多くの人にとって、Androidスマホのアップデートは悩みの種です。アップデートは、スマホの危険なバグや脆弱性の修正に不可欠であり、便利な新機能とサポートを提供してくれます。一方で、アップデートが遅れてしまったり、完了しないことなどもあります。また、最悪のタイミングでアップデートのインストールが始まるとスマホのパフォーマンスが低下したり、最悪の場合はデータ損失やデバイスの破損の原因となる可能性があります。
とはいえ、Androidのアップデートは必要不可欠です。適切に効率よくインストールする方法を考えてみましょう。
アップデートの種類
「アップデートのインストール」とは、正確には何をアップデートするかに応じて、まったく異なるシナリオが5つ考えられます。
- アプリのアップデート。デバイス上の個々のアプリは、アプリストア(Google Play、HuaweiAppGalleryなど)を経由して自動または手動でアップデートされます。この場合、1つのアプリをアップデートしても、他のアプリに影響することはほとんどなく、一般的に端末への影響はほぼありません。
- Androidコンポーネントのアップデート。Googleの開発者は長年にわたってモジュール化に取り組んできました。その結果、OSの大部分(通話画面や写真ビューアなど)は基本的に別のアプリになっています。これらの中には、Google Playのようにアプリストア経由でアップデートするものもあれば、強制的に低いレベルでアップデートされるものもあります。
- メーカーからの拡張機能のアップデート。Samsung、Oppo、またはXiaomiのスマートフォンを「純粋な」Androidデバイスと区別するのは、独自の拡張機能だけです。これらの拡張機能は、多くの場合、OSの外観を根本的に変更し、OneUIやColorOSなどの派手な名前がついています。内部構造やアップデート方法は、ベンダーによって異なります。多くの企業は、一般的なAndroidアップデートのリリースと拡張機能のアップデート時期を合わせようとしていますが、これは厳密なルールではありません。
- Android本体のアップデート。GoogleはAndroidの大型アップデートを年に1回リリースし、メジャーバージョン番号を1つ増やしますが、バグ修正とセキュリティアップデートは毎月公開されます。しかし、ほとんどのスマートフォンの場合、Googleから直接最新バージョンのAndroidが提供されるわけではありません。特定の機種のメーカーは、まず適切な低レベルコンポーネントとベンダー固有の拡張機能を追加してから、最新バージョンのAndroidをユーザーに提供する必要があります。そのため、Androidのアップデートの場合、Google PixelやAOSP(Android Open Source Project)以外のスマホで利用できるようになるまでの期間は、1か月~無期限となる可能性があります。これはメーカーの対応のスピード次第です。
- 低レベルのコンポーネントのアップデート。低レベルコンポーネントとは、ブートローダー、4G/Wi-Fiチップのファームウェア、ドライバーなどを意味します。原則として、これらのコンポーネントはOSとともにアップデートされますが、必要に応じて独自のアップデートを取得することもできます。いずれにせよ、この種類のアップデートは、スマホを製造した会社によってのみリリースされます。
最初の2つの種類(ブートローダー、4G/Wi-Fiチップファームウェア)のアップデートは、自動的に、または選択したアプリストアの文字通り1つのボタンを押すことで配信され、通常は数秒で完了します。その他のアップデートには時間がかかり、スマホの再起動が必要です。つまり、攻撃を受ける可能性に対して緩和策を講じる必要があるということです。
起こりうる問題
厄介な通知。多くのメーカーのデバイスは、新しいアップデートに関するアラートが通知ドロワーに表示され、なかなか消えません。時には全画面表示になり、即時インストールが要求されることがあります。1回タップを間違えただけで、スマホは既にギガバイト単位のデータをダウンロードし始めています。ローミングモードを使用している場合は、とんでもないことになります。
スマホの空き容量が減る。通常、セキュリティアップデートやバグ修正のファイルサイズは小さくて済みますが、ベンダー拡張機能やAndroid自体の新しいバージョンは、以前のバージョンよりもサイズが大幅に大きくなる場合があります。そしてこれは、ストレージ容量が少ない低価格のスマホでは別の問題の原因となります。
アップデート後のバグ。Googleでもミスを犯すことがあります。たとえば、Android 12にアップデートしたユーザーは、不安定なネットワーク接続からディスプレイのちらつき、デバイスの文鎮化に至るまで、あらゆる種類の問題に遭遇しました。ベンダーの拡張機能でも、同様の問題が発生することがあります。
データや機能の損失。まれではあるが最も不快な出来事は、アップデート後に各種アプリが動作しなくなったり(たとえば、アプリが古すぎてアップデートを受信できない場合)、ユーザーデータが消失したりすることです。
