Threadsを使うか否か?それはプライバシーの問題です

X(旧Twitter)に代わる新アプリとも呼ばれるThreadsを始める利点やプライバシーの問題などについて議論します。

Metaのマーク・ザッカーバーグ氏が、X(旧Twitter)の対抗馬としてThreadsを立ち上げました。この新しいSNSのプライバシーについて詳しく解説します。

Threads とは?その仕組みは?

Threadsは、完全に独立したSNSではありません。厳密には、 Instagramのアカウントを使ってログインをするテキストベースのアプリで、InstagramがないとThreads の機能を使用することはできません。

Threadsのアプリ自体は、驚くほどX(旧Twitter)に似ています。2つのアプリを並べて、X(旧Twitter)のアイコンやMetaのくねくねした靴紐を画面から消すと、見分けがつきません。

Tw​​itter アプリと Threads アプリの比較

どちらが何のアプリか当ててみてください

Threadsに投稿されたコンテンツは、Threadsアプリまたは Web バージョンの thread.net(Slackに似た企業メッセンジャーの開発者が所有するサイト thread.com と混同しないようご注意ください)で読むことができます。しかし残念ながら、Threadsには不便な点があります。タイムライン上にフォロワー以外のランダムな人のスレッドも表示される上、話題を検索する機能もありません。誰かのプロフィールや個々の投稿への直接リンクをたどるオプションしかありません(それも探し回る必要があります)。基本的に、Instagramを使ったことがある人なら、きっと理解できるでしょう。

また、アプリをインストールせずにThreadsに投稿することはできません。このサイトにはサインインのボタンさえありません。メインページには「アプリを取得」のメッセージとGoogle PlayおよびApple Storeへのリンク、そしてQR コードが表示されます。このため、アプリとInstagramのアカウント両方がなければ何もできません(2023年8月3日ブログ公開時点 — 詳細は後述します)。

Threads.netのメイン ページ

現時点では、Threads を使用するにはアプリが必要です

Threadsは詐欺の温床?

Threadsは機能が控えめなので、詐欺師にとっては格好の活動場所です。当社の専門家はこれまでに、ThreadsのWebバージョンを模倣し、少なくともInstagramのログインデータと一致するユーザーのログインおよびパスワードを収集するフィッシングページを複数発見しています。

さらに、いわゆる「Threads Coin」はネット上で暗号通貨としてすでに販売されています。その通貨の作成者ですら、このコインの目的を完全に理解していないようで、漠然と「ユーザーとメタバースとつなぐことを約束」しています。

また別のケースでは、詐欺師が、数万人のフォロワーを獲得できるとしてユーザーを誘惑し、彼らの個人情報を窃取し、お金も騙し取っています。

Threads はどれくらいのデータを収集しているのか?

ザッカーバーグ氏の全てのプロジェクトは、大量のデータを収集することで知られています。おそらく、個人情報の収集に関してザッカーバーグ帝国に匹敵するのは、遍在的な Googleでしょう。

Threadsも例外ではありません。App Storeのプライバシーに関する説明によりますと、このSNSは手当たり次第全てのユーザーデータを収集します。ただし、留意すべき点がいくつかあります。まず、収集されるデータのリストはInstagramのものと同じです。

ThreadsとInstagramで収集されるデータのカテゴリ

ThreadsとInstagramで収集されるデータのカテゴリ

さらに、このリストはアプリ開発者自身によって書かれたものなので、真実かどうかはわかりません。現時点で、Threadsがまだアクセスを要求していないカテゴリのデータがどうやら含まれているようです。例えば、リストには「位置情報へのアクセス」とありますが、このブログ公開の時点では、アプリはその許可を要求していません。

ThreadsとInstagramアプリの許可

ThreadsとInstagramアプリの許可

X(旧Twitter) は?

