2017年4月21日

私はこうして顔を盗まれた

ヒント プライバシー

以前、当社ではFindFaceを検証しました。FindFaceは、写真をソーシャルネットワークサービスであるVK.comのアバターデータベースと比較して、一致するものを検索できるサービスです。そのとき同僚たちは驚くべき発見をしましたが、私はといえば、不愉快な発見をすることになりました。

FindFaceの検証プロジェクトに、私自身は参加していませんでした。他の仕事で忙しかったこともありますが、そもそも私はVK.comに登録していません。実は他のSNSにも登録しておらず、少なくともプロフィールに実名と顔写真を載せているものは1つもありません。とにかく、こういったサービスが苦手なのです。ですが、自分の友達に少しでも似ている人の写真をどのように見つけるのか、試してみたい気持ちがあったので、探すことにしました。ひょっとすると、昔生き別れになった双子の兄弟が見つかるかもしれません。

結局、双子の兄弟は見つかりませんでした。というか、見つかったことは見つかったけれど、それは双子の兄弟ではなかった、と言うべきかもしれません。どう見ても自分だと言えるプロフィール写真が見つかったのです。顔だけでなく、一緒に写っている背景も、見覚えのある肩の上に乗っている猫も、壁に飾ってある絵も同じでした。カメラアングルも同じでした。つまり、検索結果の一番上に表示されたのは自分自身の写真だったのです。そう、何者かが私の写真を撮って自分のプロフィールとして使っていたということです。

このプロフィールの持ち主は、見た目がちょっと変な人の写真をネット上でかき集めて公開し、それを親戚や知人だと呼んでいました。どういうわけか私もその写真コレクションの中に入っていました。私の写真は気に入ってもらえたらしく、アバターとして使われていました。

私の写真を勝手に使っている人を見つけたとき、頭に浮かんだのは2つのことでした。第1に、この男はどうやって私の写真を入手したのか?第2に、インターネット上で自分の写真が好き勝手に使われないようするにはどうすればよいのか?誰が私の写真を撮り、いつどこで公開されたのかはわかっていました。この写真は以前、LiveJournalの非公開ブログに載っていたものでした。そこから他に漏れるはずはないのですが、漏れたのは明らかです。

写真の流出ルートを突き止めるのに、画像検索が役立ちました。数年前、LiveJournalが(またしても)瀕死の状態と思われたとき、それに代わるサービスとしてDreamwidthを勧める動きがありました。DreamwidthはLiveJournalをミラーリングして後継サービスとなるという話でした。一時期、Dreamwidthに掲載された投稿は誰でも閲覧できる状態になっており、そのときに写真が検索エンジンのインデックスに登録されたようです。その結果、投稿自体にアクセスできませんが、写真だけは今でも「a man and a cat」(男性と猫)といったキーワードで検索できるようになっています。

検索したところ、さらに驚く結果が得られました。私の写真はLiveJournalだけでなく、Fotostrana(「写真の国」という意味)という別のSNS、ウクライナの自動車関連フォーラム、女性フォーラム(「男性と猫」の写真コレクションの中)、アマチュア写真ホスティングサイト、そのほかGoogleしか覚えていない2、3の休眠サイトでも使用されていました。

鏡に写る自分の姿を見ながら、私の写真がなぜそれほど人気があるのか不思議な気持ちになりました。おそらく猫のせいでしょう。それでも、インターネット上で自分の写真を目にするのは気持ちのいいものではないので、無断で使用されている写真をすべて削除してもらおうと思い、自分の写真が使われているそれぞれのサービスに申し入れました。以下はその戦いの経過です。

休眠サイトについては気になりませんでした。誰もアクセスしないのですから、わざわざ相手にする理由はありません。アマチュア写真ホスティングサイトは、一番簡単でした。このサイトでは、著作権侵害と考えられる写真を報告できるようになっているからです。私のケースは通常の著作権侵害とは少し違いましたが、写真の半分以上を私の顔が占めているので、少なくとも部分的な著作権が自分にあるだろうと踏んだわけですが、このサイトは、証拠の提出を求めることなく写真を削除してくれました。

女性フォーラムからは返信はありませんでしたが、私の写真を載せていた投稿は削除されました。ウクライナのフォーラムからは数週間後に返信があり、証拠の提出を求められたので送りましたが、音沙汰なしでした。ただ、写真を掲載した人は3年前に4回投稿しただけで姿を消していたので、それほど気になりませんでした。その後、いよいよSNSへ申し入れることになりました。

Fotostranaは意外なほど快く対応してくれました。翌日に管理者から返信があり、私の写真を送るよう言われました。同時に技術サポートに話を取り次いでくれ、その後写真は削除されました。写真を無断で使用した人のアカウントはアバターが変更されるまでブロックされました。とはいえ、新しいアバターも本人のものとは思えません。その写真はいくつものWebサイトで「Mobsters of the world」(世界の有名な悪党)というタグのついた写真コレクションなどで見かけたからです。

一方、VK.comとのやりとりは、長丁場になりました。最初は、技術サポートの担当者に私の申し入れを理解してもらえませんでした。自分のアカウントに再びアクセスできるようにしたいのであれば、アバターに表示されているのが確かに自分であることを証明しなければならない、と言われました。一瞬、因果応報とばかりにアカウントを乗っ取ってやろうかとも思いました(実際、写真に写っているのは私ですから)が、元来正直な人間ですし、VK.comの管理者に嘘をつくのは気が進みませんでした。

まるでレンガの壁に向かって話しているようでした。写真を削除してほしいと頼むと、証拠を出せと言われ、証拠を送ると、音信不通に。しばらく経ってから、「それで、写真の件はどうなりましたか?」と催促してみると、また最初からやり直し。同じやりとりが少なくとも4回はありました。

4回目のやりとりの後で、どうやら技術サポートの人は私が送った証拠を見ていないようだと気づきました。先方のメールサービスではサイズの大きいメールを受信できないのかもしれません。それが原因かどうか定かではありませんが、証拠となる写真を写真ホスティングサービスにアップロードしてリンクを送ると、奇跡のように話が進み始めました。

写真を無断使用した人は、数日間VK.comの利用停止処分を受けました。私はその人のアバターが変わらないようなら管理者に報告するようにと言われました。アバターが変わらなかったので、私が管理者に報告すると、その人は再び、以前より長い期間の利用停止処分を受けました。最終的に、指示に従わなかったため、その人は退会処分となりました。

私と同じ目に遭っている人がきっと他にもいると思います。インターネットで自分の写真を検索してみてください、あなた方のうちの何人かは、自分の写真を使っているのが自分だけでないことがわかって驚くことでしょう。何もせずに手をこまねいているのではなく、どうにかしたいのであれば、私は応援します。少なくとも、どうすればいいのかはこの記事が参考になると思います。

知らない人に写真を無断使用されないため、あるいは無断使用されてしまったときに問題を解決するためのヒントをまとめます。

  1. 自分の写真に気を配り、写真がどこにどのように掲載されているか、常に注意を払いましょう。
  2. SNSの誰かのプロフィールで自分の写真が使われているのを発見しても、慌てることはありません。きちんとしたSNSはどこも感じが良く、写真を削除して違反者を利用停止にしてくれます。
  3. SNSの担当者に写真を送りたいときは、メールよりもファイル送信サービスを利用した方が良さそうです。写真を送ったら、すぐにファイル送信サービスから写真を削除することもお忘れなく。