2018年5月1日

ヌーシーン・シャバブに聞く:女性とサイバーセキュリティ

特別プロジェクト

テクノロジー業界の男女格差はよく知られた問題ですが、シニアレベルのサイバーセキュリティ技術者層を見ると特に顕著です。(ISC)²とCentre for Cyber Safety and Educationが行った2017年の調査では(英語記事)、現時点で世界のサイバーセキュリティ労働者人口に占める女性の割合が11%に過ぎないことが分かりました。また、Kaspersky Labが昨年実施した、サイバーセキュリティ業界で働く女性に関する調査では(英語記事)、米国、ヨーロッパ、イスラエルに住む女性の大半が、16歳になるまでに、サイバーセキュリティ分野を職業の選択肢から外していたことが明らかになっています。

しかし、サイバーセキュリティの分野は、サイバー脅威から世界を守るという難題に立ち向う意欲のある女性にとってさまざまなチャンスが存在する分野です。この業界で成功を収めている女性もおり、当社のヌーシーン・シャバブ(Noushin Shabab)もその1人です。サイバーセキュリティ業界で素晴らしいキャリアを築いてきたヌーシーンは、現在Kaspersky Labのシニアセキュリティリサーチャーであり、当社の栄誉ある精鋭部隊、グローバル調査分析チーム(GReAT)のメンバーでもあります。彼女がいかにして成功を収めたか、セキュリティ業界がどのように女性を歓迎し受け容れるようになったか、また、より多くの女性をこの業界へ呼び込むために彼女がしてきたことを聞きました。

サイバーセキュリティ業界で仕事をしようと決めた理由は何ですか?

小さな頃からずっと、パズルや数学的なゲームに夢中でした。中学生のとき、プログラミングを詳しく学ぶ機会があったのですが、アルゴリズムや、コンピューターサイエンスの問題解決に、パズルと同じくらい夢中になる自分に気付いたのがその頃です。大学ではITエンジニアリングの学位を取り、卒業後すぐにサイバーセキュリティ業界でマルウェアアナリストとして働き始めました。マルウェアアナリストとして直面する数々の課題は、私の問題解決への意欲を完璧に満たしてくれました。自分の興味関心を満たしながら世の中に貢献するにはこれ以上の分野はない、と思いました。

情報セキュリティ業界で活躍できるスキルを持った若い女性に、この業界でキャリアを積むことを勧めるとしたら、どのように声をかけますか?

情報セキュリティ業界はとても広くて、多種多様な任務があります。コンピューター関連に興味のある若い女性は、この業界の中で理想的な仕事を見つけられると思います。この業界で成功を収めるには、スキルに加えて情熱と粘り強さも必要です。困難な時もあるでしょうけれど、挑戦に値する結果を得られるはずです。

サイバーセキュリティ業界の仕事には、それ相応の困難があります。時間と努力を惜しまず課題に取り組み、これを克服して自分なりの方法を見出したとき、苦労が報われたと心底感じるでしょうし、この仕事が単なるルーチン業務以上のものだ、それこそ自分のライフスタイルになったのだと実感するでしょうね。

より多くの女性にサイバーセキュリティ業界への参入と業界への貢献を促すために、サイバーセキュリティ業界はどう変わりつつあると思いますか

ありがたいことに、さまざまな要素が業界を変えつつあって、この分野に目を向ける女性が増えてきています。たとえば、これは私感ですが、大学生や高校生と関わる情報セキュリティのインフルエンサーが増加して、学生たちを力づけ、セキュリティに関する才能の発見を助けるようになったことが、一番の有益な変化です。これが、究極的には学生たちの自信をはぐくみ、この分野へ進むことを後押しするのです。

もう一つ、サイバーセキュリティ業界へ進もうと考える女性の増加を促す重要な要素としては、この目標を後押しするOUR Security Advocates(OURSA)のようなイベントや組織の増加があります(英語サイト)。業界での女性の重要性を強調するようなイベントが増え、カンファレンスに登壇する講演者が多様化することで、業界に対する社会のイメージが変わりつつありますし、未来の女性エンジニアが新たな関心を寄せるようになっています。

より有能な女性をサイバーセキュリティ業界で採用するため、サイバーセキュリティ業界の幹部ができることといえば、何だと思いますか?

