「ナイジェリアの手紙」と仲間たち

2016年6月30日

メールのフィルタリングが機能せず、大量のスパムメールが受信ボックスに届いたらどうしますか?ほとんどの人は、開封せずに削除、削除、ひたすら削除するでしょう。間違いなく正しい行動です。でも、中には傑作としか言いようのない文面のメールも時々混じっていて、好奇心に負けてメールを開いた人の腹筋を崩壊させています。

13 - spam

有名なスパムと言えば「ナイジェリアの手紙」です。ナイジェリアの有力者またはその周辺の人物を名乗る差出人が、多額の資金を安全に持ち出すために口座を貸してほしい、御礼として何パーセントかを渡す、ともちかけてくる内容です。要するにマネーロンダリングの片棒を担いでほしいという話ですが、話に乗って口座情報を渡したら、お金が振り込まれるどころか自分の預金が抜き出されてしまい、そこでようやく詐欺だと気付きます。英語で出回るメールなので、日本での被害は耳にしませんが…。登場人物やストーリーが少しずつ違うバリエーションが多数あり、イグノーベル賞も受賞しています。

なお、「ナイジェリアの手紙」は、ナイジェリアから発信されるとは限りません。ナイジェリア詐欺の背後にいる人物の在地は、主に米国、英国、そしてナイジェリアです。その次に多い発信元は、コートジボワール、トーゴ、南アフリカ、オランダ、スペインです。

ネタのようなスパム

スパムメールのほとんどは、大して面白くありません。何百万ドルを必ず送金する、ついては少額の前金を支払え、または銀行関係の情報を教えろ、という紋切り型がほとんどです。間違いだらけの文章、うさん臭い書き方、というのもありがちな特徴です。

Microsoft Researchのコーマック・ハーレー(Cormac Herley)氏は、詐欺師たちはもっともらしく見せようとは特に思っていない、儲けを増やすために騙されやすい「カモ」を探しているだけなのだ、と考えています(英語論文)。しかし、そんな中にも、ときにとんでもなく面白いメールがあります(英語スパムメールの傑作はこちら)。

最近の例では、こんなものがありました(英語記事)。スパムの送り手は、アフリカ初の宇宙飛行士のいとこを名乗る人物。いとこの宇宙飛行士が何年も前から宇宙に取り残されていて、地球へ連れ帰るには300万ドルが必要なのだ、と訴えます。資金は信託銀行にあるのですが、そのお金に手を付けるのに、なぜかあなたの助けが必要なのだそうです。

2012年には、米ドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』の登場人物、デナーリス・ターガリエンが現実世界に登場しました。彼女は故郷へ帰るために520ドル、船、ドラゴンが必要だと訴え、お返しとして七王国の上位貴族に叙すると申し出ています。

ほかにも、タイムトラベラー殺し屋デーモン霊能者犬を食べて自殺すると言う人からのメールなど(リンク先はすべて英語)、バラエティに事欠きません。想像力の及ぶ限り突飛なストーリーを思い描いてみてください、たぶんそういう筋書きのスパムはもう存在していると思いますよ。同僚が自称「弁護士」から受け取ったメールには、莫大な額の示談金を支払いたいと書いてありました。その訴訟の相手というのは、悪質なナイジェリア詐欺師なのだとか。示談金を振り込むので銀行口座を知らせてほしいと言ってきました。なるほど…努力は認めよう、だが断る。

詐欺師との交流

度胸とサイバーセキュリティの知識・技能を持ち合わせた人なら、詐欺師を騙すという楽しみ方もあるかもしれません。実際に、騙し返す人たちがいます。たとえば、セキュリティエキスパートのトロイ・ハント(Troy Hunt)氏は、「お宅のPCはウイルスに感染していますよ」詐欺に反応して犯罪の現場を押さえました(英語記事)。

Ars Technicaのジョン・ブロドキン(Jon Brodkin)氏は、自分のPC(もちろん仮想マシン上の、ですが)をあえて乗っ取らせて、ソフトウェアをインストールさせるところまでやりました(英語記事)。驚いたことに、ブロドキン氏はMicrosoft Officeを手に入れることができたうえ、ウイルスに感染することもありませんでした。これは相当ラッキーです!(なお、インストールしてもらったMicrosoft Officeはアンインストールしたそうです)

ロンドン出身のコメディアン、ジェームズ・ヴィーチ(James Veitch)氏は、何年にもわたってスパマーとの交流を楽しんできました(英語記事)。そのおかげで、ヴィーチ氏はネット上の有名人です。スコットランドメディアのSunday Heraldは、「涙が出るほど笑える。話題性のある最高のコメディ」と評しています。ヴィーチ氏によるTEDのプレゼンでは、詐欺師たちとの愉快なやりとりを楽しめます。※日本語スクリプト付き動画はこちらでどうぞ

あなたのところにも?

皆さんのところにも、面白いスパムメールが届いているのではないでしょうか。これまでに受け取ったことのあるスパムメールを、ぜひ拝見したいと思います。Kaspersky LabのFacebookページに、メールのスクリーンショットをアップロードしてください。世界各国から送られてくる画像を検証し、Kaspersky Dailyの記事として結果を報告する予定です。

ただし、信頼できる差出人から来たと確認できないメールに付いている添付ファイルやリンクは、くれぐれも開かないように、ご注意を!