データを持ちすぎることの危うさ

2014年6月24日

「知識を増す者は悲哀を増す」 -コヘレトの言葉1章18節

技術が進歩し、安価なデータストレージデバイスが手に入るようになった現在、私たちが無数のデバイスを使ってデータを保存している状況に、この言葉がぴたりと当てはまります。

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10年か15年前は、かなりの大容量と考えられていた20GBくらいの高価なハードディスクドライブ(HDD)に、空き容量がなくなるまでデータを保存することはあまりありませんでした。音楽や動画や写真といったものは、何枚もの光学ディスクに保存されていたからです(650MBもあれば、たくさん保存できたことでしょう)。しかし今では、コンピューター、スマートフォン、タブレットの数百GB程度の容量では満足できません。そこで、外付けHDDを買い足して、クラウドストレージサービスを利用し、集めているデータを全部保存しようとします。もちろん、データを好きなだけ保存できる方法があるというのは、一面では良いことです。でもそれは、メリットよりも多くの問題をもたらすことにならないでしょうか?

データが多すぎて保存やバックアップに支障をきたす

実際の問題としてまっ先に考えられるのはストレージです。インターネットの利用料金が手ごろになり、ストレージデバイスも比較的安価になったことから、自分にとって大切だと思えるもの、つまり映画や音楽、写真、ソフトウェアなどを、誰もがとりつかれたように集めるようになりました。こういったものを内蔵ストレージや外付けHDDに保存すれば、あっという間に容量がいっぱいになり、新しいハードウェアを買わざるを得なくなります。しかし、ある日HDDの1台が故障すると、私たちは自分自身に問いかけることになります。保存しているデータをすべて保護するにはどうしたらいいのか?その答えとして明らかなのはバックアップです(実際のところ他に答えはありません)が、あまりにも時間がかかる場合もあります。小さなファイルが大量にある場合(ほとんどの人がそうでしょう)はなおさらです。おそらく、さらにお金が必要になるでしょう。それに、新しいHDDがデータでいっぱいになった直後に故障しないとも限りません。RAIDを用意するにしても、とてつもない費用がかかります。

そこで代わりとなるのがクラウドストレージです。分散型のデータストレージで、信頼性が高く、インターネットに接続できるデバイスを使えばどこからでもアクセスできます。これで万事解決ではないでしょうか?でも、それはお金に余裕のある人か、保存するデータがほとんどない人だけです。たとえば、Dropboxサービスは2GBまでしか無料で利用できません。その10倍か20倍の容量を利用できるサービスもありますが、それだけです。もっと使いたければお金を払わなければなりません。したがって、Dropboxアカウントで500GBのデータをバックアップするには、600ドルに別れを告げる覚悟が必要です。しかも、これはたった1年間の料金なのです。もちろん、数GBの無料ストレージのアカウントをいくつか使うという方法もありますが、あまり便利なやり方とは言えません。

データは増えれば増えるほど、扱いにくくなるもの

大きすぎて転送できない

2つ目の大きな問題は、転送できないほど大量のデータを持つことです。iPhoneやMacを使っている人なら、デフォルトのバックアップ機能であっという間にデータを移せますが、Windows XP搭載の古いコンピューターからWindows 8搭載の別のコンピューターに全データを転送するというのは、非常に困難になる場合があります。大量のファイルを持っている場合はなおさら大変なはずです。一番簡単にデータを転送する方法は、高速の無線または有線ネットワークを使ってピアツーピア接続を確立することでしょう。しかし、これでは解決できない問題もあります。皆さんもときどき経験すると思いますが、ファイルがすべてHDD内のどこかにあるとしても、その正確な場所がまったくわからないのです。どのファイルがコンピューターのどこにあるかを全部覚えているという人は、天才か整理マニアでしょう。このような人たち以外は、別のデバイスに転送するファイルの保存場所を思い出して、全ファイルを見つけ出すという作業に、数日とは言わないまでも、数時間はかかります。

とにかく、フォルダーを1つ1つ見て回ってファイルを選び、どうにか新しいマシンに送って、不要な古いファイルを削除した後に、急に頭が冴えてきて、とても大事なファイルを転送し忘れていたことに気づきます。これが3つ目の問題です。

失うものが多すぎる

ご存知のように、持ちものが増えるほど、それを気にかける機会が減っていきます。データの場合も同じです。お気に入りの映画を残らず集め、好きな音楽を(一度しか聞く価値がない曲も)買いあさり、仮想フォルダーを写真、文書、ゲーム、ツールなどで埋め尽くしていき…こういったものが手元に、使っているデバイスの中に入っていれば、絶対に安全だと考えてしまいます。