X(旧Twitter)も、大量のユーザーデータを収集しています。下の画像は、App Storeが提供しているX(旧Twitter)アプリのプライバシーに関する詳細情報です。どのような情報を要求しているのか見てみましょう。

Twitterで収集されるデータのカテゴリ

Twitterで収集されるデータのカテゴリ

話は変わりますが、X(旧Twitter)はここ数年、非アクティブなユーザーの使用を複雑にすべく懸命に取り組んできたことに触れておく必要があります。現状では、他の人のツイートを読むには、X(旧Twitter)のアカウントを持つことが推奨されています。つまり、この意味では、マスク氏のアイコンもザッカーバーグ氏の靴紐も変わりはありません。

ただし、X(旧Twitter)は(今のところ)まだ優位な立場にいます。Webバージョンでは、プライベート ブラウザを使用してデータ収集の一部を回避できるのです。

InstagramユーザーはThreadsプロフィールを取得すべき?

上記のように、ThreadsとInstagramの許可リストは同じです。すでにインスタを使用していて、Metaが収集する個人データの量をそれほど気にしないのであれば安心してください。Threadsアプリは新しい種類の情報を収集しません。ただし、投稿は引き続き読み取られます。

現在、ユーザーが Threads をやめると、Instagram アカウントも失うという恐ろしい話が出回っています。そうしないと、X(旧Twitter)のライバルからアカウントを削除できないと言われているのです。ただし、そもそも Threadsアカウントは存在しないことを理解する必要があります(存在しないものを削除するのは確かに困難です)。Instagram アカウントにリンクされているのは、Threads のプロフィールだけです。プロフィールは削除できませんが、非アクティブ化することは可能です。その後、他のユーザーはアプリベースの情報を閲覧できなくなります。実際には、これは削除とほとんど変わりません。

簡単に言うと、すでにInstagramを使用しているのであれば、Threads プロフィールの作成について心配する必要はありません。何らかの理由でアプリが気に入らない場合は、プロフィールを非アクティブ化すると、その時点までに公開した内容がすべて非表示になります。

Threadsのために Instagram にサインアップする価値はある?

Instagramのアカウントを持っていないが、Threadsを使用するためにアカウントを取得したいという場合は、もう一度考え直した方がよいでしょう。これまで Instagram から遠ざかっていた主な理由がプライバシーの問題だった場合はなおさらです。

問題は、Threads がActivityPub プロトコルを使用して Fediverse(独立したソーシャル ネットワークの分散型連合)に参加する機会を約束しているという点です。この機能はまだ運用可能ですが、Threads開発者はプラットフォームに追加することを計画していると伝えられています。

つまり、プロフィールを作成しなくても、Instagram アカウントを持っていなくても、さらにはザッカーバーグ氏の会社が作成したアプリをインストールしなくても、Threadsに投稿できるのです。その代わり、データをそれほど必要としない代替SNSアカウントを使用できるようになります。ただし、この機能が実装されるには、まだ時間がかかります。

X(旧Twitter) や Threads の代替手段

ThreadsやX(旧Twitter)に代わる主な選択肢は Mastodon だという声が多くあります。このSNSは、すでに Fediverseの一部であり、ActivityPubをサポートしています(将来的には、ここからThreadsの投稿を読み書きできるようになります)。もう 1 つの重要な利点は、Mastodonアプリがユーザー データをほとんど収集しないことです。そして、選択できる Mastodon クライアント アプリはたくさんあります

さらに、Wired 誌のジャーナリストは、Bluesky、Hive Social、Spill など、X(旧Twitter)とThreadsの代替手段をいくつか提案しています。これらのマイクロブログ プラットフォームはすべて、収集するユーザー データがThreadsやX(旧Twitter)よりもはるかに少なくなっています。ただし、ActivityPubはサポートされていません。

次回の投稿では、Threadsを試してみようと決めた人のために、ザッカーバーグ氏の「Twitter殺し」と言われるアプリでプライバシーを改善する方法について説明します。また、ネットを安全にするために、信頼できる VPNを使用することもお勧めします。

ヒント