WebサービスへのログインIDやパスワードを盗もうとするフィッシングサイトは、後を絶ちません。2016年1月に観測された、りそな銀行や三井住友銀行、Amazon等を騙ったフィッシングサイトについては、ニュースやSNSを通じて目にした方も多いのではないでしょうか。
こういったフィッシングサイトへの誘導手法はスパムメールが一般的ですが、最近ではSMS経由で送られてくることもあるようです。
そんな中、興味深いスパムメールが届きました。宅配サービスの通知を装ったものです。
このメールには受領書と見せかけたhtmファイルが添付されており、中身はフィッシングサイトへ誘導するためのコードでした。
フィッシングサイトへ誘導されると、「IDとパスワードが拒否されたため再度入力してください」とメッセージが表示されます。
[OK]をクリックすると、フィッシングサイトが表示されます。エラーが発生したため、再度IDとパスワードを求められるという自然な流れです。
このページ自体はフィッシングサイトですが、マルウェアをユーザー環境に生成するためのコードが存在しており、ここにアクセスするとマルウェアに感染してしまいます。
このマルウェアはオンラインバンキングを狙ったトロイの木馬です。
Kaspersky Security Network統計情報で抽出したマルウェアを確認すると、この検知は2016年1月下旬から急増しています。
また統計の地理情報から、ロシアを筆頭に世界各地に感染が広がっていることがわかります。
幸いにも、多くのセキュリティ製品はこのマルウェアをすでに検出できます。セキュリティ製品を導入し、正しく使用していれば感染することはないでしょう。しかし、設置されたマルウェアが新種のものだった場合はどうでしょうか。好奇心旺盛な人が「IDとパスワードさえ入れなければ無害なフィッシングサイト」だと高をくくってアクセスし、その裏でマルウェアに感染してしまう、という事態が現実的にあり得ます。
フィッシングサイトとマルウェアダウンロードのコラボ:安易なアクセスは危険 #セキュリティ
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また、同一サイト上にYahoo、Outlook等、別のアカウントを狙ったフィッシングサイトも設置されており、マルウェアを生成するコードの存在も同様に確認しています。
今回紹介したマルウェアが設置されたフィッシングサイトは英語でしたが、冒頭で紹介した事例のように日本を標的とした攻撃が出てくるのも時間の問題でしょう。OSとセキュリティ製品を常に最新の状態に保ち、疑わしいWebサイトへ安易にアクセスしないようご留意ください。
カスペルスキー製品では、本件のマルウェアと誘導されるWebサイトを以下のように検知し、ブロックします。
- Packed.Win32.Krap.hm
- Trojan-Dropper.VBS.Agent.bp