適切なバランス:IT業界への女性の参入を進めるために

2019年の国際女性デーのテーマは「#BlanceforBetter」。より多くの女性がテクノロジーとサイバーセキュリティの業界に進む後押しをすることを、私たちは目指します。

2019年の国際女性デーのテーマは、「#BlanceforBetter(ジェンダーバランスの取れた世界を目指そう)」。このメッセージは、私が身を置くサイバーセキュリティの世界に、特に当てはまるように思われます。

このハッシュタグは、「Better the balance, better the world(ジェンダーバランスが取れると世界はもっと良くなる)」という気持ちを短く表したものです。この業界における男女の不均衡は、これまでになく重要な問題となっています。現在のサイバーセキュリティ業界は女性の割合が低く、労働人口の90%近くが男性であると見積もられています。Kaspersky Labが今年初めに実施した調査では、IT業界全般で回答者の半数が男性多数派のチームで働いているとされており、女性が多数派のチームで働く人の6倍にあたります。

私はユーゴスラビアで育ちましたが、女性がコンピューター関係に情熱を持ち、その方面の職に就くのは、特に珍しくありませんでした。私が大学時代に履修したコンピューター課程は70%が女性で、それが普通でした。東欧の女性は、技術系の仕事に進むことを常に奨励されていたものです。修士号を取るために西欧へ移ったとき、女性の割合はわずか7%で(まさにカルチャーショックでした)、私は数少ない女性の1人としてプログラミングの仕事に就きました。後に顧客に接するプリセールスの部署に異動になりましたが、黒っぽいスーツ姿の中でただ1人明るい服を着た若い女性は浮いた存在でした。しかし、少なくとも人と違うことで覚えてもらえるのだと分かってこれを活かし、ビジネス上の強力な人間関係を築くことができました。

私はIT系、特にサイバーセキュリティの分野が、女性にとってもっとやりがいがあり、追求していく価値のある分野となってほしいと考えています。同時に、女性にとって居心地よく、支えとなる環境にしたいと考えています。

Kaspersky Labでは、営業幹部から研究開発担当に至るまで、多くの女性がサイバー脅威からの保護に取り組み、当社のミッション「Save the World(世界を守る)」に貢献しています。しかし、これで満足はしていません。より積極的に女性がチームに加わり、業務に対して違う経験や違う視点を持ち込み、世界を守るために尽力してほしいと当社では考えています。それは、この業界でキャリアを積むことが女性のためになるという理由だけではありません。業界も、より多様性に満ちた働き手から利益を得ることになるのです。

以前、ジェーン・フランクランド(Jane Frankland)氏と話す機会がありました。フランクランド氏は『InSecurity: Why a Failure to Attract and Retain Women in Cybersecurity is Making Us All Less Safe』の著者であり、サイバーセキュリティ業界で働く女性の支持者でもあります。私たちは、より安全なオンライン世界の実現に本当に役立つ、脅威やリスクの問題に対するこれまでと違ったアプローチを、女性がいかにしてもたらすかについて話し合いました。

この分断を克服する策はいくつかあり、難しいものではありません。今年の初め、業界で働く女性に意見を求めたところ、IT業界の意思決定者である女性の40%は、女性が将来のキャリアとして技術職に就くことを目指すようになるよう、政府や大学が手立てを講じるべきだと考えていました。しかし、Kaspersky Labなどの企業も、こうした幅広いイニシアチブを支援することで、現実の壁と意識の壁を取り払うことが可能です。

Kaspersky Labでは業務に最適な人材を常に求めており、性別ではなく適性を基準に雇用しています。そうは言っても、女性を励まし支援する取り組みが、この業界にはまだまだ必要だとも認識しています。この1年、当社では男女の不均衡の問題に取り組み、サイバーセキュリティ業界を女性にとってより居心地の良い環境とするため、これまで以上に努力を払ってきました。当社は、より多くの若い女性がテクノロジー分野で働くことを奨励するPwCの「Tech She Can Charter」活動に賛同するほか、女性によるテクノロジー関連の起業を支援する、Girls in Tech主催のコンペティション「AMPLIFY」をサポートしています。当社はまた、「Women’s Network」という独自の取り組みを導入しました。当社の女性社員が業界で活躍する場を拡げていくためのもので、現在のところ英国で試験導入しています。今年は、インターンシップの間口をより多くの人々に広げ、また若い人たちがこの業界でのキャリアがどんなものかを垣間見ることができ、キャリアのスタートを助けるメンターやエキスパートに出会う機会となるような入門的ワークショップを実施していきます。

当社の取り組みはすなわち、ジェンダーバランスを取り、より効果的な人材の確保を達成するための行動を起こすことです。この問題についてこれ以上の議論は必要ありません。私たちに必要なのは、より多様で、より安全な産業界の創出を推し進めることなのです。

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