Google I/O 2016:Androidはスマートフォンだけにあらず

2016年5月31日

Google I/Oは開発者向けの年次カンファレンスで、来たる年の方向性を示すため場となっています。今年も例外ではありませんでした。参加者は、最新のAndroid N OSについて深い見識を得ることができました。ちなみに仮称はAndroid Nですが、正式名称のアイデアは誰でも出すことができます。このほか、ウェアラブル向けOSのAndroid Wearが大幅に刷新されました。また、仮想現実(VR)技術をさらに進化させる取り組みが紹介されました。

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Googleの関心が、インターネット検索やスマートフォンの先にあるのは明らかです。Google I/Oでも自動車技術に大きな注目が集まっていました。スマートホーム向け音声制御ソリューションである、Google Homeも熱い視線を浴びていました。ところが、Googleの広報担当者はセキュリティには触れないことにしたようです。これらのテクノロジーにセキュリティ上の欠陥が存在した場合、ハッキングされたスマートフォンよりもはるかに多くの問題を引き起こす可能性があることに、一切触れなかったのです。

Nが付く言葉

Android Nの最終版は、夏の終わりか秋の始めにリリースされる予定です。いつものごとく、アップデート版では、新しいエンターテインメント機能に加えて性能とセキュリティの大幅アップが約束されています。ただし、マイナーチェンジした機能の大半は一般のユーザーの目からは隠されています。これらは主に開発者向けの機能なのです。

新機能の中には、一般ユーザーが気づき、歓迎するものもあります。たとえば、電話の「ブラックリスト」がこれからはOSの一部に組み込まれます。つまり、好ましくない連絡先リストを複数のアプリで共有でき、このリストを通常のバックアップの一環として新しいデバイスに保存、移行できるようになるということです。

さらに嬉しいニュースがあります。1つめは、スマートフォン内蔵メモリの暗号化が改善され、信頼性が上がったこと。2つめは、悪名高いStagefright脆弱性を受けてOSのマルチメディア処理が大幅に手直しされたこと。

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そして3つめは、Android N以降、システムアップデートがバックグラウンドで自動実行されること。言い換えれば、アップデートをインストールするかどうか、いちいち聞かれなくなります。自動的にアップデートが実行され、その後で再起動して変更を適用するようメッセージが表示されます。

残念ながら、Androidのセキュリティ問題の原因は、ユーザーがOSを最新版にアップデートしないからではありません。主たる原因は、古いスマートフォンに対応しているアップデートがほとんどなく、所有者は時代遅れの脆弱なOSと付き合い続けなければならないことです。

Alloは本当にGoogle?

Android Nのリリースに合わせて、Google Alloという新しいメッセンジャーが公開されます。OSの一部にはなりませんが、数億人を擁する大企業のユーザーの関心を引くチャンスとなるかもしれません。Alloはチャットにおいてエンドツーエンド暗号化をサポートします。これは品質の現れと言えるでしょう。

もっとも、最新版のWhatsAppでは通話の暗号化が既定で有効になっているのに対し、Google Alloの暗号化モード(Chromeと同様、Incognitoモードと呼ばれています)は手動で切り替える必要があります。

(議論の余地はありますが)Google Alloの目玉となるのは、Smart Reply機能です。返信メッセージの候補が示され、その中から最もふさわしいものを選んでタップできるので、キーボードから入力する必要がなくなります。素敵なことに、Smart Replyはメッセージに対する返信候補を予測するだけでなく、友人から送られてきた画像を検証して適切なコメントを提案してくれます。Googleによると、Smart Replyは自己学習型なので、ユーザーのメールの書き方に徐々に馴染んでいくそうです。

なかなか素敵な機能ですね。特に返信を入力する時間がないときは、助かります。ですが、大きな欠陥が少なくとも1つあります。メッセンジャーが第三者にアクセスされた場合でも、あなたのこれまでのメッセージを踏まえて返信候補が提案され、侵入者があなた風のメッセージを装って友人と会話するのを手助けしてしまいます。

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レースゲーム

自動化システムは、Googleが長年取り組んでいる究極の目標です。同社は新しい自動運転車のテストと主要自動車メーカーとの関係構築において成功を収めました。現在はAndroid Autoシステムのおかげで(一部の新しい製品やモデルに実装される)Androidと車両とのペアリングが実現し、車のダッシュボード上でナビやエンターテインメント機能を使用したり、最適化されたアプリを実行したりできます。

カンファレンスでは、高性能なAndroidベースのプラットフォームを搭載したMaserati Ghibliが展示されていました。このプラットフォームには、衛星ナビシステムでナビゲーションしたり、車載音楽システムでドライバーを楽しませたりする以上の機能が備わっています。この車は、走るAndroidといったところでしょうか。Androidベースのシステムでは、エンターテイメント機能以外にも、エアコンや電子ダッシュボードの操作もできます。

ただし、コネクテッドカーはサイバー攻撃の可能性をもたらすことを覚えておいてください。セキュリティ業界においてAndroidの評判はよろしくないのですが、果たして車の安全性を守れるのでしょうか。現時点で、Androidを採用しようと考える自動車メーカーはないので、実用化の前にAndroidプラットフォームのセキュリティを改善する時間はいくらかあるようです。

素晴らしきスマートホーム

Google I/Oにおけるもう1つの重大発表は、Google Homeでしょう。家電を管理するための音声認識型端末です。基本的には、音声で制御できるGoogleサービス向けの多目的端末で、マイクとスピーカーを搭載した小型のWi-Fi接続デバイスです。

Google Homeにはボタンが1つもありません。この万能端末の操作はすべて音声で制御します。質問をするか命令をするとGoogleで必要な情報を検索し、レストランの予約、チケットの購入、自宅の照明の点灯などを行ってくれます

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IoTはここ数年のホットトピックですので、Googleがこの市場でますます積極的に活動するのも当然です。しかし、常時ネット接続されたコネクテッドデバイスの増加に伴い、リスクも上昇しています。1台のマスターデバイスで他の家電を管理している場合、リスクは飛躍的に増加します。マスターデバイスがハッキングされれば、自宅は大惨事に見舞われるでしょう。