デジタルの世界はさまざまなサービスで構成されています。サービスはサブスクリプション方式(定額制)で提供され、サブスクリプションはアカウントとひも付いています。ただ、サブスクリプションにお金を払いたくないと考える人もいます。友達や身内のアカウントを拝借できるようなら、なおさらです。しかしそもそも、アカウントは貸し借りしてもいいのでしょうか?ここで本題です。人気のサブスクサービスでは、どんな条件で誰にコンテンツを「貸し出し」できるのか?ルールを曲げると、どんなことになるのか?詳しく見ていきましょう。
- Netflixのサブスクリプションを共有する方法
- Spotifyのサブスクリプションを共有する方法
- Amazonプライムのサブスクリプションを共有する方法
- YouTube TVのサブスクリプションを共有する方法
- Appleのサブスクリプションを共有する方法
- Steamでゲームを共有する方法
- Huluのサブスクリプションを共有する方法
- パスワードを共有してはならない理由
Netflixのサブスクリプションを共有する方法
Netflixは、ベーシックプランでも家族とサブスクリプションを共有できます。共有するには、家族の一人一人に対応するプロフィールをアカウント内に作成する必要があります。作成できるプロフィールは最大5個、必要に応じて子ども向けのオプションを選択できます。
アカウントのパスワードさえあれば、どのプロフィールにもサインインできます。子どもが大人用のプロフィールにアクセスできないように、4桁の暗証番号を追加してプロフィールをロックすることもできます(新しいプロフィールを作成できないようにもできます)。
ベーシックプランの場合、複数のデバイスで同時に利用することができないので、交代で視聴しなければなりません。また、映画やドラマは1台のデバイスにしかダウンロードできません。スタンダードプランおよびプレミアムプランの場合は、コンテンツを2台(スタンダード)または4台(プレミアム)で視聴でき、ダウンロードも同じ台数まで可能です。
利用規約によると、コンテンツを共有できるのは同じ世帯の人に限られています。ところが、多くの利用者が他の地域に住む身内、友人、同僚などとNetflixアカウントを共有しているのが現状です(リンク先は英語)。
こうした状況をNetflix運営側は黙認する傾向にありますが、取り締まりの強化に言及する(英語)こともたびたびあります。後々困らないためにも、規則には従いましょう。
Spotifyのサブスクリプションを共有する方法
Spotifyには、家族全員がサービスを利用できるPremium Familyプランがあります。パスワードを共有する必要はありません。パスワードの共有は、利用規約で禁止されています。ファミリーメンバーは招待を受けることでサブスクリプションに参加し、自分専用のアカウントを持つことになります。
Spotifyのサブスクリプションは、最大6人の家族で共有できます。ただし、すべてのメンバーが同じ住所に住んでいる必要があります。SpotifyはNetflixよりも不正行為に対する調査に積極的なようで、数年前には違反の取り締まりに乗りだし、一部の利用者に対し、住所確認として正確なGPS座標を求める動きを見せました(英語記事)。この動きは最終的に中止されましたが(英語記事)、利用規約には、Googleマップによる住所確認について明記されています。
Amazonプライムのサブスクリプションを共有する方法
Amazonの場合、Amazonプライム会員は、家族を家族会員として登録することで、Amazonプライム特典を共有できます。Spotifyと同様に、家族メンバーは招待を受けることで参加し、自分専用のアカウントを所有することになります。家族会員に登録できるのは、同居している家族2人までです。ただし、共有できるサービスは配送関連の特典のみで、書籍や映画などのコンテンツは共有できません。
Amazon Household (英語)の場合は、コンテンツを家族間で共有できます。参加できるのは6人まで(英語)ですが、大人は世帯あたり2人しか含められません。残る4人はティーン世代(13~17歳)または子ども(12歳以下)で、利用できるオプションが厳しく制限されます。たとえば、ティーン世代のメンバーは買い物ができますが、大人の承認が必要です。子どものメンバーはお金を使うことがまったくできず、利用するコンテンツ(書籍、映画、ゲームなど)は保護者が選択します。