それは間違いです。先ほども書いたように、どんな最新式のHDDもいつ壊れるかわかりません。他のものもすべて同様です。フォルダーをゴミ箱に捨ててしまうこともあるかもしれませんし、重要な文書を(ある日[ファイルの書き換え]を押したために)コンピューターから削除することもあるでしょう。他にどんなことがデータに起きるかは誰にもわかりません。また、デスクトップロッカーやワイパーといったものも、忘れるわけにはいきません。こうした悪質プログラムによって、デバイス内のすべての情報が一瞬で破壊され、二度と復元できなくなります。要するに、笑える写真が2~3枚と、ジャスティン・ビーバーのアルバムが消えたとしても、困ったことにはなりませんが、重要な情報が入ったファイルがなくなると大惨事になりかねないのです。

何かできることは?

究極の方法は、データを残らず処分することです。何事もそうですが、最初は自分がデータを使っているつもりでも、いつの間にか自分がデータに使われることになります。とはいえ、データを捨て去るのは言うほど簡単なことではないので、そういうことは悟りを開きたい人に任せておくとして、もっと実用的で現実的なヒントを見ていきましょう。

マルチメディアデータをすべてローカルに保存する必要はありません。どんな音楽や動画にアクセスするにも、安価なインターネットを利用する方がずっと便利です

1つ目のヒントは、掃除です。新しいデータを保存するときにすぐに整理した方が、500GBくらいたまってから大変なソート作業をするよりずっと楽です。ただし、そういう場合でも、ストレージの片づけをする価値はあります。確かに時間も忍耐力も必要な作業ですが、後で自分のデジタルコレクション内の何かが必要になったときに、自分自身に感謝することでしょう。

2つ目は、不要なファイルの削除です。しばらくシステムを使っていると、さまざまな種類のファイルでいっぱいになることがあります。そのようなファイルは一度も使わないでしょうし、その存在にすら気づかないかもしれません。たとえば、何かの文書やマルチメディアファイルの複製、キャッシュ、ツールやゲームの古いバージョンなどです。特別なプログラムを実行して、複製ファイルを自動的に検出し、何らかのソフトウェアが残したキャッシュや使わないファイルなど、不要なものを削除するのがいいでしょう。後のことは自分の手でやれます。たとえば私は、非常に単純ながらも効率的な方法で、サイズの大きな使っていないファイルを見つけています。すべてのファイルを、サイズ順と最終更新日順でソートするのです。私はいつもこれで空き容量を増やしていますが、場合によっては10~20GB以上の空きができることもあります。

3つ目は、何もかもをローカルに保存しないことです。あらゆるコンテンツをインターネットから自分のPCにダウンロードするという慣習が問題なかったのは、15年ほど前の話です。今では高速インターネット接続の料金も、カフェの朝食よりほんの少し高いくらいになりました。すべてをコンピューターに移す必要はないのです。数回クリックするだけで、お気に入りのテレビ番組をオンライン上でいつでも視聴できますし、どんなミュージシャンのニューアルバムも聴くことができます。私としては、インターネットを使わずに音楽を聴いたのがいつだったか思い出せません。いずれにせよ、オフラインのタブレットで音楽や映画を再生する場合も、インターネットからダウンロードするのにそれほど時間はかかりません。

4つ目として、データを分類し、それぞれを適宜保護しましょう。ストレージデバイスを整理した後に、「仕事」「自宅」「プライベート」「アーカイブ」など、ファイルをいくつかの層に分けます。当然ながら、重要な層ほど強力に保護しなければなりません。たとえば、機密文書のスキャンファイル、プライベートなデータやお金に関するデータ、電子キーといった情報は、インターネットに接続しないデバイスを使ってローカルに保存してください。必要な場合は暗号化することもできます。また、強力な暗号化で保護されたDVDにファイルのコピーを作成すると、なお良いでしょう。念には念をです。一方、仕事用のファイルであっても、犯罪者にとって貴重なデータが含まれていなければ、クラウドに保存しても問題ありません。こうしておけば、どこにいても、ほぼすべての種類のデバイスからアクセスできます。アーカイブは好きな場所に保存しても大丈夫ですが、外付けHDDに保存することをお勧めします。とても安く手に入りますし、内臓のHDDやSSDの容量を使わずに済みます。

もちろん、ストレージを片づけて、すべてが整理された状態を保ち、データを保存しすぎて空き容量がなくらならないようにするというのは、大変な作業です。しかし、これは本当にやる価値があります。いつかコンピューターをアップグレードするときや、コンピューター間でデータを移すときに、すべてうまくいったと感じるはずです。さて、ちょっと実験をしてみましょう。全データを保存したハードディスクを開いて、データの半分を消去するのです。その違いを感じてみてください。