脅迫は大昔からある犯罪ですが、(他の多くのものと同じように)最新技術の力を得て爆発的に件数が増えています。犯罪者が金銭をむしり取る手口はさまざまです。テキストメッセージやWebカメラなどの通信をハッキングしてプライベートな情報を手に入れ、個人を無慈悲に脅し上げる犯罪は、「セクストーション」と呼ばれます。
セクストーション(性的脅迫)は、標的とする人に金銭を要求し、支払わなければその人の性的な情報を暴露すると脅す行為です。デジタル時代の現代では、こうした脅迫の種となるのは、性的なテキストメッセージ(セクスト)、体を露出した写真や動画などです。脅迫者は金銭を要求することが多いのですが、時には「もっと寄こせ、でなければバラす」とさらに多くを求めてくることもあります。
特に興味深いのは、セクストーション被害者の多くがティーンエイジャー(13歳~19歳)であることでしょう。自由になるお金をあまり多くは持っていない年齢層です。それなのに、セクストーションの格好の標的となっているのです。
13歳~19歳という年ごろは、新しい人間関係を求め、深めていく方法を模索する時期であり、頼るべき指針もないことがほとんどです。また、自分の道を進み始め、権威に疑問を抱きだす時期でもありますが、大人のように自分の行動がもたらす結果を理解するには至っていません。
その結果、サイバー犯罪者にとっては理想的な状況が生まれます。何しろ、厳重に秘密にされるべきなのにそうなっていない情報が大量にあり、その持ち主は傷つきやすくて恥の概念が強いティーンエイジャーなのですから。セクストーション被害者の70%がティーンエイジャーだと見積もられているのには、こうした理由があるのでしょう。また、被害者の大半が女性です(だからといって、大人の男性であることが身を守る鎧となるわけではありませんが)。
誰しも、他人に知られたくないことはあるものです…。プライバシー保護のヒントです。https://t.co/FqI8kzkN2Q pic.twitter.com/VJhTP13ZRB
— カスペルスキー 公式 (@kaspersky_japan) September 16, 2015
脅迫者は、アカウントをハッキングすることもあれば、標的になりそうな人に巧みに取り入って、脅迫のネタになりそうなコンテンツを直接送るように仕向けることもあります。ネタとなる情報が手に入ると、暴露するぞと脅すのです。
脅された人は要求に従います。大抵は我が身を恥じ、世間の非難を気にします。助けを求めるということは、何としても守りたい秘密を明かすことでもあります。ティーンエイジャーはとても傷つきやすく、セクストーションによって深刻なトラウマが残ったり、自殺(英語記事)につながったりする可能性もあります。
ティーンエイジャーを取り巻く多くの問題と同じように、鍵となるのはコミュニケーションです。決して簡単なことではありませんが。しかし、これはまた技術的な問題でもあります。そこで、この問題に取り組むためのヒントを、コミュニケーション面と技術面からご紹介したいと思います。
世界各国何百台ものPCがハッキングされてそのWebカメラから盗撮されたライブ映像がYouTubeで晒されていた、という怖ろしい話。 https://t.co/ZfCnk0IWoE pic.twitter.com/0RQfpVd3Bd
— カスペルスキー 公式 (@kaspersky_japan) May 19, 2016
自分と我が子をセクストーションから守るために
- インターネット上で共有したものは何でも一般に公開されてしまう可能性があることを理解し、そのことをお子さんにも説明しましょう。公開するのはハッカーの場合もありますし、信頼していた共有相手のこともありますし、信頼していた共有相手のPCやスマートフォンをハッキングした人である場合もあります。ネットに公開したものは、公開された時点で共有可能なのです。たしかに、知らない相手とチャットをすればリスクは上がります。でも、相手が知っている人であっても、ネット上にアップしたものは誰からでも見られるのだと心得ましょう。親友も、学校の先生も、おじいちゃんおばあちゃんも、誰でも見られるのです。
- サイバーセキュリティの対策を適切に行いましょう。SNS、メッセンジャーアプリ、メールのセキュリティは、強固なパスワードと2段階認証を使って強化してください。また、セキュリティ製品をインストールして、常に最新のアップデートが適用済みの状態になっているようにしましょう。参考までに、カスペルスキー インターネット セキュリティ(カスペルスキー マルチプラットフォーム セキュリティのWindows対応プログラム)には、盗撮対策としてWebカメラへの不正アクセスを防止する機能があります。
ラップトップなどに付いているWebカメラ。のぞき見にも使われる可能性があることからシールやテープを貼って隠す人も。セキュリティ製品の機能を利用する方法もあります。 https://t.co/4RpLiNWfTF
— カスペルスキー 公式 (@kaspersky_japan) June 25, 2016
- 常に警戒を怠らず、新しいタイプの脅威について情報を掴んでおきましょう。セクストーションのような犯罪は、誰の身にも起こり得ます。脅威に関する情報を得たら、共有しましょう。事前の警戒が備えになります。
- インターネット詐欺やサイバー犯罪について、お子さんと話をしましょう。確かに、セクストーションは話しにくいトピックですが、子供たちは知っておく必要があります。お子さんの通う学校でサイバーセキュリティやネットの安全利用についてどのように教えているのかも、合わせて確認しましょう。家庭でこの手の話をするにあたり、参考になる資料が学校から配布されているかもしれません。