セキュリティ製品の購入前に:システム要件を確認しよう

せっかく買ったセキュリティ製品が動かない!そんな事態は何としても避けたいもの。購入前にシステム要件を確認するようにしましょう。

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今回は、とても大事なのに軽視されがちなこと、つまりシステム要件を満たす必要性についてお話しします。

ソフトウェアの製品パッケージや開発元のWebサイトには、ソフトウェアが問題なく機能するために必要な、コンピューターの最小限のシステム要件が記載されています。ソフトウェアを購入した時点で、ご使用のデバイスがこれらの要件に適合していることを承認したものと自動的にみなされます。なので、購入する前には必ず、システム要件を確認するようにしてください。そうすれば、将来起こり得る数々の問題を回避できます。

カスペルスキー製品も例外ではなく、さまざまな要件があります。システム要件を満たしているどうか確認するとき、特に注意すべきポイントは何でしょうか?では、カスペルスキー インターネット セキュリティカスペルスキー マルチプラットフォーム セキュリティのWindows対応プログラム)の要件を見てみましょう。

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上記は、当社のサポート情報ページの「システム要件」ページです。赤枠で囲んであるのは、特に重要なシステム要件です。この要件を満たしていないと、トラブルが発生する可能性があります。順番に見ていきましょう。

どのバージョンのOSがサポート対象?

ご覧のとおり、さまざまなバージョンのOSがサポート対象となっています。ここでは、先ごろ発売されて注目を集めているWindows 10を例に、OSとの互換性の有無について説明します。

2015年夏、Windows 10にカスペルスキー製品をインストールできないという問い合わせが、当社のカスタマーサポートに数多く寄せられました。これは、ある程度想定内でした。カスペルスキー製品が動作するのは、OSの商用リリース版のみなのです。

Windows 10が正式リリースされたのは、7月29日でした。お客様からの問い合わせの中で使用中のOSとして挙げられたのは、それ以前のビルドである「テクニカルプレビュー」または「リリース候補」版でした。要するに、商用リリースされた最終版ではありません。Windows 8が公開された時も同じことが起こりました。個人的には、OSのプレリリース版をPCにインストールするのはかなり危険だと考えています。企業のPCなら、なおのことです。

現在は、当社の2015年版および2016年版の「個人向け」製品(パッチ「C」を適用したもの)ではWindows 10も正式にサポートされています。上記のシステム要件のセクションにも、Windows 10の記載があるのをご確認いただけると思います。

逆の意味で気をつけたいのは、「Service Pack」(SP)が適用されていないOSです。たとえばSP1を適用していないWindows 7などには、セキュリティ上の脆弱性が多数存在するため、理論的にも使用をお勧めできません。ですから、Kaspersky Labのセキュリティ製品をインストールすると決めたら、まず、お使いのOSをより安全なバージョンにアップデートするのが順当な手順です。

特殊なケースですが、サーバー向けのOS(Windows Server 2011など)に個人向け製品をインストールしようとしたために問題が生じた場合もあります。「個人向け」製品はサーバーシステム用ではありませんので、ご注意ください。「個人のお客様向け」と銘打たれた製品は、サーバーではなく、家庭にある普通のWindows OSで使われることを前提としています。サーバーOSには、専用のセキュリティ製品が必要です。

まとめましょう。製品を購入したのに互換性がなくて使えないという問題の大半は、かなり前に廃止されたOSバージョンを使用しているか、正式発売よりも前に新しいOSを試してみたことが原因です。

ディスクとメモリの空き容量

OSに互換性のあることがわかったら、次にハードウェア特有の要件である、使用可能なディスク容量とメモリ容量を確認します。

どんなソフトウェアでも、ファイルをインストールして格納するための容量が必要です。上の図にあるシステム要件には、480 MB以上の空き容量が必要だと書かれています。しかし、他のソフトウェアやOSそのものが正常な動作を続けるには、それ以上のディスク容量が必要です(たとえば、一時ファイルを保存するための容量など)。したがって、ハードディスクのシステムディレクトリに5~10 GBほどの空き容量があれば、OSの動作が遅くなるのを防ぐことができることでしょう。

また、システムや製品の反応の早さは、メモリの空き容量によっても差が出てきます。つまり、常に1 GB(64ビットシステムでは2 GB)のメモリが使用可能な(空いている)状態でなければならないということですから、コンピューター上のメモリ総容量はこれよりも大きくなければなりません。

以前から「カスペルスキー製品のせいでシステムが遅くなる」と言われることがありましたが、メモリが512 MBしかない古いラップトップに当社のソフトウェアをインストールしたのが原因であることが多々あります。これでは、システムが遅くなっても仕方ありません。十分な量のメモリという意味で、Windowsシステムにも「新鮮な空気」が必要なのですね。

インターネット接続は必須

もう1つ、大切な要件があります。インターネット接続です。時の経つのは早いもので、以前はインターネット接続など聞いたことがない地域もあったのに、今では生活に欠かせないものになっています。有線接続がなくても、モバイルネットワークを使用できます。どちらもなければ、衛星インターネットがあります。

当社の個人向け製品は、インターネット接続がなければインストールできません。データベースのアップデートにも、インターネット接続が必要です。また、Kaspersky Security Networkのような最新の保護技術の中には、アクティブなコンテンツがなければ機能しないものもあります。

ブラウザーとメールクライアント

最後に、サポート対象のブラウザーとメールクライアントについてです。これらがシステム要件に含まれているのは、トラブルの原因となるケースが多々あるからです。原因はいくつかありますが、まず、メジャーなWebブラウザーであるFirefoxとChromeの場合についてご説明しましょう。

この2つは開発元によるアップデート頻度が非常に高く、場合によってはバージョンを識別するのも難しいことがあります。一方で、ブラウザーのアップデートについていくためには、パッチを毎月発行する必要があり、ブラウザーとの互換性を保証するためだけに、年中無休で働くプログラマーとテスターを抱える部門がそっくり1つ必要です。

しかしながら、最高レベルの保護を提供することが当社の最優先事項であるため、このような部門を作る余裕はありません。それでも、ブラウザーとの互換性を確保するために、多大な努力を続けてきました。2016年バージョンでは、プラグイン不要のテクノロジーが採用され、ブラウザーのバージョンに関係なく製品が動作するようになりました。Kaspersky Labは今後も、このアプローチを続けて行きます。

もう1つ、個人の好みという問題もあります。OperaやYandex.Browserといった、Google Chromiumエンジンをベースにしたクローンブラウザーには熱烈なファンがいますが、世界的なシェアが非常に小さいため、残念ながら当社では互換性を保証していません。同じことはメールクライアントにも言えます。

結論として、製品を購入する前に、システム要件をよく確認することをお勧めします。用心するに越したことはありません。慎重な態度が最適なソフトウェアの選択につながり、数々の問題から解放されることにもなります。そして、皆さんの選んだソフトウェアが当社の製品であることを願っています。当社の製品の詳細については、当社のWebサイトをご覧ください。

ヒント

Windows Downdate攻撃から身を守る方法

Windows Downdateは、最新バージョンのOSを古いバージョンにロールバックさせ、脆弱性が残る状態を復活させ、攻撃者がシステムを容易に侵害できるような状態にする攻撃です。この攻撃のリスクを低減するにはどうしたらよいでしょうか?