また、Amazon Householdから大人を削除した場合、削除した者も削除された者も180日経過するまで別のAmazon Householdに参加できない(英語)という制限があります。Amazonにとっては、これが、住所を追跡せずに違反者を管理する手段になっています。なお、Amazon Householdが利用できない国もあります。
YouTube TVのサブスクリプションを共有する方法
Googleもパスワードの共有を禁止しています。その代わり、YouTube TVでは、追加料金なしでサービスを利用できる最大5人のファミリーグループを作成できます(リンク先は英語)。
ファミリーグループは、別のファミリーグループのメンバーに参加していない18歳以上のユーザーが作成できます。YouTubeへのログインには、G SuiteではなくGoogleアカウントを使用します。サブスクリプションは最大5人の家族メンバーと共有できますが、そのメンバーもGoogleアカウントを持っていること、また別のファミリーグループに参加していないことが条件になります。13歳以上であることも必要です。それより低年齢の子どもには、無料で利用できるYouTube Kidsが別に用意されています。
なお、YouTube TVは米国内のみで使用可能なサービスですが、米国外の居住者はYouTube Premiumのサブスクリプションを利用できます。料金は高くなりますが、YouTube MusicやYouTube Kidsも広告なしで利用できます。なお、ベラルーシ、ベネズエラ、イスラエル、アイスランド、スロベニア、韓国では、このオプションを利用できません(英語)。
YouTube TVのグループメンバーは皆、同じ住所に住んでいる必要があります。住所確認のため、サインアップ時には、郵便番号の入力(またはGoogleによるデバイスの位置情報へのアクセスの許可)が求められます(リンク先は英語)。確認は毎月行われます。
同時に視聴できるのは、デバイス3台までです。1人がタブレットとテレビでYouTube TVを視聴している場合、2台分としてカウントされるので注意してください。
Appleのサブスクリプションを共有する方法
Appleのメディアライブラリも家族と共有できます。ファミリー共有のグループには最大6人まで参加でき、年齢制限はありません(13歳未満の子どもをグループに追加する場合は、最初に子ども用のApple IDを作成する必要があります)。ただし、ファミリー共有を利用できるのは、iOS 8以降またはOS X Yosemite以降を搭載したデバイスです。また、同時に2つのグループに参加することはできません。別のファミリー共有グループに移る必要がある場合、1年に1回までなら可能です。
ファミリー共有グループのメンバーには、サブスクリプションや購入コンテンツへのアクセスを許可できます。予定や居場所を共有したり、失くしたデバイスを探す手助けをしたりすることもできます。ただし、いくつか制限もあります。ブック、音楽、映画、およびテレビ番組をダウンロードできるデバイスは最大10台まで、そのうちコンピューターは5台までです(このルールはアプリには適用されません)。また、国や地域によって利用できないコンテンツがあるので、たとえば、海外に住んでいる家族と購入済みコンテンツを共有できない場合があります。
さらに、個人および学生向けのサブスクリプション、アプリ内購入や特定のプログラム、ファミリー共有グループのメンバーが購入済みコンテンツリストで非表示にしているアイテムは、家族と共有できません。ただし、非表示にしたからと言って、ダウンロードしたアイテムがデバイスから消えるわけではありません。
ところで、購入したコンテンツの代金は、ファミリー共有グループの管理者(ファミリーオーガナイザー)に請求されます。子どもが勝手にコンテンツを購入してしまわないように、「承認と購入のリクエスト」を設定できるようになっています。もちろん、あなたが望むなら、大人の友達をグループに招待しても構いません。管理者は、ファミリー共有グループからメンバーを削除することもできます。
Steam上のゲームを共有する方法
Steamアカウントを他人に使わせることはできませんが、ゲームを共有することはできます。そのためには、ファミリーライブラリシェアリングを有効にする必要があります。有効にすると、友達や家族があなたのゲームライブラリにアクセスして、各自のキャラクターでゲームをプレイできるようになります。つまり、ほぼ完全にゲームに没頭できるわけです。なぜ「ほぼ」なのかと言うと、ゲストはダウンロードコンテンツ(追加マップ、ゲーム内アイテム、スキンなど)を購入できないためです。
