2018年に当社と国立大学法人静岡大学が共同開発・公開した、カード形式の情報セキュリティ啓発教材「ネットの『あやしい』を見きわめよう(シニア編)」は、シニアの方々がスマホでインターネットを利用する際のリスクをご自身で判断し、ネットにまつわるトラブルを避ける力をつけていただくことを目的としています。
初版を公開してから、消費生活センターや情報セキュリティ啓発講座などで広く利用されてきました。2023年9月に内容を更新し、シニアにとって身近なトラブルとなっているサポート詐欺や、初めは無料でも一定期間を過ぎると課金が開始される「無料アプリ」などを新たに加えて提供しています。
講座当日
今回見学したのは、静岡県が取り組む消費者教育出前講座のひとつである「シニア向けデジタル活用講座」を行う講師を養成する講座です。シニア向けデジタル活用講座では、主にスマホやアプリ、ネットサービスなどの上手な使い方や、ネット利用関連の消費者トラブルとその対処方法などが学べ、シニアの方々のデジタルリテラシーの向上が期待できます。このシニア向けデジタル活用講座の一部として、当社の情報セキュリティ啓発教材が使われています。
講師養成講座はオンデマンド配信による知識編を行った後、実践編を静岡県内で複数回実施しており、受講者は今後、県内で講師として活動される方々です。見学当日は13名の方が受講されていました。
講師養成講座の実践編では、シニア向けデジタル活用講座のカリキュラムに沿った模擬講座が行われました。実際の講師用スライドを使い、模擬講座のスタートです。スライドはインターネットの仕組みから始まり、デマや誤情報を避けるために公的機関の情報を確認することの重要性、スマホアプリのユーザー登録やアンケートへの回答などで自分の情報を渡すことの意味など、ネット上のトラブルにあわないための基本がカバーされています。
続いて、カード形式の情報セキュリティ啓発教材「ネットの『あやしい』を見きわめよう(シニア編)」を使用したパートです。受講者に配布された8枚のカードには、スマホでアプリやネットを使用するときにシニアが出会う可能性のある場面が描かれています。
受講生はカードのどこがあやしいかを各自で考えた後、受講者同士で考えを共有し意見交換をします。その後、答え合わせと受講者が実際に講座を行う際に気を付けるポイントなどの説明がありました。
最後のパートは、講座を実施するための模擬練習です。数名ずつのグループに分かれ、講師用スライドを使い、ひとりずつ講師として説明にチャレンジです。ひととおり終わった後は、受講者同士がそれぞれ良かった点や改善点をフィードバックする時間が設けられており、講師デビューに向け不安や疑問をクリアにできたのではないかと思います。
講座を終えた受講者からは、「カードゲームを取り入れている参加型の点が良い」「出前講座を通して高齢者の消費者被害が少なくなる世の中にぜひ貢献したいと強く感じた」といった感想が寄せられました。
ネットの利用が日常になっている現在の生活には、なりすましや詐欺などのさまざまな脅威が潜んでいます。講師養成講座に熱心に取り組まれている受講者の方々の様子を目の当たりにし、本カード教材をもっと広く利用いただけるよう、いっそう取り組んで行きたいと感じました。
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【教材ダウンロードサイト】「ネットの『あやしい』を見きわめよう(シニア編)」の講座を実施するための説明用スライド、ワークシート、カードなど教材一式はこちらからダウンロードしていただけます。(無料)https://kasperskylabs.jp/activity/senior/index.html