子どもの安全なお出かけをサポートするツール

子どもがどこに行ったかわからないとき、心配するなと言われても無理な話です。子どもたちの居場所を把握し、無駄な心配をしなくて済むようにする方法。

一家揃ってショッピングモール出かけたときなど、ほんのちょっと何かに気を取られた瞬間に子どもがふと視界から消えることがあります。普通はすぐに戻ってきますが、心配せずにはいられません。

もう少し大きくなると、大人の付き添いなしで学校から家に帰ってこられるようになりますが、時間を気にするという習慣がすぐには身につかないかもしれません。帰宅が15分遅くなるくらいなら、そんなに慌てる必要はないでしょう。友達というものは気を引いて注意をそらす存在ですから。ただ、見知らぬ人もそうだったりするのですが。

自分の子どもがどこにいるか分からないとき、心配するなと言われても無理な話です。しかし最近は、このような長年の問題を解決してくれる策があります。子ども向けの位置情報追跡デバイスです。詳しく見ていきましょう。

市販の子ども見守り用ツール

位置追跡用デバイスにはさまざまな種類があり、どのタイプが一番いいとは一概に言えません。どれを選ぶかは、さまざまな要素によって変わってきます。たとえば子どもが何歳か、どのくらい自立しているか、スマートフォンを持っているか。よちよち歩きの子どもが公園でいきなり走り出さないように見守るのと、干渉を嫌う中高生の行動に目を光らせるのとは、まったく別の話です。

ロケータービーコン

まだ1人では外出させないようにしている場合や、家の近所になら出かけてもよいことにしている場合なら、数十~数百メートルの範囲をカバーするロケータービーコンで十分でしょう。子どもの姿が見えなくなったとき、リモコンのボタンを押せば、ビーコンが音を鳴らすので子どもの居場所が分かります。機種によっては、あらかじめ指定した距離よりもリモコンから遠ざかったときに警報音が鳴るように設定できるものもあります。

ビーコンの場合、数十メートルの精度で位置を突き止めるGPSトラッカーとは異なり、狭くて混雑している(ただし、あまり騒音のない)場所でも、子どもの居場所が分かります。ただし、子どもとリモコンの距離が離れすぎると接続が失われてしまいます。

ロケータービーコンの長所:

  • 簡単に使える
  • 小型である
  • 狭い場所で機能する
  • 最も費用がかからない

ロケータービーコンの短所:

  • 有効な距離が短い
  • SOSボタンがない
  • 騒がしい場所では役に立たない

GPSトラッカー:キーホルダー型、ペンダント型、クリップ式

1人で外出するくらいの年齢なら、GPSトラッカーが良いでしょう。一番小型で軽量なのは、キーホルダー型、ペンダント型、またはクリップ式のトラッカーです。アクセサリーとして身につけることもできますし、鞄や衣服に付けることもできます。目につかないように隠すのも簡単ですし、取り外しにくいように固定できるタイプもあります。

小型トラッカーの機能はデバイスによって異なります。一番シンプルなタイプは、子どもの所在地を追跡する機能と、特定の時間帯に必ずいるべき場所(学校や自宅など)を設定しておき、子どもがそのエリアを離れるとすぐに通知が届くようにする機能があります。

多くのトラッカーには、大きくて目立つSOSボタンがついています(このボタンしかついていないことも多々あります)。危険が迫れば幼児でも押せるようになっており、ボタンが押されると、SOS信号と詳しい所在地情報が親の元へすぐに届きます。マイク内蔵モデルなら、録音された音声も送られてくるので、状況を判断できます。また、保護者用のアプリを使用して、マイクに音声の収集を指示することもできます。

そのほかにもユニークな機能を持ったデバイスがあります。たとえば、所在地のほかに、そのときに子どもが親族の誰と一緒にいるかを判断できるデバイスがあります(英語記事)。別のデバイスのアプリには、子どもの所在地を示す地図情報以外に拡張現実(AR)ビューが用意されていて、スマートフォンを持ち上げるとどちらの方向に行けばよいかを示してくれます(英語記事)。

キーホルダー型やクリップ式の主な短所は、バックパックや上着に付けるものなので、子どもが鞄をおろしたり上着を脱いだりしてどこかへ遊びに行ってしまった場合は役に立たないところです。年かさの子どもたちになると、監視されるのを嫌がってトラッカーを外してしまう可能性があるので、それが自分の安全のためなのだと納得させるのが大変かもしれません。

