指向性マイクや隠しカメラなどの監視装置は、普通の人にとってはスパイ映画に出てくる小道具ですが、現実の世界にも普通にあります。アパートの一室、高級ホテルの客室、オフィスの中やスポーツジムなどに仕掛けられていることがありますし、もしかすると自宅に仕掛けられているかもしれません。今回は、そうした監視装置を見つける方法を探っていくことにしましょう。
小さなスパイたち
ミニサイズのカメラは、それほど高価ではありません(本記事執筆時点では約4,000円〜)。また、普通のWi-Fiに接続してクラウドなどにデータを送信する機能を持っています。ということは、誰でもスパイごっこができるということです。そんなことをする人の動機は何なのでしょうか?
例えば、賃貸アパートの大家が、盗難や器物破損に備えて設置する場合が考えられます。相手の行動を疑う配偶者や、どんな手を使ってでもライバルを蹴落としたい人にも、そうする理由があるかもしれません。いたずらしたいだけの愉快犯や、ゆすり行為を生業とする人もいるでしょう。要するに、人によって口実もさまざまなのです。
私生活で監視装置に遭遇する可能性はどのくらいでしょうか?Airbnbの利用者を対象とした調査では、借りた部屋に隠しカメラがあったと答えたのは回答者の11%でした(英語記事)。しかも、こう回答したのは実際に見つけた人です。借りた部屋を詳しくチェックする人ばかりではありません。それに、そのようなカメラは簡単に見つかるとはかぎりません。レンズの直径が2mmしかないかもしれませんし、筐体は普通、見えないようにカモフラージュされています。自分が監視されていると、どうしたら分かるのでしょうか?
方法1:専門家に依頼する
一番信頼できる方法は、適格な専門スキルとプロ用の機器を持つ人に捜索を依頼することです。そういった専門業者は、大きな都市であれば大体見つかります。
利点:
- 効率的である
- 結果の信頼度が高い
- 自分でほとんど何もしなくてよい
欠点:
- 料金がかかる
- 待ち時間があるかもしれない
- ホテルやアパートによっては制限がある
結論
しばらくどこかに滞在する予定があって不安を感じる場合や、新居へ引っ越す場合は、時間と費用をかけて専門家に依頼するとよいかもしれません。
方法2:専用の機器を使う
電磁波測定器、光検出器など、隠しカメラを検出するための機器を購入し、自分で調べる方法もあります。安いものなら、測定範囲が半径1メートル程度のもので3,000円台からあります。プロレベルのもの、もっと強力なものは、当然それより高価になります。
単純な光検出器なら、自分で組み立てることもできます。赤色LEDが数個、赤色光フィルターが1個あれば作れます。隠しカメラがありそうな場所にライトを向けてフィルター越しに見ると、その範囲内にカメラのレンズがあれば明るい点になって見えます。ただし、そうしたデバイスの検知範囲は10メートル程度です。
自分でチェックする場合は、流出すると困るような映像が撮影される可能性のある風呂場や寝室を特に念入りに調べましょう。煙感知器や家電も、隠し場所になることが多いものです。飾ってある絵、時計、花瓶、玩具もチェックしましょう。
利点:
- 自分のペースでできる
- 定期的な確認も可能
- DIYも可能
欠点:
- 検知範囲が狭い
- 多少費用がかかる
- 時間とスキルが必要
結論
自分しか信用しないのなら(特に、LEDをはんだ付けする作業に抵抗がないなら)、この方法が合っています。
方法3:スマートフォンを使う
特別な機器を使わなくても、スマートフォンのカメラと懐中電灯だけで十分な場合があります。部屋の明かりを消してカーテンを閉め(部屋を暗くする必要がある)、懐中電灯とスマートフォンのカメラを両方ともオンにして、隠しカメラがありそうな場所に向けます。カメラが実際にそこにあった場合、スマートフォンの画面にキラキラした光が写ります。スマートフォンのカメラと懐中電灯機能を同時に使えない場合は、懐中電灯を別途用意してください。
懐中電灯がなくてもチェックできる場合があります。多くの隠しカメラは、暗いところでの撮影のために赤外線照明を使用します。赤外線照明は人間の目には見えませんが、スマートフォンのカメラには感知されるので、暗いところで撮影すると、赤外線光源が点滅する点となって画面に写ります。ただし、スマートフォンのメインカメラには赤外線フィルターが搭載されている可能性が高いため、メインカメラではこの方法が使えないかもしれません。フロントカメラを使う方がよいでしょう。自分のスマートフォンがこの用途に適しているかどうかは、テレビのリモコンを使って確認できます。
利点:
- 費用がかからない
- 特別なスキルは必要ない
- 特別な機器は必要ない
欠点:
- この方法を使えない機種がある
- 時間がかかる
- 効率が悪い(誤検出の可能性があり、また赤外線機能のないカメラは検出されない)
結論
この方法は、見逃しが生じる可能性があるので、とりあえず簡易検査するとき向けです。それでも、何もしないよりはましです。
方法4:アプリを活用する
隠しカメラなどの隠しデバイスを探すためのモバイルアプリは、2つのタイプに分けられます。一つは、レンズのきらめきでデバイスを検出するタイプです。例えばGlint Finderというアプリは、懐中電灯の光がレンズにぶつかったときのきらめき(glint)を検知します。光を検知したら、その場所に隠しデバイスがないかどうか探してください。
もう一つは、ワイヤレスの監視デバイスを探すアプリです。このタイプのアプリは、ローカルのWi-Fiに接続する必要があります。アプリはルーターをスキャンし、接続しているデバイスをリストアップします。自分のスマートフォンやノートPC以外に、不明なデバイスがリストアップされていないかどうか確認してください。無害なデバイスなのか、監視目的のデバイスなのかを、MACアドレスなどの識別情報から判別できる専用ツールもあります(リンク先は英語)。
利点:
- そこそこ効率的である
- 最小限のコストで済む
- アプリに対応しているスマートフォン以外に機器は必要ない
欠点:
- 専用デバイスには劣る
- 多数のデバイスが接続されているスマートホームには不向き
- ホテルのWi-Fiなど、多数のデバイスが接続されている公共ルーターには不向き
結論
専用アプリの利用は、専用の機器を使った場合と有り物で工夫した場合の中間くらいです。出張や旅行をする人には一番向いている方法ではないでしょうか。信用できるアプリを使用するのであれば、という条件付きですが。
隠しカメラを検出したとき、どうすべきか
カメラや何らかの監視デバイスのように見えるものを見つけたら、その写真を撮って画像検索にかけ、それが何なのかを調べましょう。もしかすると無害なものかもしれません。
恐れたとおり監視目的のデバイスだった場合は、警察か、ホテルの管理部門か、ホテルの予約時に利用したサービスに通報しましょう。例えば、AirBnBの規約では隠しカメラの設置を明示的に禁止していますから、違反のある宿にあたった場合、返金または別の宿への変更を受けられます。
備えあれば憂いなし
今回は、知らない間に盗撮されないようにする方法を見てきました。ただ、旅行中に遭遇する危険は隠しカメラだけではありません。慣れない場所で身の安全を守るには、以下の点も参考にしてください。