世の中には、ジェンダーの多様性が進んだ職場で働きたいと考える女性が大勢います。これを踏まえると、才能ある女性をもっと採用して、従業員、特に女性従業員にとって、居心地がよくて良い人間関係を築けるような環境を作ることが一番だと。私から管理職の方にお願いしたいのは、チーム内で成果を上げている女性がもっと自信を持てるように、もっと目に見えるように、そのためのサポートをチームメンバーに奨励してほしい、ということです。彼女たちに最高の能力を発揮させてほしいのです。そうすれば女性たちは、利益を生み出すプレゼンテーションやビジネスの要求に応じた助言を発信するようになり、企業の認知をもたらすようになるでしょう。

仕事に関して一番楽しいことは何ですか?

一日一日の違いを存分に楽しんでいます。この仕事では、同じような日は二日とないのです。日々違う課題に直面するおかげで、この業界でキャリアを積むにあたって興味は尽きません。毎朝目覚めて、未知の冒険がたくさん待ち受けていることを知る、それが私の仕事の最も魅力的なところです。

Kaspersky Labが多様性の高い職場環境の創出を支援する変化の担い手となるために、あなた自身が貢献してきたこととは?

Kaspersky Labに入社して以来、才能ある女性の重要性をさまざまな人々の前で示すために、シンガポールで行われたInterpol Worldのような公開イベントへ積極的に参加してきました。また、この業界に必要なスキルに磨きをかけ、向上させる努力を続けています。男性優位の分野でも、女性は強く、有能であることを証明するためです。プライベートでは、教育への取り組みを始めました。勤務時間外に、Australian Women in Security Networkという組織に協力しています。私たちは共同で、学生たちが社会に出たときのための準備として、少人数の大学生を対象にしたシラバスを調整してエンパワーメントやサイバーセキュリティについての授業を行っています。私の目標は、若い女性たちが同様のキャリアパスを進む動機付けをすることです。サイバーセキュリティの分野には、女性がスキルギャップを克服し、将来の長きにわたって成長を続けられる大きな可能性があります。

あなたのロールモデルは誰ですか?その理由は?

誰か一人特別なロールモデルがいるわけではないのですが、刺激を与えてくれた人、尊敬する人は大勢います。特にコンピューターの分野でインスピレーションを与えてくれたのは、マーガレット・ハミルトン(Margaret Hamilton)さんとジーン・バーティク(Jean Bartik)さんの2人です。

マーガレット・ハミルトンさんは、アポロ計画で使用された航行ソフトウェアの開発を担当した主要メンバーで、コンピュータープログラミングの先駆者の一人です。ジーン・バーティクさんは、エニアック(ENIAC)を開発したプログラマーチームの、オリジナルメンバーの一人でした。

この2人の偉大な女性が私を勇気づけてくれる理由は、その業界に多くの制約が存在していた時代にありながら熱心に仕事に打ち込み、不屈であり、強さと成功を保ってきた人たちだからです。だからこそ、2人は多くの女性にとって理想のロールモデルなのです。

サイバーセキュリティ業界の才能ある女性たちの話をもっと聞いてみたい、という方は、OUR Security Advocates(OURSA)のWebサイトをご覧ください(英語)。このカンファレンスは、情報セキュリティほか関連分野からさまざまなエキスパートが集まり、業界のトレンドや最新の話題についてディスカッションするセキュリティカンファレンスです。2018年4月17日に開催された同カンファレンスには、電子フロンティア財団(EFF)のエヴァ・ガルペリン(Eva Galperin)氏、Facebookのアーンチャル・グプタ(Aanchal Gupta)氏など、著名な人々も参加しました。カンファレンスは終了しましたが、同Webサイトに公開されたハイライト動画でカンファレンスの様子をご覧いただけます。このほか、興味のある方はTwitterのハッシュタグ「#OURSA」もチェックしてみてください。