さらに、GPSトラッカーは比較的高額です。また、モバイル通信が必須なので、月々の通信料金も発生します。

GPS トラッカーの長所:

  • 簡単に使える
  • 小型である
  • SOSボタンがある
  • しっかり取り付けられる

GPS トラッカーの短所:

  • 衣類やバックパックと一緒に外すことができる

スマートウォッチ

キーホルダー型のトラッカーと異なり、スマートウォッチは子どもが手首にするものなので、バックパックや上着ほど外されることはなさそうです。また、一般にトラッカーよりも多機能で、通話(動画付きまたは動画なし)、SMS送信、歩数計、知育ゲームなどができます。そのため子どもたちの興味を引き付けやすく、そこは大きな利点です。

スマートウォッチ型のトラッカーにもSOSボタンがあり、一部のモデルは子ども(または何者か)がスマートウォッチを外そうとしていることを検知するセンサーを内蔵しています。また、周囲が騒がしくても、子どもがあなたから電話が来ているのを聞き逃さない(スマートフォンと比べた場合)というのも大きなメリットです。

スマートウォッチは、子どもの居場所追跡に最も使われているデバイスの一つ

スマートウォッチは、子どもの居場所追跡に最も使われているデバイスの一つ

子ども向けスマートウォッチを作っている企業は多数ありますが、この市場セグメントを独占するような大手ブランドはまだありません。そのため、デバイスやアプリの品質には大きなばらつきがあります。購入する前に、必ずいくつかレビューに目を通しましょう。

中には、位置決め精度が低い、セルラー信号が失われるなどのバグを抱えた機種もあります。さらに、さまざまなブランドが製造する子ども向けスマートウォッチの多数がサイバー犯罪者から保護する機能を搭載していないことも明らかになっています(英語記事)。つまり、誰でも子どもの居場所や移動履歴などの個人情報を見つけられるだけでなく、保護者のアカウントを乗っ取って保護者に成りすますこともできるのです。

もう一つ覚えておきたいのは、子どもが使うスマートウォッチには、荒っぽい遊びや子どもの全般的にアクティブな生活でも壊れない耐久性が必要だということです。耐衝撃性や防水性が十分でないと、あっという間に壊れます。そして、このようなデバイスは安くありません。

スマートウォッチの長所:

  • 常に子どもが身につけていられる
  • SOSボタンがある

スマートウォッチの短所:

  • 一部のモデルにはバグがある
  • 比較的高額である

スマートフォンアプリ

すでにスマートフォンを持っている年頃なら、最も手ごろで便利なのはアプリです。アプリを使えば、中高生に余計なデバイスを持たせないで(保護者からすると余計なデバイスを買わないで)済みます。ほとんどのアプリストアには、無駄な機能の付いていないシンプルなトラッカーがあります。

Google PlayとAppleのApp Storeには、完全に無料で使える、または少額のライセンス料または定額制サービス料で使えるペアレンタルコントロールアプリがあります。もちろん無料で使える方が家計に優しいのですが、機能も限られています。また、広告収入に頼っている無料アプリの場合、広告モジュールはデータの扱いがルーズであることがあるということを覚えておきましょう。

私たちは、子ども向けのデバイスやアプリを選ぶときには、サイバーセキュリティをまず考慮する必要があると考えます。製品を購入したりダウンロードしたりする前に、オンラインで製品について調べることをお勧めするのはそのためです。製品またはアプリがバグや脆弱性の問題を抱えている場合には、ほかのものを探しましょう。

スマートフォンアプリの長所:

  • あまり高価ではない
  • どんなスマートフォンにもインストールできる
  • 所在地追跡機能以外にも便利な機能が多数ある

スマートフォンアプリの短所:

  • スマートフォンが必要である

子どもの安全を見守るのは難しいことではない

我が子が目の届かないところにいるときに無用な心配をしないで済むようにするのは、それほど難しいことではありません。見守り用のデバイスやアプリは無数にあります。大切なのは、家庭の状況に応じた選択をすること、それから、見守り用のツールを身に付けることは自分が自由に行動する範囲を広げることになるのだと子どもに分かってもらうことです。

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