同僚の編集者から、ドローンに関する記事を書いてほしいと頼まれました。ドローンはあちらこちらで誰の許可も得ずに飛んでいます。動画の撮影もできますが、それだけではありません。最近のドローンでできることをおもしろく描いた動画を見てみてください。
本当にドローンは怖いものなのでしょうか?
確かにドローン(正式には無人航空機:UAV)は、故意かどうかは別としてプライバシーを侵害する可能性があります。一方で、ドローンの可能性にはまだ探求の余地があり、その潜在能力が完全に発揮されているわけではありません。もちろん、ここでは軍が諜報活動に利用するドローンは除外しています。こういった機関が使う機器の場合、はるかに規模の大きなことを秘密裏に実施できてしまうので。
写真や動画の無許可撮影が問題視されるのは、もっともです。しかし、アマチュア模型飛行機は何十年も前から作成されていますし、ドローンに撮影用の機器を取り付けることなど難しくはありません。こうした模型飛行機はラジコンで簡単に操作できます。
ドローンの登場以降に変わったことと言えば、比較的安価なトライコプター、クアッドコプター、ヘキサコプターが一般市場に流通してきたことです。こうしたUAVには、等間隔に配置された3つ、4つ、または8つの軸に、電子ローターとプロペラが搭載されています。主なメリットは、ドローンの操作性が向上し、安定した状態でホバリングできること。そのため、エクストリームスポーツや、パノラマなどの美しい景色の動画撮影にドローンがよく使われるようになってきました。
なんと素晴らしい!…と言いたいところですが、そうでもなさそうです。
3DR、DJI、Parrot、さらにはLehmannといったメーカーが提供する一般的なドローンの技術仕様を分析してみましょう。大半のモデルは、GoProカメラ、スマートフォン、カメラを搭載できます。どのカメラも、焦点の特性を考えると、長距離撮影が可能なプロ向けとは言えません。それに、飛行時間は長くても30分程度です。ドロップインローディング方式のカメラや、それなりの重さのレンズを取り付けたデジタル一眼レフを搭載できるハイエンドのモデルは、わずか15分間しか飛行できません。
一般的なホビー用ドローンに搭載できるアクションカメラはどうでしょうか。通常、固定の広角レンズが付いていて、性能はいまひとつです。実際、このケースで考えられる最悪のプライバシー侵害は、ドローンが20階という高さまで飛行して、動画を隠し撮りするというものでしょう。しかし、このような脅威から身を守るために、人類はカーテンを発明しました。また、そうした場面がどのようなものかを撮影した例を見てみてください。
それでもまだ怖いと思いますか?
もちろん、ドローンを使って辺りの様子を調べることはできるでしょう。たとえば、どこかの偉い人の別荘の庭に贅沢品がいくつあるか数えることができるかもしれません。といっても、やはり細かい部分まで写っているものと期待しないでください。これだけ離れていては顔を識別できませんし、もっと近づけばドローンが見つかり、現行犯で捕まってしまうことも考えられます。それよりも、やたらと良いレンズを使っているカメラマンや、双眼鏡を持った隣人に気を付けた方がいいでしょう。音声の録音はもっと難しい話です。
他には何があるでしょう?ウォードライビングでしょうか?可能かもしれませんが、バッテリーの持ち時間という制約があります。ベースステーションやホットスポットをエミュレートして、ネットワークを傍受することは可能でしょうか?やはりこれもバッテリー持続時間がネックになります。つまり、どんなにがんばっても、ドローンを優れたスパイ機器に変えることはできません。スパイの対象が誰であれ、無理な話です。
それに、他にもまだ難点があります。ドローン(「ライブ」ビデオの送信にも利用されます)との接続には、無認可の周波数帯(433 MHz、2.4 GHz、5 GHz。そう、古き良き時代のWi-Fiなど)が利用されます。送受信機の性能にさまざまな制限が加わることを考えると、通信距離は最大で1kmほどです(メーカーの公称値は通常、500~700m)。
市街地では、実際の使用環境に応じて、この距離が2分の1か3分の1になるかもしれません(ドローンを操縦するのが筋金入りのマニアで、初期の仕様から改造されている場合は別ですが)。複数の発信機を個別に使ってドローンを操縦したいという場合は、追加のトランスポンダーを取り付ける必要があります。本物のセレブを追いかけている人でもない限り、これは大変な作業です(が、やはり、ベテランのパパラッチはやり方を心得ていて、他にもたくさんの方法を教えてくれるでしょう)。
要するに、ドローンは決してプライバシーの脅威ではないのです。ゲーム『ハーフライフ2』で描かれているような脅威は何年も先の話であり、技術がまだ追いついていません。以上を踏まえると、一部の大手小売企業が進めているドローン配送という構想は、笑い話に思えてきます。
技術面以外の制約もあります。ドローンの飛行は法律で適切に規制されておらず、国によって内容はまちまちで、ほとんどの国ではまだ策定中です。
ドローンが近くを飛んでいたら、墜落してこないか注意しよう。他の点は何も心配いらない
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おかしな話ですが、ドローンは一般人にとって、動画を撮影するステルスデバイスではなく、飛行物体として脅威をもたらす存在なのです。1kgを超える重さの物体が秒速20kmほどのスピードで自分に向かって墜落してくるところを想像してみてください。体のどこに衝突したとしても、大変なことになります(注意:リンク先には流血のシーンが含まれています)。というわけで、ドローンの安全性に関する現時点でのアドバイスは次のようになります。自分にごく近い位置でホバリングしているドローンを見かけたら、墜落してこないか注意してください。
当面のアドバイスはこんなところです。