Kaspersky Labでは、良い時期も悪い時期も力を合わせて乗り越え、お互いから多くのことを学んできた。そして、設立20周年を迎えた今、その大切な洞察と経験をぜひ皆様と共有したいと考え、さまざまなアイデアやアドバイスをご紹介することにした。今後、経営上の課題やビジネスチャンスに遭遇したとき、効果的に対応するためのヒントとして役立てていただければ幸いだ。特に、小規模企業、起業家、そして創業して間もない若い企業の皆様に参考にしていただきたい内容ばかりだ。乗り越えるべき大きな山を迎える、いつかその日に備えて。(ユージン・カスペルスキー)
勝負を分ける10分間:Kaspersky Labの20年間の洞察と経験から(上)
2.失敗への恐れ
Kaspersky Labの調査によると、規模を問わず50%の企業がリスクへの対応を最優先課題に挙げ、次いで製品やサービスの質の向上が第2位でした(51%)。新規市場への参入、新製品や新サービスの発売、成長…これらはいずれもリスクであり、失敗する可能性をはらんでいます。企業にできる準備と対応は何でしょうか?
Kaspersky Labは、これまでの歴史を通じて、リスクを軽減するために他社とのパートナーシップを大切にしてきました。初期のホワイトラベル化による提携にとどまらず、チャネルパートナーと連携することで、現地市場についての知識や顧客に関する情報の提供を受け、Kaspersky Labの技術的な専門知識と組み合わせて活用しています。この方法は、新規市場に参入する場合に特に有益であることがわかっています。
リスクを軽減するには
「何か新しいことを始めるときは、新しいチームを作る。人は慣れる生き物であり、変化は不確かで痛みを伴う。そこで、それに対応するために新しいチームを作ることが大切だ。そのときは、必ずCEOの支持を得ること」ニキータ・シュベツォフ
「自分ひとりで成功することがどれほど難しいか、それを理解している人と話そう」タンギー・ドゥ・コートポン
「自分の人となりを理解すること。最大の弱点は外ではなく内にある。自分の一番のライバルは自分自身だ」アレクサンダー・エロフィーエフ
「常に第二のプランを立てておこう」アルフォンソ・ラミレス
万一の場合は…
「『失敗』の定義を見直そう。必要な答えが得られないなら、ひょっとしたら質問が間違っていたのかもしれない。求めていた売上を達成できないなら、ターゲットとする顧客が間違っていたのかもしれないし、製品の位置づけを見直す必要があるのかもしれない。そういうときは質問に立ち戻ること」アリーナ・トープチ
「万一の事態について考えすぎないこと。まずは行動してみよう。起こり得る事態を想定しすぎると動きが鈍くなる。頭の中をクリアにしておけば、先を見通し、これから起こることにもすばやく対応できる」エフゲニア・ナウモヴァ
「たとえ何も挑戦していなくても、失敗することはある」デニス・ゼンキン
「もし『これが正しい変化だ』、『これが正しい行いだ』と感じたら、そう考えているのは多分あなた一人ではない。失敗することを恐れて、誰かが行動を起こすのを指をくわえて見ているのか、それとも自ら行動を起こしてリーダーになるのか、どちらかだ」トム・ハバード
「失敗には選択の余地がある。なぜなら、失敗が成功につながることもあるからだ。いかなる過ちにも学びがある」アンドレイ・ニキーシン
リスクを恐れるな
「ビジネスのライフサイクルには、企業が顧客に過度に依存する時期が必ずやってくる。そうなると、その企業は停滞し、技術革新を止めてしまう。新興企業にはこれがない。たとえ今は見向きもされなくても、いつか顧客から求められると信じて、革新的な製品やサービスを生み出している。事業規模がどれほど大きくなっても、その精神を決して忘れないこと」アレクサンダー・モイセーエフ
3.優秀な人材を発掘し、確保するには
デジタルテクノロジーやグローバル化、ミレニアル世代の登場、団塊の世代の現役引退などの影響で、仕事の世界はめまぐるしく変化しています。先進経済国では、「優秀な人材や経験豊富な管理職従事者の確保」が小規模企業の抱える問題の上位にランクインしています(リンク先は英語記事)。また、中規模企業では、トップクラスの人材を大企業に奪われることが多く、そうした人材を採用し維持することが難しいと感じています(リンク先は英語記事)。
Kaspersky Labでは、まだ創業して日の浅いスタートアップ時代に国際的な事業拡大に乗り出しました。当時、ロシア国外ではほとんど知名度がなかったことから、現地でトップクラスの人材を採用するのは本当に大変でした。そこで、我々はある方法を使ってこの問題を解決したのです。それは、新任のカントリーマネージャーに自宅の近くで支社を設立することを認めたこと。そのため、今でもドイツではベルリンではなくインゴルシュタットに、米国ではニューヨークではなくボストンに支社を構えています。
必要な人材を判断するには
