ヒント:インターネットでの子どもたちの安全を守るには

インターネットでの子どもたちの安全を守る方法を、心理学者のエマ・ケニー氏がアドバイスしてくれました。

子どもがいつもと違って内にこもった様子で、妙に静かだ。そういえば、ずっとスマートフォンで何かやっている。宿題はとっくに終わっているのに。

「何しているの?」

返事がない。

もう一回聞いてみる。「ねえ、スマホで何をしているの?」

「何もしてない!ほっといて!」普段はいい子なのに、言い返すなんて!

いったい何ごと?見てはいけないものを見てしまった?誰かにいじめられている?何が起きているかは分かりません。おそらくスマートフォンとインターネットに関係した何かが起きているのだということは分かります。でも、原因を突き止めて対処するには、どうするのが一番いいのでしょうか?

インターネットの世界は、ためになる知識や情報や、楽しいことでいっぱい。正しく使えば、子どもたち一人一人に大きな利益をもたらします。でも、Kasperskyが行った調査(英語)によれば、保護者たちはインターネット上で子どもたちの安全をどのように守るかに苦慮しています。親の85%が、インターネットを見ている子どもたちが何にさらされる可能性があるか心配であると答えています。

本調査によると、7~12歳の子ども10人のうち9人以上が、インターネットに対応したデバイス、スマートフォン、またはタブレットを持っています。保護者は、子どもが性的コンテンツや暴力的コンテンツを見てしまうのではないか、よからぬ意図を持った大人が子どもに近づいてくるのではないかなど、子どもたちを取り巻くさまざまなオンライン脅威を心配しているように見受けられます。その一方で、子どもたちがインターネットに接続できるデバイスを持つ必要性を感じてもいるようです。テクノロジーが急成長する現代では、子どもたちのインターネット体験を保護する必要性と、宿題や友達づきあいのような日常生活に欠かせない活動のためにインターネットを使わせることと、どのようにバランスを取ればいいのか分からなくなるのももっともです。

私には10代の子どもが2人いますが、子どもたちが成長するにつれ、インターネットを使わせることのリスクと責任について、私自身が学ぶことの重要性が増してきました。とりわけ、インターネットが進化を続けているとあっては。

適切なアドバイスや監督する目のないまま複雑なサイバーの世界に放りだされた子どもや若者の身に、どのような害が降りかかる可能性があるか、心理学を実践する者としては十分承知しています。調査の中で60%の保護者は、インターネット上で安全を脅かされた直接的な経験がある、またはそのような出来事を目撃したと答えています。たとえば子どもたちは性的なコンテンツや暴力的なコンテンツを見ていますし、インターネット中毒は実生活で最も身近にあります。さらに恐ろしいことに、13%がチャイルドグルーミング(性的な目的で子どもに取り入ろうとする行為)に遭遇したことがあり、14%がIDや情報が盗まれる経験をしていました。若者がインターネットで知り合った人を信じて個人情報や機密情報を渡したところ、相手は「友達」のふりをした犯罪者だった、そんな不幸な出来事を耳にするのは決して珍しくありません。

また、保護者が心配しなければならないのは、意図的に悪事を働く者たちだけではありません。自分の姿を特定の体型イメージに合わせなければならないとプレッシャーをかけるようなものを、私たちは日常的に目にしています。たとえばダイエット薬の宣伝であったり、美容整形の広告であったり。幼い子どもたちの目に入るものも増えています。こういったタイプのメッセージはそれほど心配しなくていいと思っている人もいるかもしれませんが、これらが若者の自己評価に悪影響を及ぼし、自分の体に不満を抱く原因になっていることを示唆する証拠が出てきています。

保護者の知らないところで意図せずアプリ内課金に大金を費やしてしまった子どもたちについての報道も数えきれないほど読みましたが、このような記事が抑止力として働いているようには思えません。これはつまり、スマートなテクノロジーが子どもたちにもたらす危険性を、保護者が理解していないことを示唆しています。