利用規約では、あなたのライブラリを、それぞれ自分のSteamアカウントを持っている最大5人のゲストと共有し、ゲストは、あなたが承認した10台のデバイスでゲームをプレイできます。ゲストは同じ住所に住んでいなくても構いません。
ただしSteamは、知らない人とライブラリを共有しないことを推奨しています。誰かがあなたのプレイ中にチートやサービスの悪用をしたことが判明した場合、あなたに禁止措置が適用されたり、ゲームライブラリを共有できなくなったりする可能性があります。
このほか、覚えておくと役立つことがいくつかあります。第1に、ライブラリを一部だけ共有することはできません。全部共有するか、まったくしないかのいずれかです。第2に、アクティベーションキーやサードパーティへのサブスクリプションを必要とするゲームは、ファミリーライブラリシェアリングの対象外です。第3に、共有したゲームは一度に1人しかプレイできず、ゲームの所有者が優先されます。
Huluのサブスクリプションを共有する方法
Huluのビデオサービスは、米国居住者のみが利用できます(英語)。さらに、サブスクリプション料金の支払い方法は、米国の銀行発行のクレジットカード、PayPal、Venmoのみです。このサービスでは、1つのアカウントで家族用のプロフィールを6個まで作成(英語)できます。ログインできるデバイス数に制限はありませんが、同時に視聴できるデバイスは2台までです(英語)。3台目でストリーミングしようとすると、エラーメッセージが表示されます。
こういった制限に満足できない場合、料金はかなり高くなりますが、Hulu + Live TVパッケージを選ぶこともできます。この場合、追加料金を支払えば、何台のデバイスからでも同時に映画を視聴できます。ただし、HBOシリーズなど、コンテンツによっては制限があります(一度にデバイス5台まで)。また、コンピューターとテレビはすべてホームネットワーク内になければならず、Live TVプランへの接続時にホームネットワークを設定する必要があります(英語)。ホームネットワークに月1回以上「チェックイン」するという条件で、最大3台のモバイルデバイスでの利用が例外として認められています。
通常のHuluプランとLive TVプランの場合は、オンラインでのストリーミングのみで、広告が表示されます。同じプランを広告なしで利用できるサービスもあり、映画をダウンロードしてオフライン視聴できる(英語)のが大きな特徴です。広告なしオプションは、当然ながら料金が高くなりますが、同時に5台のデバイスに最大25本の映画をダウンロードできます。ただし、ダウンロードした映画は30日以内に視聴する必要があり、一部のプレミアムコンテンツは基本的にダウンロードできません。
Huluのサービスを家族や友達と共有するということは、ユーザー名やパスワードを教えることとイコールです。要するに、アカウントに接続した人なら誰でも(子どもを除く)、支払い情報以外のアカウント設定にアクセスできるということで、セキュリティやプライバシーの観点からもお勧めできません。
パスワードを共有してはならない理由
多くのサービスでパスワードの共有が禁止されており、許可している場合も家族に限定しています。それにもかかわらず、友達や同僚などとアカウントを共有している人は少なくありません。Zebra Insurance社が米国で実施した調査によると、同居していない人にパスワードを教えたことのある人は79%に上ります(英語)。
アカウントの共有から、問題が起きる可能性があります。たとえば、利用規約違反を理由に、サービスを利用できなくなるかもしれません。信頼できると思っていた仲間が、あなたのサブスクリプションを(あなたの負担で)アップグレードするかもしれません。複数のサービスで同じパスワードを使用していたならば、パスワードを教えた相手はテレビ番組を視聴できるだけでなく、他の何か、たとえばあなたのメールやSNSにもアクセスできるようになります。パスワードを友達に教えるとき、メールやチャットで知らせるのだろうと思いますが、その通信内容を赤の他人が傍受する可能性があるのは言うまでもありません。
以上の理由から、他人とパスワード(ひいてはアカウント)を共有しないでください。他人のパスワードをオンラインで購入するなど、もってのほかです。それが盗まれたパスワードだった場合、アカウントの本当の所有者がアカウントを取り戻す可能性は大です。各種サービスが提供する共有オプションを利用する方が賢明です。