オリンピック選手に選ばれることは、多くのプロアスリートにとって、キャリアの頂点として位置づけられます。何十年も練習を重ね、ついに代表に選ばれ、世界の舞台でメダルを獲得するかどうかは、それぞれの人生を大きく左右します。
一方詐欺師にとってのオリンピックは、それほど大事ではありません。無防備な人たちからお金を巻き上げるチャンスの一つに過ぎません。
今回のブログは、詐欺師がパリ五輪に向けてどのような準備をしてきたのか、スポーツファンからどのようにお金や個人データを盗もうと計画しているのか、そして代表選手を安全に応援するために知っておくべきことを説明します。
偽のデータプラン
パリ五輪の開幕式は7月26日です。フランスのメディアによりますと、訪問客数は1530万人と想定されており、現地では一時的に人口が急増するとみられています。当然、外国から訪れる観光客にとってインターネット利用は必須です。訪れた先のWi-Fi環境の不備は、観光客が不満に感じることの一つです。詐欺師は、他人が困る状況を真っ先に利用しようと考え、偽のデータプランを用意しました。
冷静に考えてみましょう。例えば、フランスで利用データ量40GBと無制限の通話ができるモバイルプランの料金相場は、約11ユーロ(およそ12米ドル)です。予想される観光客の数を考慮すると、すべての人に無料でインターネットを提供するコストは1億6,800万ユーロ(約1億8,400万米ドル)を超えることになります。こんな莫大なデータ通信料金を無料にする通信会社は、普通に考えてこの世に存在しないでしょう。
しかし、日常を離れたオリンピックの雰囲気に酔いしれている最中に、これほど魅力的なデータプランの話を聞くと、理性的な判断をするのは極めて困難になります。残念ながら、料金を支払ってサービスに申し込んでも、1メガバイトも無料で使用することはできません。さらに、被害者が申し込みの時に記入した氏名、電話番号、住所、クレジットカード情報など重要な個人情報も詐欺師に知られることになります。特に懸念すべきは、被害者が自宅を留守にし、パリで観光やオリンピック競技を観戦するのに忙しく、銀行口座まで細かくチェックしていないだろうということまで詐欺師に知られてしまうことです。
チケットやグッズ販売の偽サイト
オリンピックの観客が最初に欲しがるものは何でしょうか?もちろん、好きな種目の観戦チケットです。パリ五輪の開催時期に合わせて、詐欺師はチケット販売の偽サイトを立ち上げました。アーチェリー、サッカー、バドミントンなど、どんな種目のチケットであろうと、偽の販売サイトが用意されています。正規サイトに見せかけるために、詐欺師は個人データの収集やWebトラッキングの使用に同意するよう要求するポップアップまで追加しています。そのため、何も知らない被害者は、詐欺師とデータを共有することにも同意してしまうことになります。
このプラットフォームでは、チケットを購入できるだけでなく、自分がすでに持っているチケットを転売することもできます。そうすることで、事前にチケットを購入したものの予定を変更したくなった観光客も、詐欺の標的にすることができます。
でも、オリンピックグッズの購入くらいは、安全にできるだろう。そう思っていませんか?実はそこにも別の罠が待ち受けています。グッズを安く購入したいと思っているファンを標的に、詐欺師はフィッシングサイトを用意しています。キーホルダー、記念コイン、マグネット、スカーフなど、詐欺師はこれらすべてを格安で「販売」しています。
もちろん、正規品であれ偽造品であれ、商品が発送されることはありません。購入者のお金は騙し取られ、個人情報も窃取され、商品も手に入らないという最悪の結果になります。
詐欺師から身を守るために
自分を守る最善の方法は、セキュリティ製品を導入すること、そしてセキュリティに対する意識を高める努力をすることです。カスペルスキー プレミアムを使用すれば、フィッシングリンクやその他のオンラインの脅威から身を守ることができます。一方で、あなた自身の注意力、よくある詐欺に関する理解、そしてそれらを回避する方法の知識も、サイバー犯罪から身を守るために必要です。
- 観戦チケットは公式Webサイトからのみ購入しましょう。オリンピックの公式Webサイトはこちらのリンクをご利用ください。
- ネットで何かを購入する際は、利用限度額が設定されたバーチャルカードを使用するようにしましょう。特に、Webサイトが正規のものかどうか100%の確信がない場合は必須です。
- 二要素認証を可能な限りオンにしてください。これにより、アカウント流出を防ぎ、お金を守ることができます。特に、フィッシングサイトに詳細な情報を入力してしまったかもしれないと心配な場合に役に立つでしょう。ちなみに、2FAトークンはパスワードマネージャーに保管することができます。
- 見知らぬ人やビジネスからの情報には注意しましょう。48GBを無料で利用できるデータプランなど、そんな都合のいい話はありえません。
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