小中学生がネットのリスクを自分で判断する力を育成:授業レポート

カスペルスキーと静岡大学、鹿児島大学が共同で開発したカード形式情報セキュリティ教材「ネットの『あやしい』を見きわめよう(GIGAスクール版)」を使った授業を見学に行ってきました。当日の子どもたちの反応や授業の様子をお伝えします。

2017年に、当社と国立大学法人静岡大学による共同プロジェクトで開発した、カード形式の情報セキュリティ啓発教材「ネットの『あやしい』を見きわめよう(中高生編)の提供から早くも6年が経ちました。このたび私たちは、これからの情報社会で子どもたちに求められる情報活用能力を育成するお手伝いをするために、既存の教材を今年の5月に刷新しました。新しい教材は、ネットやアプリにまつわる「あやしさそこから考えられる「リスク」の程度を見きわめる力をトレーニングするものです。また、GIGAスクール構想による1人1台端末環境の普及を考慮し、子どもたちがPC・タブレットでもカードを操作できるWeb版も用意しています今回のプロジェクトには国立大学法人鹿児島大学も開発に加わり、3者共同となりました。 

7月初旬、このカード教材を使用した授業が、学校法人 星美学園 静岡サレジオ小中学校行われました。講師はNPO法人イーランチ 理事長 松田直子様です。イーランチは2003年の設立以来、「誰もがICTで豊かに暮らせる社会づくりを応援する」を掲げ、日々活動されています。当日の授業は、前半は主に情報モラル、後半はカード教材を使った実践で構成され、小学校5、6年生と中学校1、2年生に分けて2回行われました。 

NPOイーランチ松田様による小学校5、6年生向けの授業(情報モラル)

NPOイーランチ松田様による小学校5、6年生向けの授業(情報モラル)

小学校5、6年生向け授業の前半は主に情報モラルについてです。インターネットやSNSを使う時には、どのように正しい情報を見きわめるのか、SNSで情報や画像を共有するときに慎重になるべき理由、個人情報は大切にし安易に公開しない、ネットいじめは犯罪行為であることなど子どもたちにとって身近で自分ごとになりやすい事例を交えながら話されました 

例として、友だちと一緒に映った写真をインターネットに公開した場合、どこが危険かを子どもたちに答えてもらう問いかけでは、特長のある背景や瞳に写った風景から居場所がわかってしまう、などの意見が次々と出ていました。 

いよいよ後半は、教材「ネットの『あやしい』をみきわめよう(GIGAスクール版)」を使っての実践です。今回の授業でWeb版を使用しました。子どもたちは持参したタブレットから、オンラインで教材のカードを操作できるページにアクセスします。ブラウザ上に表示されたカードにはなりすましや不正ログインなど実例に基づきインターネット利用時に子どもたちが遭遇する可能性のあるセキュリティリスクが描かれています。端末画面を模したイラストは、分かりやすく、子どもたちに親しみやすいよう工夫されています 

ネットの『あやしい』をみきわめよう(GIGAスクール版)

ブラウザ上で操作できるカード画面 ホームページ

子どもたちはその内容をずつ確認し、どの程度のリスクがあるかを考えて、「大/中/小」のいずれかの場所にドラッグ&ドロップで仕分けま 

カードをリスク「大/中/小」いずれかの場所にドラッグ&ドロップ

カードをリスク「大/中/小」いずれかの場所にドラッグ&ドロップ

各自が仕分けた後は、近くに座っている子ども同士でお互いの答えを共有するグループワークです。各カードのリスクの程度を自分で考え議論することによって、リスク発見のスキルを養うことが期待できます。 

仕分けた後、グループワークでお互いの考えを共有します

仕分けた後、グループワークでお互いの考えを共有します

グループワーク後は、セキュリティリスクが描かれた10枚のカードのリスク「大/中/小」の答え合わせです。松田様から回答とともに、詳しい理由の説明がありました。リスク大の場合や個人情報の登録を求められる場合は、大人に必ず相談をするようにとのアドバイスもありました。 

答え合わせでは、理由を詳しく説明

答え合わせでは、理由を詳しく説明

授業を終えた子どもたちからは、「正しいことか間違っていることかをちゃんと見極められるとトラブルに巻き込まれたり誰かを巻き込んだりすることが少なくなると思う」「これからは、危険なサイトか安全なサイトかを見極めて、自分の身を守るようにしたい」「問題がなさそうに見えても危険は潜んでいます。だから自分で判断に困った時には大人に相談することが大切だとわかりました。今日の学びを通じて、インターネットの使い方を守って安全に使用したいですといった感想が寄せられました。 

NPO法人イーランチ 理事長 松田直子様からは、日頃インターネットを使っている中で立ち止まってほしいシーンを10パターン示すことができました。Web版ではタブレットを操作しながら考えるので飽きさせることがありません。GIGA端末に慣れてきたこのタイミングで本教材を取り入れることで、情報セキュリティに苦手意識のある先生にも容易に教えられるのではないかと思いましたとのコメントをいただきました。 

授業はあっという間でしたが、身近な例を取り入れた説明や、実際にタブレットでカードを仕分ける参加型の内容は、情報モラルや情報セキュリティの知識を広げ、自分ごととしてインターネットやSNSを利用する際のヒントや気づきにつながったと感じます。 

GIGAスクール構想による1人1台端末環境の普及に伴い、子どもたちの日常となったインターネットの利用には、なりすましや詐欺などさまざまな脅威が潜んでいます。本教材の利用を通じ、インターネットを利用する際に出会うリスクを自分自身で判断できるようになり、インターネットがもたらす可能性を享受できるようになって欲しいと改めて思いました 

本教材はインターネットを使用しなくても授業を行っていただけます。指導者用ガイドブック/説明用スライド/体育館などでの集合研修時に使用できるワークシート/カード台紙、印刷用カードPDFなど、本教材一式はこちらからダウンロードしていただけます。(無料) 

・ネットの『あやしい』を見きわめようGIGAスクール版 https://kasperskylabs.jp/activity/giga/index.html 

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