インターネットの世界を怖がりたくない、という保護者の気持ちは非常によく分かります。インターネットは情報の王国であり、教育に関する限りは民主的なプラットフォームですから。私は一人の母親として、インターネットが子どもたちに提供してくれるポジティブな体験をすべて受け容れます。しかし同時に、家族の中の成人として、子どもたちのインターネット体験の治安を維持し保護するための最善の方法を、自ら学ばなければならないということも認識しています。私たちは目を行き届かせることと自立心を養うことを両立させなければなりませんが、双方の要件を満たすには一筋縄ではいきません。親になるとき、教える者あるいは世話をする者となるとき、私たちはこうしたことをすべて理解していたわけではありませんでした。だからこそ、保護者向けや子ども向けの信頼できる教育的リソースに、私たちは折に触れて頼るのです。

インターネットにおける安全について保護者が子どもと話し合う時間は、全体の平均で46分前後という結果でした。それでも、子どもたちが監督者不在のまま何時間もインターネットを使っていることが、この調査では明らかになっています。子どもたちが新しいスキルを学習するときのことを、インターネット以外の分野で考えてみましょう。初めてプレイするスポーツかもしれませんし、読み書きを身につけること、美術の課題を友だちと話し合いながら進めることかもしれません。どの場合でも、子どもたちは教えを受け、アドバイスをもらい、監督され、導かれることによって、自分たちのしていることを確実に理解します。それだけでなく、子どもたちが教育を受ける期間中、このような指導は続いていくものです。

インターネットの世界についても、保護者が同様のアプローチをとる必要があります。端的に言うと、インターネットで子どもが何をしているか定期的にチェックするのです。難しいことではありません。インターネットでどんなことをしているのか聞いて、良かった体験と悪かった体験の両方を話し合ってみてください。また、子どもたちがどのようなものに接しているかを知ることも重要です。子どもに十分な情報を与え、保護することができるように。

私はインターネットの世界を、物理的な世界とほぼ同じように考えています。子どもたちの安全を守るため、我が家にはさまざまなセキュリティ対策を施してあります。鍵付きの窓はもちろん、何者かの侵入を知らせてくれる防犯アラームシステムまで。おかげで、子どもたちは寝室にいる間も安全です。でも、インターネットの世界ではどうでしょうか。もしも私がコンテンツフィルタリング機能やアプリの使用制限機能や、リアルタイムに危険を知らせてくれる機能などを備えたサイバーセキュリティシステムを導入しなかったら、子どもたちはインターネット上で危険にさらされるかもしれません。

フィッシング、個人情報のさらし上げ、ネットいじめなど、人を食いものにするような行為に子どもをさらしたい親などいません。だからこそ、インターネットの脅威や悪用から子どもたちをできるだけ保護することが重要です。そのためには、ペアレンタルコントロールなどのツールを活用する必要があります。たとえばカスペルスキー製品に搭載の「保護者による管理」機能がそれにあたりますが、こういった機能によって、子どもたちが画面を見ている時間を管理することや、子どもたちが使用するアプリを監視することができます。また、FacebookなどSNSを通じたメッセージのやりとりに制限をかけることもできます。

SNSの投稿にコメントをしただけでネット荒らしに目を付けられることがありますから、子どもたちがインターネット上で行うやりとりに目を配ることには意味があります。

このほか「保護者による管理」機能では、子どもに見せたくないWebサイトのカテゴリを指定できるので、アダルト向けサイトをブロックすることもできます。その一方で、皆さんが自分の子どもたちにインターネットでの危険について話をするのに十分な情報を得られるように、心理学の専門家と緊密に連携するのが私たちの仕事です。サイバーセキュリティ業界は必ずしも子育てのすべてを心得ているわけではありませんから、ここは私にとって不可欠な部分です。

しかし、ソフトウェアだけでは十分ではないこともあります。しばらく一人でインターネットを使っていた子どもの態度が、いつもと違って見えることもあるでしょう。子どもたちの教育においては、1対1のコミュニケーションに勝るものはありません。インターネットセキュリティ製品を使っている場合でも、インターネットで子どもが何をしたか、何を見聞きしたかを話し合うことの重要さは変わりません。

インターネットを見たりスマートテクノロジーを使って何かをしたりしていた子どもが、異常に静かになった場合や妙にイライラした様子を見せる場合は、インターネットで何か悪い経験をした可能性があるので、話し合ってみるのが一番です。

