ゲームのレーティングを考える

ゲームの年齢制限は、具体的には何を意味するのでしょうか?10歳の子がレーティング「12+」のゲームをプレイしてもよいのでしょうか?

子どもがゲームをするのは普通のことです。しかし、どんなゲームでも好きにプレイしてよいか、となると話は変わってきます。ゲームのパッケージやオンラインゲームの説明文には年齢制限が記載されていますが、それにはちゃんとした理由があります。では、たとえば10歳の我が子が13歳以上向けとされている『フォートナイト』に夢中になっていたら、慌てた方がいいのでしょうか?

年齢制限の区分を誰が決めているのか、どういう理由でその区分になっているのか、実際にはどれほど厳格に運用されているのか、探ってみましょう。

ビデオゲームの年齢制限は誰が決めているのか

ビデオゲームのレーティングシステムは、世界全体でおよそ20以上あります。欧州のほとんどの国は汎欧州ゲーム情報(PEGI)の基準に従っており、米国、カナダ、メキシコではエンターテインメントソフトウェアレーティング委員会(ESRB)が制限を定めています(リンク先はいずれも英語)。

ドイツ、ロシア、オーストラリアなどその他の国々も、さまざまな分類システムを採用しています。日本にはコンピュータエンターテインメントレーティング機構(CERO)コンピュータソフトウェア倫理機構(EOCS)の2つがあります。

AppleのApp Storeも、独自のシステムを採用しています。Google Playの場合、さまざまな地域基準に対応していますが、ほとんどの国では国際年齢評価連合(IARC)システムを採用しています。

要するに、ビデオゲームのレーティングはさまざまで数も多く、どの分類を採用するかは、大した話ではないように見えて実はそうではありません。その点については後で触れるとして、まずはどのような年齢区分が存在するのか、そしてそうした区分をどのように解釈すべきなのかを考えてみましょう。

年齢制限をどう解釈するか

ほとんどのシステムでは、推奨最少年齢を数字で示す形を取っています(たとえば、推奨最小年齢が13歳なら「13+」)。ただし、この数字をそのまま受け取るわけにはいきません。たとえば、ロシアのレーティングで言う「0+」は、PEGIの「3」とおおむね同じ意味(全年齢に適している)です。一方、数字ではなく年齢区分を表す言葉の頭文字を使うレーティングシステムもあります。たとえばESRBの場合、「E」は「Everyone」(全年齢)、「T」は「Teen」(ティーン。13〜19歳)を表します。

いずれにしても、こうした区分の目的は、ゲームに大人向けの言葉、暴力シーン、その他望ましくない可能性のあるコンテンツが含まれる可能性があることを購入者に知らせることです。

多くのシステムでは、年齢制限のほかに、そのゲームがそのようにレーティングされた理由も示しています。たとえば、ESRBでは不快感を与える可能性のある要素を言葉で示しており、欧州、韓国、日本ではピクトグラムが使用されています。

レーティングの位置づけは地域によって異なり、勧告として位置づけられている国もあれば、より厳格に適用される国もあります。たとえば、多くの国では「18+」のゲームを未成年に販売することは違法です。

レーティングシステムによって年齢制限が異なるのはなぜか

留意したいのは、何をもって不適切なコンテンツとするかの定義が国によって異なることです。たとえば昨年、マルチプレイヤーゲームの『DayZ』がオーストラリアの一部の主要小売規制に抵触するとされました(英語記事)。その理由は、ドラッグ使用によりボーナスポイントを獲得できるようになっていることでした。開発元は、オーストラリアの小売店で取り扱ってもらえるようにするため、ゲームの修正版をリリースしました(英語記事)。

そのオーストラリア規制当局は、『デス・ストランディング』を「15+」と判断しました(英語)。海を隔てたニュージーランドでは、このゲームを13歳でも合法的にプレイできます(英語)。両国とも、このゲームに暴力と罵り言葉は含まれるがドラッグは含まれない、と認めた上での判断です。なお、その他多くの国では、成人向けであるという厳しいレーティングとなっています。

デス・ストランディング』の年齢別レーティング

  • ESRB − M(17歳以上)
  • PEGI − 18+
  • RARS(ロシア)− 18+
  • ACB(オーストラリア)− MA15+
  • OFLC(ニュージーランド)− R13
『デス・ストランディング』の年齢別レーティング

『デス・ストランディング』の年齢別レーティング

『ザ・シムズ4』は、国によってまったく異なるレーティングを受けたゲームです。「6+」から「18+」までと、かなりの幅があります。ほとんどのレーティングシステムではティーン向けとされていますが、ロシアでは、同性同士でカップルになれることや親戚と口論できることから成人向けに分類されています。一方、ドイツではまったく見解が異なります。ドイツの規制当局は、リアルな暴力が含まれていないので年齢の低い子どもがプレイしても問題ないと判断しました。

『ザ・シムズ4』の年齢別レーティング:

  • ESRB − T(ティーン)
  • PEGI − 12+
  • RARS(ロシア)− 18+
  • ACB(オーストラリア)− M(15歳以上)
  • USK(ドイツ)− 6+
『ザ・シムズ4』の年齢別レーティング

『ザ・シムズ4』の年齢別レーティング

子ども向けゲームのレーティング

小さな子どもを対象としたゲームのレーティングも、いつも明快なわけではありません。たとえば『ポケットモンスター ソード・シールド』は、暴力的なアニメ表現を含むにもかかわらず、ESRBでは全年齢対象としています。しかし欧州とロシアでは、幼い子どもには不適切と見なされ、PEGIでは「7」、RARSでは「6+」のレーティングとなっています。

『ポケットモンスター ソード・シールド』の年齢別レーティング:

  • ESRB – E(全年齢)
  • PEGI – 7+
  • RARS(ロシア)– 6+

子ども向けのゲームの選び方

ご覧のとおり、ビデオゲームの区分に関して言えば、年齢別レーティングを実施する組織の間にはばらつきがあります。したがって、ゲームの箱やアプリの説明に記載されている年齢に我が子が達していない、というだけの理由でそのゲームをさせない判断を下す必要はありません。自分なりの方針を持つのが良いでしょう。

  • 年齢制限だけでなく、そのレーティングが付された理由にも注目しましょう。ゲームの内容に関する情報がパッケージや説明文に記載されていない場合は、インターネットで検索してみてください。具体的にどのようなゲームなのかが分かると、判断の材料になります。
  • 自分の国のレーティングと他国のレーティングを比べてみて、総合的な視点から判断しましょう。たとえば、罵り言葉は翻訳によって失われる場合があるので、オリジナル版で使われている言語を話す国では比較的厳しいレーティングを付与されているかもしれません。
  • YouTubeや開発元のWebサイトで、ゲームの紹介動画を見てみましょう。また、SNSにはビデオゲームのレビューを書いている人がいるものです。そういうレビューをいくつか読んでみることもお勧めします。どのようなゲームなのか、だいたいのところはこれで分かるはずです。

子ども向けにゲームを買ったら、一緒にプレイしてみてください。どうやってプレイするのか試してみて、映像やシナリオやセリフについて話しましょう。子どもがオンラインゲームをプレイするときそばにいるようにすれば、そのゲームが我が子にとって適切な選択だったのかを判断しやすくなるはずです。貴重な親子のふれあいのひとときにもなることは言うまでもありません。

そして、子どもがあまり長い時間をゲームに費やすことのないように、ペアレンタルコントロールツールを使ってゲーム時間を制限することもお勧めします。

 

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