SASE:法人向けポートフォリオのアップグレード

Kasperskyはこのたび、SD-WANプロバイダーを買収。SASEによる法人向けポートフォリオのアップグレードと、XDRの強化に取り組みます。

このたびKasperskyは、SD-WANおよびNFVのオーケストレーションソフトウェア開発企業、Brain4Netを買収しました。クラウドセキュリティ機能とXDR製品について、大幅な強化を実施する予定です。今回の買収により、SD-WANとNFVをベースとしたソリューションを市場に投入することで、「クラウドファースト」の枠組みにおける信頼性の高い検知および応答の機能を開発可能となります。

まずは、セキュアアクセスサービスエッジ(Secure Access Service Edge:SASE)機能による当社ソリューションポートフォリオの強化について、説明いたしましょう。

Brain4Netは、2015年の設立以降6年間にわたり、IT自動化のソリューション開発やソフトウェア定義型ネットワーク(Software Defined Network:SDN)の構築に携わってきました。このたびの買収により、私たちは有力なSASEソリューションを共に構築することとなりました。同社の経験と技術が加わることで、当社が持つクラス最高のセキュリティ専門技術にネットワークセキュリティレイヤーが追加され、統一プラットフォーム開発の後押しとなります(リンク先は英語)。エンドポイント、クラウド、ネットワークデータの枠を超えて一つのデータレイクおよび一つの調査ツールを使用することで、脅威の検知と応答におけるセキュリティ部門の作業が著しく迅速化します。

分散型ITアーキテクチャこそがニューノーマルである

典型的な企業ITインフラというものは、本社と中央のデータセンター、すべてのトラフィックを本社経由で動かす支店を含むものでした。やがて企業は、インフラをクラウドへと移行し始めます。ところが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行が始まってから移行の速度は加速し、場所にとらわれない働き方というトレンドによって、ITインフラに対する従来のアプローチは事実上、時代遅れになろうとしています。

経費を抑える一方で分散したITオペレーションを合理化する、その一つの方法は、ソフトウェア定義型広域ネットワーク(Software Defined WAN:SD-WAN)技術を導入することです。SD-WANを使用することにより、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)をソフトウェア定義型ネットワーク(SDN)の原理に基づいて構築可能となります。SD-WANソリューションでは、企業ネットワークのさまざまな部分を通じてトラフィックを効率的にルーティングできるほか、管理と監視を1か所で行うことが可能です。あらゆる種類の既存ネットワーク(MPLS、インターネットブロードバンド、LTE、5Gなど)を使用した仮想オーバーレイの作成だけでなく、従来のMPLS ベースのWANよりも低価格で、導入と管理も簡単です。ITの観点では、SD-WANは高性能で可視性があり、企業ネットワークにアジリティをもたらします。また、保守コストの削減にもなります。

分散型セキュリティに対するKasperskyのアプローチ

リモートオフィスにせよ在宅勤務にせよ、分散型のインフラを保護するには、まず接続元にクラウドコンピューティングサービスとしてセキュリティを提供する必要があります。その次に必要なのが、ネットワークでのイベントとエンドポイントでのイベントを、包括的に確認できるようにすることです。これは、進化したXDR(Extended Detection and Response:XDR)で強化されたSASEの原理を導入することで実現できます。

市場の需要に対応するため、ネットワークセキュリティ企業はエンドポイント機能を構築し、昔ながらのセキュリティベンダーと提携しています。しかし、既存のセキュリティプロバイダーでは、高度な脅威からシステムを保護するための総合的なアプローチを提供することができません。エンドポイントのセキュリティベンダーが開発したXDRに外部のネットワーク制御を統合しても、企業環境内で発生しているインシデントを十分に可視化すること、または十分に調査を行うことはできないのです。そこで当社は、別の方法を選択しました。Brain4Netの統合によって、エンドポイントの保護機能とネットワーク制御をシームレスに統合する、統一プラットフォームの開発が可能になります(リンク先は英語)。また、XDRプラットフォームとSASEが連携することで、ゼロトラスト戦略の導入も可能になります。

法人向けポートフォリオにおけるSD-WANの役割

Kaspersky独自のSD-WANの強み

今回の統合は、当社を新たな領域へと導くと共に、エンドポイントとネットワークの両領域において法人向けセキュリティの単一プロバイダーになる、という当社の目標を明確化するものでもあります。KasperskyがSASE製品を提供するということは、お客様を保護するだけでなく、お客様の接続サービスプロバイダーになるということでもあります。

ネットワークセキュリティへと踏み出したこの一歩は、当社XDRソリューションのアップグレードをも可能にします。Kasperskyではすでにクラス最高のセキュリティソフトウェアを提供していますが、ネットワークセキュリティレイヤーが加わることで、さらなる競争優位性がもたらされます。トラフィックのフィルタリングとエンドポイントのセキュリティインシデントの監視、またネットワークとノードのアクティビティの関連付けなどによって、起こり得るすべてのシナリオを網羅することで複雑な脅威に対する検知と対応の能力をさらに向上させます。

当社は、安定してコスト効率の高いネットワークサービスをお客様へ提供すると同時に、高度でステルス性の高い脅威からお客様を守り続けるために、中核である法人向けのセキュリティ事業を、この重要な方向へと進めていきます。

さらなる計画

Kasperskyは、合併および買収に対して積極的になりつつあり、当社の中核事業に相乗効果をもたらす強力なチームの獲得を見据えています。Brain4Netはテクノロジー、ソリューション、購買客を有する成功した企業であり、人員に関しても製品に関しても問題なく統合が進むものと考えています。今回の買収は、M&A活動の終着点ではありません。当社の価値提案をより一層向上させる案件が、これ以外にもいくつか進行中です。

ヒント

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