SNSのハッキングが傷つけた輝かしいキャリア

2016年5月23日

米国最高位のプロアメリカンフットボールリーグであるNFLのドラフトに向けて、ラレミー・タンシル(Laremy Tunsil)選手は指名候補中最高のプレイヤーと目され、全体1位指名の有力候補との見方が優勢でした。残念ながら、そのタンシル選手のTwitterアカウントに異議が寄せられ、それがドラフト指名の成り行きに暗い影を落とすことになりました。シカゴでドラフトが始まる直前に、タンシル選手のTwitterアカウントがハッキングされたとされています。

ガスマスクを着けて吸引器でマリファナを吸っているタンシル選手の動画が、ドラフトの開始直前、何者かによって彼のTwitterアカウントからツイートされたのです。後で削除されたものの、これをきっかけに、タンシル選手のドラフト評価は徐々に下がっていきました。

多くの専門家が、全体6位指名権を持つボルチモア・レイブンズがタンシル選手を獲得すると見ていました。ところが、報道によると、レイブンズは同選手をドラフト指名候補から外したとのこと。NFLの専用チャンネルNFL Networkのダニエル・ジェレミア(Daniel Jeremiah)氏は「レイブンズにとって夢のシナリオ」と称し、「タンシルはドラフト最高のプレイヤー」と絶賛していたというのに(英語記事)。

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NFL.comのスクリーンショット

タンシル選手のNFLでのキャリアは、正式にはまだ始まっていませんが、この動画は同選手に散々な結果をもたらしました。結局、タンシル選手は13位でマイアミ・ドルフィンズに指名されたものの、目の前で他のタックルポジション選手2名が先にドラフト指名されるのを目の当たりにする羽目になりました。

ハッキングを発端とする評価の下落は、レイブンズに6位で指名されていたと仮定すると、推定700万ドルもの損失をもたらしました(英語記事)。3~5位で指名されていれば、さらに損失は大きくなっていたことでしょう。結果的に十分な金額とは言え、700万ドルの損失は同選手にとって痛手に違いありません。

不幸にも、ドラフト当日にタンシル選手を襲ったハッキングは、これで終わりではありませんでした。ドラフト指名後に行われたNFL記者団との会見中、タンシル選手のInstagramアカウントには、ミシシッピ大学職員との間でやり取りしたメッセージの画像が投稿され(その後削除)、大学フットボールのプレイ中にお金を受け取ったことを示していました。この投稿を見た記者からお金の受け取りについて質問されたタンシル選手は、記者会見でその事実をほぼ認めた形となりました。

今後、マイアミ・ドルフィンズからタンシル選手には俸給が支払われます。とはいえ、ミシシッピ大学がアマチュア選手へお金を支払ったことについて非難を浴びているのも事実。NCAA(全米大学体育協会)から同大学に対してどんな措置が下されるのかにも興味がわきます。

リークの張本人が誰であって誰でないかについては、法的な影響も含めてさまざまな説が出ていますが(リンク先はいずれも英語記事)、この動画なり画像なりがタンシル選手の同意なく彼自身のアカウントに投稿されたことは事実です。

誰かのアカウントが乗っ取られるのを目の当たりにするのは、気分のいいものではありません。この一連の事件からスポーツという要素を除けば、誰にでも同じことが起こり得ます。

アカウントや電話が不正アクセスされれば、本人だけでなく雇用主(タンシル選手の場合は大学)にまで被害が及ぶ可能性があります。

では、身を守るにはどうすればよいのでしょう。

一番手っ取り早い方法は、安全なパスワードを設定して定期的に変更すること、そしてアカウントごとに違うパスワードを使うことです。強固なパスワードの作成については、こちらのヒントを参考にするとよいでしょう。また、ややこしいパスワードを覚えるのが面倒な方には、パスワード管理ツールを使うことをおすすめします。