古い飛行機に乗っても大丈夫?

古い飛行機はちょっと恐いという人もいます。ですが、20年前に製造された機体であっても、飛行が認められたということは、安全ということなのです。

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飛行機恐怖症の人にはときどき驚かされます。飛行機に乗るのが恐いことを認めようとしないくせに、いざ乗り込んで席に着くと、何かにとりつかれたように機体番号をGoogle検索しはじめ、製造日やこれまでに飛んだ場所を調べるのです。その後はTwitterの時間。「今搭乗した飛行機は僕より年上! #ショック #混乱 #運命」「神様、どうか飛んでいる間は壊れませんように」…。中には、安全な地上から離れないことに決める人もいます。

どこかの掲示板で、次のような質問を見たことがあるかもしれません。「○○航空に乗るのですが、いつごろ製造された飛行機を使っているのでしょうか?」

航空会社も旅行代理店も、飛行機恐怖症が気にする情報をカタログに盛り込むことがあります。「最新の飛行機を運行しています」と書いたり、航空会社の料金表を飛行機の製造年月日順に並べたり。

誤った論理

この誤解の裏にある理屈はいたって単純。つまり多くの人が、飛行機は自動車と同じだと考えているのです。自動車は新車のときが最高の状態で、5~7年以内の車であれば「許容範囲」とされています。20年落ちのボロボロの車は、どこかの田舎で羊の運搬くらいにしか使えないでしょう。

しかし、自動車に関しても、この理屈には穴があります。たった3年走っただけの新車タクシーが寿命迎える可能性がある一方で、Volkswagenの古い「Beetle」が製造ラインから出てきたばかりの新車に見えるかもしれません。もちろん、普段はガレージに置いてあってときどき短距離を走るだけ、という場合でしょうが。さらに、熱心なクラシックカー愛好家なら、ボンネットをピカピカに磨き上げて埃の一片も残していないことでしょう。

当然ながら、飛行機は1日中動いているパワフルな乗り物であり、航空会社はなるべく早く元を取ろうと、できるだけ多くの乗客を乗せて飛ばす方法を考えています。それでは、飛行機もタクシーと同じように、数年で使いものにならなくなるのでしょうか?いえいえ、慌てなくても大丈夫です。

寿命が重要

航空分野では、耐空性の判断基準となる残り寿命を、機齢、飛行時間、離着陸回数の3要素を個別に評価して算出します。そのため、短い距離を頻繁に飛ぶ航空機は、すぐに寿命を迎えてしまうことがあります。

この「寿命」という言葉は、さまざまな場面で使われます。まず、設計寿命という言葉がありますが、これは設計者が航空機の各モデルに指定する最短の「平均寿命」のことです。電化製品などの保証期間のようなものと考えるとわかりやすいでしょう。新品のテレビに1年保証がついているなら、使い始めてから1年は壊れないということです。といっても、1回も故障することなく2年、5年、場合によっては10年くらい使えるかもしれません(実際、だいたいのテレビはそれくらい使えるはずです)。

他にも、退役までの運用寿命があります。この寿命を決定づけるのは、フライト回数です。一定期間就航した後に機体の状態を詳しく調べることで、故障せずに運航できる期間を算定することができます。

一般的に、運用寿命は設計寿命の2~3倍です。また、運用寿命を迎えることは、運航できなくなることとイコールではありません。機体の状態を入念に検査した結果、オーバーホール(分解検査)後に運用寿命が延びる航空機もあります。

定期メンテナンス

オーバーホールを終えてから次のオーバーホールを実施するまでの期間は厳格に定められています。いわゆる初回オーバーホール期間、オーバーホール間隔(TBO)という概念があります。問題なく稼働している部品であっても、製造業者が課すルールに従って、新品と交換されることがあります。オーバーホール間隔も、ケースバイケースで延長されることがあります。

運用寿命やオーバーホール間隔を延ばし続けていけば、航空会社は間違いなく利益を確保できるように思えます。

しかし、永遠に延ばし続けることはできません。寿命を構成する各要素には限界が設定されているからです。この限界に達すると、機体の状態が良好であっても、寿命を延ばすことは絶対にできません。

ポイントは、寿命や限界が航空会社ではなく、航空分野の規制当局によって定められている点です。耐用年数を超えた航空機への搭乗を許可する航空会社はありません。耐空証明にはすべての要素が含まれており、耐空証明が無効となった場合には、厳重な罰則が適用されます。

プロの腕を信じよう

とはいえ、実際のところ航空分野に「古い飛行機」という概念はありません。運航できるかできないか、それだけです。運航を許可された機体は、組み立てラインを出たばかりの新型飛行機と同じくらい安全だということです。

とはいえ、航空分野において「古い飛行機」という概念はありません。運航できるかできないか、それだけです。運航を許可された機体は、新型飛行機と同じくらい安全なのです

万一、航空業界の専門家をまったく信用できない人がいた場合のために(あり得なくもないので)、納得のいく結論を1つくらいは紹介しておきましょう – 結局のところ、航空機の状態を自分で隅々まで調べることはできません。Googleでも調べられないことはあるのです。

古い機体に乗ったとき、目に付くのは内装の状態です。座席の生地がはがれていたり、頭上の荷物入れが不安定だったり、テーブルがガタついたりしていては、快適な空の旅にならないかもしれません。

しかし、このような不備があったとしても、飛行の安全性に影響はありません。それに、きちんとした航空会社は内装を定期的に修理し、新しくしています。

おもしろいことに、耐用年数が近づいている飛行機の多くでは、内装が修理されません。コスト面で割に合わないからです。こういった機体は輸送機として、さらに数年にわたって問題なく運航を続けます。もし興味があれば、下のツイートにある飛行機の機齢をGoogleで調べてください。今でも飛んでいるはずです。

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