードサイズのデバイス(Light Phone)には画面がなく、文字を打つ機能もありません。いくら頑張っても、どんなに見つめても、これで時間を潰すのは不可能です。

SIMカード差し替えの手間を省くため、スマートフォンがゲートの役割を果たします。つまり、スマートフォン上のアプリが、あらかじめ指定された緊急連絡先からの通話だけをLight Phoneに転送してくれます。これで、余計なお知らせ音に邪魔されることがなくなります。

「メールを送るのではなく、直接話をしましょう。カメラを使うのではなく、周囲をよく見てみましょう」とLight Phoneの開発者たちは述べています(英語記事)。デトックスは定期的にするけど電話を持たずに外出なんて考えられない、という人におすすめです。

唯一の欠点は、Light Phoneがまだ試作品の段階にあること。今のところKickstarterで成功したプロジェクトでしかありません(英語記事)。出荷予定は、なんと2016年5月です。

そんなに待てないという方には、もっとシンプルなNoPhone(英語記事)というアナログ製品があります。形もサイズもスマートフォンにそっくりのプラスチックの塊で、12ドルほどで手に入ります。

このプロジェクトには多くのメリットがある、とNoPhoneの開発者は強調しています。耐衝撃性と耐水性があり、充電の必要もなく、友人とのコミュニケーションを邪魔することもありません。さらに、寝るときベッドに置いておくこともできる、ポケットにいれて触ったり、撫でたりして気持ちを落ち着けることもできる…使い方はいろいろで、これは便利。それに、NoPhoneを購入しなくても、手持ちの材料で似たようなものを作ることだってできます。

楽しいデトックスを!