安全な空の旅のために:覚えておきたい6つのルール

2015年3月16日

地球上で最も安全な場所といえば、空を飛ぶ飛行機もその1つでしょう。ですが、快適で楽しい空の旅にするためには、守らなければならないルールがあります。

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ルール#1. 落ち着いて!

万一あなたが飛行機恐怖症だとしても、座席についてしまえば、騒いだところでどうにもなりません。自分の力ではどうにもならないと認めて、落ち着きましょう。こんなことを言うと余計に恐怖を煽り立ててしまうかもしれないとは、重々承知しています。でも、考えてみてください。空港までタクシーに乗っている間は怖くなかったのでは。路上でも、タクシーの運転手や他の車の運転手を思い通りにはできません。

自分ではどうにもならないことを気に病むよりも、安全のためにできることに集中しましょう

ここだけの話、一部のタクシー運転手は、全体的にいってパイロットほど難しいことを要求されません。タクシーと飛行機の技術的な整備や維持についても、これと同じことが言えます。

ですから、エンジンの音を聞こうとしたり、客室乗務員の顔に不安や恐怖の色が浮かんでいないか確かめようとしないでください。先日の記事にもあるように、運航できない飛行機は空港から飛び立てないですし、何か問題が発生したら、誰よりも先にパイロットが気づきます。操縦席で点滅しているライトや計器は、すべてそのためにあるのです。

自分ではどうにもならないことを気に病むよりも、できることに集中しましょう。より安全なフライトにするためにできること、しなければならないことがあるのです。

ルール#2. シートベルトはしっかり締める

ささいなことのようですが、フライト中にシートベルトをしっかり締めるのは、安全確保の基本です。バックルを留めていても、ベルトを締めずに腿の上にだらりと垂らしたままではシートベルトをしていないのと同じです。なぜでしょう。着陸時を考えれば答えは明らかです。パイロットが急ブレーキをかけるかもしれないのです。では、離陸のときはどうでしょうか。

離陸時、飛行機はスーパーカーに匹敵する速度、時速約320㎞で走行しています。ところが、さまざまな理由で離陸が突然中止されることもあります。滑走路に自動車が突然侵入してきた、目の前を別の飛行機が地上走行していた、などの場合です。とにかく飛行機を止めなければなりません。

ブレーキは自動的にかかります。パイロットが自動制御システムをRTO(離陸中止)ポジションに設定しているからです。RTOは最大限のブレーキがかかるよう特別に設計されています。

離陸が中断されると、飛行機はわずか数秒で完全に停止します。自由落下の約1.5倍の加速度で走っていたのです。シートベルトをしっかり締めていなければ、慣性力によって体が前方へ飛び出します。運がよくても前の座席に頭をぶつけてしまうでしょう。

座席と座席の間隔は約50㎝ですから、シートベルトをしっかり締めていれば、前の座席にぶつかることはほとんどありません。ですが、ベルトが10㎝でもゆるんでいたら、ひどい目にあいます。この不運から受けるインパクトがどれほどのものか実感するには、テーブルやタンスから真っ逆さまに落ちてみてください。もちろん、本当に落ちてみろといっているのではなく、どうなるか想像してほしいのです。もう、おわかりだと思います。シートベルトはしっかり締めましょう。

ちなみに、離陸時に客室乗務員からテーブルを元の位置に戻すように言われるのも同じ理由です。1.5Gの加速度で滑走しているときに腹に一撃食らうのは面白くも何ともありません。

ルール#3. 飛行中はずっとシートベルトを締めておく

「シートベルト着用」のサインが消えても、シートベルトは締めたままにしておくといいでしょう。飛行中に、突然飛行機が止まるわけがないのですが、乱気流やウインドシア、上昇気流などが発生することがあります。

Everything hit the ceiling–including some people. Little warning. Like falling off a cliff.

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シートベルトを締めていなければ、勢いで座席から投げ出され、頭を強打してしまいます。信じられないかもしれませんが、単純な物理現象が起きているにすぎません。

Luckily, I was belted in.