「会社を取り巻く環境に目を向けてみる。たとえば、私たちが日々戦う相手が高いスキルを持っているのであれば、それに匹敵するスキルと能力を持った人材が必要だ」チムール・ビヤチューエフ
「『First Who, Then What』(まずは誰と一緒に、そこから何を達成するか)の原則を適用する。つまり、どんなタイプの人と一緒に働きたいかを決めてから、その人をビジネスと結びつける方法を見出す」クラウディオ・マルティネリ
「組織は常に、スキルより考え方を重視して人を雇うべきである。正しい考え方を教え込むことはできない」トム・ハバード
「業界で長年働いた経験があり、あらゆることに対する考え方がすでに形成された人ではなく、成長したいという気持ちが強く、成長する意思のある人を雇うこと。特定のスキルを持っているだけでなく、自分で考える力を持っている人を探し出すことが大切だ。面接で話しただけで、その人の考え方や企業文化への適合性、仕事への興味の度合いを判断することは容易でなく、仕事のできる人かどうかを見極めるのは難しい。その人の価値観、これまでの実績やその中での役割についてどう語るか、どんなことがモチベーションになるのか、何を重視するのか、についても同じことが言える」ニキータ・シュベツォフ
最適な人材を見つけるには
「よくわからないことだってある。自分の直感を信じるだけだ。目新しい視点やスキルをもたらしてくれる他業種の出身者に目を向けてみるのもいいだろう」タンギー・ドゥ・コートポン
「キャリアのスタート地点に立ったばかりの人は、何がしたいのか自分でもよくわかっていない。また、自分の意思に反して、相手から求められるとおりに発言してしまうこともある。そのため、その人の本当の姿を見極めるのは難しい。私はあえて、その人の失敗談を尋ねるようにしている。失敗の中にこそ、真の能力が見え隠れするからだ」チムール・ビヤチューエフ
働き続けたいと思う組織とは
「会社には、スタッフの心をひとつにするような目標が必要だ。その目標こそが、会社に残りたいという気持ちを高め、たとえ過ちや失敗、困難な時期に遭遇してもその人の心を支え続ける」アレクサンダー・モイセーエフ
「私は、社員ができる限り会社に貢献できるようサポートすることで、大きな組織の一員であることを実感させるようにしている。そこから得られる一体感には、仕事を持っていること以上の価値がある。これは人生であり、情熱であり、楽しみである」ユージン・カスペルスキー
○協力者一覧 | |||
ニキータ・シュベツォフ(Nikita Shvetsov) 最高技術責任者(CTO) |
タンギー・ドゥ・コートポン(TanguyDe Coatpont) フランスおよび北アフリカ地域経営責任者 |
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アレクサンダー・エロフィーエフ(Alexander Erofeev) 戦略マーケティング担当バイスプレジデント |
アルフォンソ・ラミレス(Alfonso Ramirez) イベリア地域経営責任者 |
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アリーナ・トープチ(Alina Topchy) セールスオペレーション&イネーブルメント担当バイスプレジデント |
エフゲニア・ナウモヴァ(Evgeniya Naumova) コーポレートセールス部長 |
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デニス・ゼンキン(Denis Zenkin) コーポレートコミュニケーション部長 |
トム・ハバード(Tom Hubbard) グローバルデジタルマーケティング担当バイスプレジデント |
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アンドレイ・ニキーシン(Andrey Nikishin) フューチャーテクノロジー部スペシャルプロジェクト ディレクター |
アレクサンダー・モイセーエフ(Alexander Moiseev) チーフセールスオフィサー |
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チムール・ビヤチューエフ(Timur Biyachuev) アンチマルウェアリサーチ部 ディレクター |
クラウディオ・マルティネリ(Claudio Martinelli) ラテンアメリカ地域経営責任者 |
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ユージン・カスペルスキー(Eugene Kaspersky) 取締役会長兼最高経営責任者(CEO) |
勝負を分ける10分間:Kaspersky Labの20年間の洞察と経験から(下)
※『勝負を分ける10分間:Kaspersky Labの20年間の洞察と経験から』の英語版フルバージョンは、こちらからご覧いただけます。