「Toncoinを買って友人を招待」:仮想通貨で大儲けを約束する詐欺

友人や知人に紹介リンクを送り付けて、多額の仮想通貨「Toncoin」を稼げると勧誘する詐欺の手法について説明します。

仮想通貨の取引は、一獲千金のチャンスだと思う人は少なくありません。自分の知り合いから「ビットコインを買ったら大儲けした」という話を聞けば皆興味がわき、運がよければ一生働かなくても生きていけると思ってしまうのです。理論的にはあり得ることですが、それは宝くじに当選するのと同様で、実は信じられないほど少数の人にしか起こりません。「仮想通貨で一獲千金」というのは、事実というよりインターネット上の流行り言葉、いわゆる「ミーム」であると思ってよいでしょう。仮想通貨で億万長者になったと自称する人々は、ランボルギーニのような高級車や都心の高層マンションと同程度の価格の腕時計などを見せびらかし、それらを見た人の夢を煽り立てます。しかし、それらの車は往々にしてレンタルであり、時計は安物の偽造品だったりします。

このような「仮想通貨の達人」や「事情通」は、誰でも仮想通貨で大金持ちになれると宣伝しています。しかし、そんな都合のいい情報がただで手に入ることがないということは、周知の事実です。今回は「Toncoin(トンコイン、TON)で稼ぐ」という詐欺の仕組みを説明します。Toncoinは、Telegramの技術をベースにしたブロックチェーンプラットフォームで、日本では国内取引所のBITPoint(ビットポイント)で取り扱われています。

Toncoinの「収益」詐欺の仕組み

詐欺師は、Toncoinを稼ぐ方法を「極秘のすごいボット」と称してその紹介リンクを拡散します。簡単に言うと、お金を投資し、「ブースター」プランに課金し、友人も勧誘して購入させれば、投資したコインから報酬が支払われるという仕組みです。こういったマルチ商法の手口は、より高いリターンを約束することで、より大きな投資を奨励するというものです。

当社のデータによりますと、この詐欺は少なくとも2023年11月頃から確認されており、主にロシア人とその他の国のユーザーの両方を標的にしています。「潜在的な会員」を誘い込みやすくする目的で、詐欺師は、ロシア語と英語の両方で説明動画を録画し、詳細なマニュアルや多数の説明用スクリーンショットも用意しています。

では、この詐欺の手口を順を追って見ていきましょう。当社の保護製品カスペルスキー プレミアムを有効にしてから、先に進むことをお勧めします。

第1段階:準備

まず、詐欺師は非公式のTelegramボットを使用して、仮想通貨を保管する仮想通貨ウォレットに登録するよう被害者に指示します。次に、被害者は新しいウォレットのアドレスをボットに提示し、ブースター購入による「収益」が得られるようにします。この時点で詐欺師は、これらのボットが必要である本当の理由は後で説明すると言います。詐欺師の最初の関心事は、あまり多くの質問を被害者にさせず、確実に登録させることです。

ブースター購入用ボットのウィンドウ。登録には、仮想通貨ウォレットボットに作成済みのウォレットのアドレスを入力する必要がある。

次に、詐欺師は5.5~501Toncoin(TON)を購入するように指示します。この記事の執筆時点では、1TONは約6USドルに相当します。また購入には、P2Pマーケット、仮想通貨取引所、公式Telegramボットのような正規のツールの使用を推奨し、購入が完了すれば、暗号ウォレットボットにすぐに送金するように指示します。このボットは、詐欺師がコントロール可能な「収益システム」内で被害者の個人アカウントとして機能していると考えられます。

第2段階:実行

アカウントが登録され、コインが購入されてボットへの送金が完了したら、いよいよ「収益」を得始める段階です。詐欺師は、「自転車」「車」「電車」「飛行機」「ロケット」などのブースタープランを選択して「2番目のボットをアクティブにする」ように要求します。プランの料金が高くなるほど、手数料率も高くなります。「バイク」は5TONで手数料は30%ですが、「ロケット」は500TONで手数料が70%です。しかし、プランの違いは重要ではありません。どのプランを選択しても、取り返しがつかないほどの大金を失う結果になることは変わりないからです。

ブースターボットの料金選択ウィンドウ

詐欺師の指示に従い、被害者はプライベートのTelegramグループを作成し、生成した紹介リンクとともに「収益」の仕組みに関する説明動画を投稿します。このような動画は、オンライン上に大量に出回っています。そのため、この詐欺の犠牲になった被害者が非常に多いことがわかります。

第3段階:稼ぐ!

では、実際にどうやって稼ぐのでしょうか?答えは、友人や知人の助けを借りて稼ぐのです。彼らもTONを購入し、それを仮想通貨ウォレットに転送して「ブースターボットをアクティブにする」必要があります。詐欺師は、プライベートグループに少なくとも5人の友人を招待することを強く推奨しています。「招待できる人数は無制限です。集める人数が多ければ多いほど、収益も高くなります。少なくとも5人がブースターボットをアクティブにするまで、収益は手に入らないことをお忘れなく!」と詐欺師は言います。あらゆる言葉が魅力的に聞こえるかもしれません。詐欺師は、この「信じられないような収益の仕組み」について個人的に説明するために、友人一人一人に電話で話すことまで推奨しています。

詐欺師が収益を約束する収入源は2つあります:

  1. 招待した友人1人につき25TONの定額払い。
  2. 招待したメンバーが購入したブースター料金に基づく手数料。

これは、典型的なマルチ商法です。このような手口では、各参加者を「ただ乗りするメンバーではなくパートナーである」と定義しています。残念なことに、利益を得るのは詐欺師のみで、「パートナー」は全員、投資したお金を失う結果となります。

仮想通貨詐欺の被害に遭わないために

  • たとえ友人や家族が勧めてきても、一獲千金を煽るような話には耳を貸さないようにしましょう。勧めてくる人自体が、気づかぬうちに詐欺の被害者になっている場合もあります。
  • 見知らぬウォレットや管理者が不明なウォレットに、仮想通貨を送金しないようにしましょう。この詐欺で使用されている一連の指示は紛らわしいため、公式の@walletボットからサードパーティのボットへの不審な送金が見逃されやすくなっています。
  • 暗号資産を、最高レベルの保護機能を使用して守りましょう。これにより、ウォレットに保管したデータのセキュリティの確保、不審なWebサイトに関する警告、仮想通貨のフィッシングリンクや詐欺のブロック、マイナーやその他の脅威からの保護が可能となります。
  • 当社の仮想通貨詐欺に関する投稿をご一読いただき、最新の詐欺の手口に関する情報を入手してください。またその情報を、友人や家族、特にインターネットにまだそれほど詳しくない方々に共有するのも忘れないでください。
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