とても長くて、法的拘束力のある、素敵な文書はいかがですか。ほんの数時間で読める、法律の学位が必要そうな文書です。え、読まない?そうですか。まあ、そう言うのはあなただけではありません。
使用許諾契約書(EULA)に関しては、長年にわたり「きちんと読むこと」の大切さが説かれてきました。過去には、サービスを利用するにあたって「我が子を手放す」という条件を承諾してしまった人がいましたし、利用者に圧倒的に不利な条件を突きつける恐ろしい内容が含まれていた例もあります(リンク先はいずれも英語記事)。にもかかわらず、誰も使用許諾契約書を読みません。ソフトウェアのインストール、オンラインサービスの契約、無料Wi-Fiホットスポットへの接続などを行う前に、私たちは必ず使用許諾契約書に同意しなければなりません。使用許諾契約書とは、言ってみれば、対価として支払う内容と、それと引き換えに提供されるものを説明した売買証書です。
使用許諾契約書をよく読まない人を非難することは、私にはできません。使用許諾契約書は読んでも面白くないですし、だいたいものすごく長いですから。数年前に『Time』誌が見積もったところによると、こうした回りくどい契約書の隅々まで目を通そうとしたら、1日8時間の労働に換算して年間76日が必要です(英語記事)。しかし、使用許諾契約書に法的拘束力があることを無視するわけにはいきません。使用許諾契約書に書いてあることが理解できないときは、もしかすると同意しない方がいいのかもしれません。
ここで、少しばかりのご提案を。
- 使用許諾契約書が短ければ、少なくともざっと目を通しましょう
- 使用許諾契約書の内容を分析するツールを使ってみましょう(英語の使用許諾契約書に対応するEULAlyzerというものがあります)
- どうしても必要なサービス以外は、利用しないようにしましょう
「タダより高いものはない」と頭ではわかっていても、どこかで期待してしまうのが人間というものかもしれません。しかし、何かを利用するには必ず対価が生じますから、何を差し出すことになるのかくらいは知っておきたいものです。