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乱気流の中を飛行中、最も危険な場所はトイレです。非常に閉ざされた空間ですし、いろいろなものが突き出ているので、当たりどころが悪ければ致命傷になりかねません。

「座席にお戻りください」サインが点灯したら、速やかに用を足して自分の席に戻りましょう。もちろん、これほど激しい乱気流はめったにありませんが、トイレの中で乱気流を経験するのは危険です。

ルール#4. すべての電子機器の電源をオフにする

もちろん、客室乗務員が機内を見て回るのは、乗客が電子機器のスイッチを切ったかどうかを確認するためです。電子機器は危険をもたらすのでしょうか?以前は、飛行機の電子システムと干渉しないよう、電子機器の使用は禁止されていました。

現在はもちろん、飛行に関わる電子システムはすべて厳重に遮蔽されています。見えないところでタブレットが使われているからといって、飛行機は落ちません。最悪、ガジェットが計器着陸装置(ILS)に干渉しても(受信機は数ミリボルトという低い電圧で動作し、非常に高精度のテクノロジーを使ったものですから、あり得ます)、パイロットは気にせず、もう一度着陸を試みるでしょう。

しかし、本当の理由は電波の干渉ではありません。タブレットやラップトップ、スマートフォンは比較的重くて硬いので、急ブレーキがかかったときに(ルール#2を参照)、持ち主の手から滑り落ちて、他の乗客がけがをするかもしれません。ルール#2と同じように考えてみましょう。もし、誰かがあなたの頭上、50~60㎝からiPadを落としたらどうなるでしょうか。

それではなぜ、本や雑誌は離陸時に禁止されないのでしょうか。それは比較的柔らかいからです。パイロットの中には、乗客は離着陸の間、ゲームに没頭せず、何か異常を発見したらすぐに乗務員に報告できるよう、窓の外を見ていてほしいと言う人もいます。客室乗務員が乗客に窓のシェードを上げるように頼むのもおそらく同じ理由でしょう。

ただ、これは想像の域を出ません。離陸の際、読書禁止ではないですし、すべての乗客が窓際に座っているわけでもありません。窓のシェードを上げる必要があるのは、機外の明るさに早く目が慣れるようにするためです。離着陸の間、機内の照明をうす暗くするのもこのためです。万が一の場合、乗客は速やかに飛行機から脱出しなければならないため、目が慣れるまでの数秒間は非常に重要です。

また、言うまでもないことですが、ヘッドフォンも外さなければなりません。これは非常時に乗務員から出される指示をしっかり集中して聞くためです。

ルール#5. 機内持ち込み手荷物は前の席の下に入れる

あまり知られていませんが、機内持ち込み手荷物は、頭上の収納棚に詰め込むよりも、前の座席の下に入れるほうがいいのです。収納棚にぎっちりと詰め込めば詰め込むほど、激しい乱気流の時、何かの拍子に棚の扉が開き、通路側の乗客の頭上に重いものが落ちる可能性が高くなります。

頭上の収納棚はコートや帽子、枕、小さなハンドバッグを入れるためのものです。荷物が自分の席の上にある棚に収まらない場合は、他の棚に入れてみてください。ただし、最適な場所は座席の下です。ここなら落ち着いて簡単に取り出せます。

ルール#6. 機内ではアルコールを断る

リラックスしたい気持ちはわかりますが、アルコールは一切摂取しない方がよいでしょう。これには、確たる理由があります。アルコールを摂取すると、体は脱水状態になります。また、機内は湿度が低いので、すでに大きなストレスと戦っている状態です。さらに気圧も低いため、酔いやすくなります。

つまり、適度な量のアルコールであっても、大学のコンパと同じくらいの結果を招くかもしれないのです。まず、飲みすぎになります(さっさと寝るだけの人もいるでしょうが、中には無性に何かしたくなり、ハイジャックを企てる人がいるかもしれません)。次に、頭痛や体の痛みを伴う地獄のような二日酔いが予想されます。

それでもアルコールを飲むと決めた場合は、アルコールと一緒にノンアルコールの飲み物も摂るようにしてください(炭酸飲料は除く。炭酸を飲むと、酔いが回る)。

航空業界について理解すべきことがあります。それは、この業界がある1つの目的のために厳密に規制され、組織化されているということです。その目的とは、収益です。事故や機内での心的外傷といった事態は、収益の増加につながりません。

航空会社、航空機メーカー、航空当局は、世界中で年間数百万回に及ぶフライトを、乗客にとって絶対に安全なものにするためなら何でもします。その第一の理由は、「すべての人々に愛を」のような抽象的な概念ではなく、収益をあげるためなのです。

パイロットたちの言うとおり、ご紹介したフライト時のルールは自信を持っておすすめできます。普通の乗客にとっては取るに足らない、おかしなルールに思えても、100%筋が通っています。ですから、ルールには素直に従ってください。そうすれば何も心配いりません。