こういった率直な会話をすることの何が良いかというと、リスクや問題が手に負えなくなる前に何が起きているかを把握できますし、あなたが子どものことをどのくらい大事にしているかを直接伝えることもできます。

教育は力です。子どもたちが現実の世界とサイバーの世界の両方で、いつも安全でいられるように、また十分な情報を得られるようにするのは、親としての義務です。あなたがサイバー世界の安全を真剣にとらえるならば、子どもたちもそうします。こうして子どもたちは恐れることなくオンラインでの生活を楽しむことができ、「ネチケット」を理解した若者へと成長していくことができるのです。

幸せで、健全で、サイバー的に安全な将来を子どもたちに提示したいなら、今こそ行動を起こすときです。

インターネットでの子どもたちの安全を守るために

子どもたちがインターネット上で安全に過ごせるようにするために、私からいくつかヒントをお伝えしたいと思います。

  • インターネットを一緒に見て回りましょう。子どもがインターネットで何を見ているかを知ることで、安全を保つにはどうするのが一番良いかを探ることができますし、子どものしていることについて意味のある会話が持てるようになります。また、一緒にゲームをするなどしてネット上で時間を共有することは、お互いをよく知る機会にもなります。
  • デバイスは皆の見えるところに置きましょう。デバイスを子どもたちの部屋で使わせるのではなく、共用スペースに置くことで、起こりうる問題を把握しやすくなります。おまけ:あなたがそこにいるということで、子どもたち自身が自己チェックするようになります。
  • インターネットを使う子どものそばにいることができない場合は、ペアレンタルコントロール機能などのテクノロジーを活用しましょう。
  • インターネットの使用時間を制限しましょう。限度というものが必要ですから、インターネットを使える時間を話し合って決め、決めた時間は厳守させましょう。子ども時代を健全に楽しく過ごすには、バランスの取れた活動が必要です。ほとんどのOSでは、タイマーでインターネットの使用時間を制限できます。
  • ブロックと報告を活用しましょう。インターネットで何か問題になることを見たとき、または経験したときに、どうやってブロックすればいいか、どう報告したらよいか、やり方を子どもに教えましょう。こうすることで、インターネットでのエチケットが身につきますし、自分はちゃんと物事を把握してコントロールできている、と子ども自身が感じられるようになります。
  • 責任を分かち合いましょう。インターネット上でも実生活でも、行動規範は同じです。現実の世界で人に言わないようなこと、共有しないようなことは、インターネット上でもすべきではありません。
  • インターネットでの体験を定期的に話し合いましょう。要は、何か気にかかることはないかを聞いて、その内容を受け止める、ということです。心配事があるときにはいつでも頼っていいんだ、とお子さんが理解できるようなコミュニケーションを築きましょう。
  • 非難しないで!子どもたちがインターネット上でトラブルを起こしたり巻き込まれたりすることがあるかもしれませんが、そのときのあなたの反応はとても大きな影響を与えます。怒るのではなく、次に何かあったときどうすればよいかの答えを子どもなりに出せるようにサポートし、今後の教訓にできるようにしましょう。
  • インターネットに投稿したものは生涯ずっとインターネットに残る、という現実を伝えましょう。投稿した写真を学校の先生やおじいさん、おばあさんが見たときどんなことになるか、自分自身が大人になって重要な仕事に就いたときにその写真のせいで何が起こるかなど、「こんなことをしたらどんなことになるだろうか」を考える手助けをしましょう。
  • 毎日、その日にあったことを話してもらいましょう!寝る前の10分間、子どもたちとその日あったことについて話し合いましょう。インターネットで起きた良いこと、悪いことについても聞いてみてください。こうして話すのが日課になれば、インターネット上でのふるまいについて考える機会にもなります。しばらく続けていれば、「確認」のために特別なことをしているという気持ちも薄れてきます。
  • あなた自身も勉強しましょう!サイバーの世界を理解すれば、サイバーの世界について自信を持って話せるようになります。これから何が流行りそうか、人気のゲームは何か、盛り上がっているコミュニケーションチャネルは何か、少し時間を取ってチェックしてみて、それらがインターネット上で子どもにどのような影響を与える可能性があるかを考えてみてください。

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