お金を失う、評判が悪くなる、家族が争う…。写真や現在の位置情報といった個人情報をネット上に投稿することで、困った事態になる可能性があります。ここに挙げたのは、そういった事態のほんのいくつかです。
一番の危険は、SNSなどの公的な場で共有された個人情報が、意図した相手だけでなく、大勢の赤の他人(広告代理店、ジャーナリスト、諜報機関、宗教団体、過激派組織、さまざまな犯罪者、就職する可能性のある会社など)にまで分析され、利用されてしまう点にあります。
あなたやあなたのお子さんがネット上に投稿したものは、それがたまたま選んだテーマに対する怒りの投稿にしろ、プライベートな写真や私生活のこまごまとした内容にしろ、不都合な形で利用される可能性があります。[投稿する]ボタンをクリックする前に、この投稿が後でもたらすかもしれない事態について考えを巡らしてみることが大切です。この投稿は、将来的に不都合な結果を招かないだろうか。この情報は自分や誰かの私生活にマイナスの影響を与えることはないだろうか。未来の就職先は、この情報を見てどう思うだろうか。この情報を使って自分や自分の子どもの実際の居場所を特定可能ではないだろうか。親自身も肝に銘じ、子どもにもそうしたことを考えてから投稿するように教えてあげなければなりません。
ネットに投稿すべきでない情報
自宅の住所や通学先:泥棒、小児性愛者、いじめっ子など、たちの悪い人がこの情報からあなたやお子さんの居場所を簡単に突き止める可能性があります。子どもがSNSに自宅の住所を投稿することは滅多にないとはいえ、3人に1人は通学先の学校名を投稿しています。
電話番号:子ども同士の場合、電話番号はいじめに使われる直接的な手段です。大人の場合は、さらに悪質な行為に利用されかねません。犯罪者にとって、電話番号は入手可能な情報の中で最も価値あるデータです。たとえば、Kaspersky Labのエキスパートは、サイバー犯罪者がSNS利用者の電話番号を収集し、盗んだ情報を使ってオンラインバンキングサービスに再登録し、標的の口座にアクセスするという悪質な手口を発見しています(英語記事)。
現在の位置情報(「チェックイン」):家族で外出中だという情報は、泥棒に合図を送るのと同じです。位置情報があれば、さらに居場所を突き止めやすくなります。
プライベートな写真/恥ずかしい写真:若者には面白おかしい写真でも、インターネットに公開するとトラブルに発展する可能性もあります。たとえば、10代の少女のいかがわしい写真を集めて「ホット」なコンテンツとして公開するサイトは、いくらでもあります。大学や企業の責任者などは、みっともない写真(酩酊状態で夜遊びしている写真など)に不快感を示すかもしれません。
自分以外の人のプライベート写真:自分が相手の立場だったら見たくないような他人の写真は、公開しないでください。この基本ルールは、年齢を問わず誰もが理解しておくべきものです。たとえば、FOSI(英語サイト)が米国で実施した調査によると、インターネットに公開した我が子の情報が子ども本人に受け入れられず、削除してほしいと頼まれたことがある親は5人に1人に上りました。親にとってはかわいい子どもの写真でも、将来的にいじめの原因になるかもしれないことを覚えておきましょう。
高価なプレゼントの写真:こうした写真は、富やぜいたくを他人に見せびらかすことになります。自宅の住所と現在の位置情報と合わせれば、インターネットで標的を探す泥棒にとっては金脈です。
私生活に関する情報:個人情報は、あなたにとって不利な使われ方をする危険と常に隣り合わせです。たとえば、オンラインアカウントのパスワードを推測するのに使われたり、あなたが引っかかりそうな詐欺の手法を考えるのに利用されたりするかもしれませんし、お子さんと知り合いになって信頼してもらうために使われる可能性もあります。自分にとって大切な人への不平不満や非常に個人的な情報を公開するのは特に危険で、人間関係にダメージを与える可能性があります。もう1つ、以前付き合っていた人の写真は公の場から削除しましょう。そうしておかないと、現在または将来の人間関係を壊しかねません。
繊細な話題に対する批判的な意見:親も子も、自分の意見を持つのは当然のことです。しかし、宗教、政治、性的指向など、議論を呼ぶテーマについては、インターネットで意見を述べない方がよいでしょう。ネット上の発言が論争を巻き起こし、仮想世界から現実世界のもめごとに変わったり、これから通う学校や将来の勤め先での評価が台無しになったりする可能性もあります。
対策
- どのような事情であろうとインターネットに公開してはならない情報があることと、その理由を子どもに教えましょう。SNSに投稿することは、大勢の人がいる場でしゃべるのと同じです。路上や教室で「大きな声で話す」のが危険であるような話題や人としてどうかと思われるような話題はインターネットに書くべきではないのだ、と説明しましょう。
- 親は子どもと同じSNSサイトにアカウントを作成し、フレンドとして登録しましょう。そうすることで、子どもが投稿した内容を確認できますし、情報を公開し過ぎるのを早期に食い止めることができます。
- ペアレンタルコントロール機能を持つソフトウェアやアプリを活用しましょう。不適切なコンテンツから子どもを守るとともに、危険な投稿を通知してくれます。