それでもアップデートが不可欠な理由
脆弱性。ユーザが何も操作しなくても、または異常が発生した兆候がなくても、スマホがマルウェアに感染するという話はよくあります。それは、Android自体やインストールされているアプリの危険なバグを悪用した結果なのです。脆弱性は、携帯電話モジュールやWi-Fiモジュールにも存在します。この「スパイ小説」は自分には当てはまらないと考えている人は要注意です。サイバー犯罪者はこの種の脆弱性を嬉々として利用し、お金やパスワードなど何でも盗むのです。Androidの月例アップデートでは、数件の深刻な脆弱性と10〜20個の低リスクの脆弱性が修正されます。
バグ。消費電力の増加やメモリリークからカメラのフォーカス問題まで、 ローエンドのコンポーネントやAndroid自体、またはベンダーの拡張機能に対応したバグが修正されれば、スマホの使用感がより向上します。
互換性。新しいものが好きではないとしても、オンラインアプリを使い続けたり、特定のWebサイトにアクセスしたりできるようにするには、ブラウザー、プログラム、OSを早かれ遅かれアップデートする必要があります。旧バージョンのソフトウェアのサポート期間は確実に短くなってきています。たとえば、バージョンが著しく古いChromeでは、多くのサイトが正しく開けません。
手間なくアップデートするためのヒント
公式のダウンロード元のみを使用しましょう。アップデートは、指定のアプリストアまたはスマホのシステム設定からのみダウンロードしてください。メーカーがそれ以外の方法を案内していない場合を除き、Webサイトからアップデートをインストールしないでください。その場合、上記で言及した通り、アップデートはメーカーの公式サイトからのみダウンロードするようにしてください。情報収集サイト、ニュースメディア、良く知られていないサイトからは決してダウンロードしないようにしましょう。
バックアップを作成しましょう。Androidは、すべてを自動的にバックアップすることはできませんが、写真やドキュメントをGoogleドライブにアップロードしたり、連絡先、カレンダー、その他各種のデータをGoogleアカウントにバックアップすることができます。また、多くのアプリ(たとえばメッセンジャーアプリのWhatsApp)には、バックアップ機能が実装されています。可能な限りすべてのアプリでバックアップを設定し、重要な情報が毎晩クラウドに保存されるようにしましょう。サードパーティのクラウドを信頼しない場合は、ホームネットワーク上のストレージサーバーとスマホを同期するユーティリティがあります。
アップデートのダウンロードを最適化しましょう。スマホの設定を調べてください。アップデートがカスタマイズ可能な場合は、Wi-Fiと電源が利用できることを前提として、夜間のダウンロードを選択します。この方法なら、アップデートのダウンロードによって日中の作業が中断されたり、モバイルデータが消費されたり、バッテリーが消耗したりすることはありません。そのような設定がなく、アップデートの通知のタイミングが悪いことが多い場合は、通知をオフにしたり、アップデートの自動チェックをオフにしたりしてしまうリスクがあります。この場合、定期的なリマインダー(月に1回、週末など)を設定して、デバイスの設定から手動でアップデートをチェックする必要があります。一番よい方法は、スマホをしばらく放置できる余裕のある時間に、インストール時間を設定することです。
アップデートのタイミングを自分で選びましょう。致命的な脆弱性の修正でなければ、インストールを先延ばしにしても構いません。もちろんそれほど長く先延ばしはできませんが、数日から1週間程度待つのは問題ないでしょう。その間に、同じスマホの所有者がアップデートに問題を抱えていないか、フォーラムなどでチェックしてみてください。問題を抱えているユーザーがいるのであれば、何百人ものユーザーが苦情を申し立てる期間が発生し、運が良ければパッチが適用されたバージョンが公開されるまで、アップデートを保留できるようにもなるでしょう。
不要なものは削除しましょう。不要になったダウンロード済みドキュメントの廃棄、キャッシュの消去、使用していないアプリの削除、写真やビデオのクラウドへの移動により、スマホのメモリを大幅に解放し、アップデートの問題が発生する可能性を減らすことができます。ちなみに、Android向けの当社のモバイル製品には、便利なクリーナーツールが実装されています。
アプリとファームウェアを個別にアップデートしましょう。起こりうる問題の発生源を追跡しやすくするために、アプリとファームウェアを同時にアップデートしないようにしてください:OSとベンダーの拡張機能のアップデート後、アプリのアップデートをインストールする前に数日待ってください。 これも、重要な脆弱性の修正がない場合に限ります。
Androidデバイスにセキュリティソフトをインストールしましょう。当社のアプリは、既知の脆弱性に対して警告と保護、ダウンロードしたアプリのウイルススキャン、危険なデバイス設定の修正、アプリの権限の管理、危険なリンクのブロック、スマホの紛失時や盗難時におけるデータの保護などを行います。