航空機追跡サービスFlightradar24の仕組み

2015年4月23日

空の旅となると、不安でいっぱいになる人が大勢います。中には、自分が飛行機に乗るわけではないのに心配になる人も。

「到着したらすぐに電話しなさい」。私が飛行機に乗るたびに、母はこう言います。

乗ることを真っ先に伝えなかったときは、もうカンカンです。週に何回か飛行機に乗るので、その度に母に教えるなんてとんでもないのですが、そう思っていることは母には内緒にしておきましょう。

子供のことが心配な人や極度の飛行機恐怖症という人には、Flightradar24という素晴らしいサービスがあります。飛行機のフライト状況を教えてくれるサービスです。

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最近は、インターネット上で飛行機を追跡できるサービスが次々登場しています。しかし、その多くが、情報を随時更新できないという問題を抱えています。米国の航空会社であれば最新の情報が提供されているかもしれませんが、他の国の場合はそうとも限りません。また、システムでまったくカバーされていない空港や航空会社が多いのです。

要するに、問題はデータのソースです。基本的に、飛行機を追跡するためのデータは、空港のWebサイトから入手しているのですが、それではあまり意味がない気もします。自分で空港のWebサイトに行き、フライトの状態を調べられるのなら、追跡サービスなど誰も利用しないのでは?

Flightradar24のアプローチは一味違う。フライトに関するデータを飛行機から直接受信

ここでの主な問題は、フライトの状態が随時更新されないこと(完全に手作業で更新する場合もある)と、ある時点で飛行機が実際にどういう状況なのかはっきりしないことです。

たとえば、フライトの状態が「出発済み」になっていても、実際はまだ離陸しておらず、滑走路の順番待ちで40分間ずっと誘導路にいる、ということもあるかもしれません。

Flightradar24のアプローチは違っていて、フライトに関するデータを飛行機から直接受信します。これを可能にしているのが、放送型自動従属監視(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast:ADS-B)という技術です。最近の飛行機はほとんどがADS-Bを採用しています。

ADS-B技術は当初、従来型のマイクロ波レーダーより正確に航空機の位置を特定できるよう、ディスパッチャー(運航管理者)向けに開発されました。また、ディスパッチャーだけでなくパイロットも、さまざまな飛行情報を把握できます。

ADS-Bは比較的複雑で高度なシステムであり、パイロットは天候や地形などの最新情報を確認できます。しかし、今回注目するのは、それとは別のADS-B Mode-Sという機能です。このモードでは、GPS位置データ(緯度、経度、高度)のほか、速度(昇降率など)、機体固有の「アドレス」、便名が、1090 MHzチャンネルで定期的に(約1秒に1回)送信されます。

航空機から送信されるデータには、いわゆる「スクォーク」もあります。トランスポンダーコードとも呼ばれ、ときにはコードで表した情報が送信されることもあります(緊急時には7700、ハイジャックされたときは7500が設定される)。このため、どんな非常事態も完全に追跡できます。

おかしな話に思えますが、こうしたデータはすべて暗号化されていないチャンネルから送信されるため、誰でもアクセスできます。必要なのは、無線マニアの基本的な技術だけ。1090 MHz周波数帯のアンテナを手に入れて、簡単な無線受信機を組み立てられれば十分です。

もっと簡単な方法もあります。USBインターフェイス付きの一般的なテレビチューナーをeBayやAliExpressなどの「中国製品」を扱うマーケットプレイスで探して、10~20ドルで購入し、通常のドライバーではなくカスタムドライバーをインストールする、これだけです。PCがインターネットに接続されていれば、巨大なクラウドソーシングプロジェクトの一員になれます。

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ずっとオンライン状態でいる必要すらありません。ADS-B信号は、飛行機の位置から240km離れていても受信できます。なので、よほど人里離れた場所に住んでいない限り、似たようなセンサーを持っているマニアが何人かは近くにいるはずです。少なくともそのうちの誰かがセンサーを使って信号を受信している確率は、かなり高いでしょう。

要するに、世界中の何千という受信機から、Flightradar24のサーバーにリアルタイムでデータが送られているのです。これにちょっとしたハイテクの魔法をかけてあげれば、世界中のほとんどの飛行機の飛行状況を誰でも見られるサービスのできあがり。あとは、どのインターフェイスを使うかを選ぶだけです。Flightradar24はWebインターフェイスとモバイルアプリを提供しており、無料版と有料版があります。

Webインターフェイスの方が柔軟な機能を備え、高度な検索を利用できます。検索条件には、便名(IATAまたはICAO)、航空機の登録番号、「スクォーク」コード、航空会社名、航空機のモデルなどがあります。もちろん、便名以外のパラメーターは、航空マニアでなければ興味はないでしょう。

便名で検索すると、その飛行機の位置をリアルタイムで確認できるほか、すでに終了したフライトでも、航路上のある地点での飛行パラメーターなどの詳しいデータがわかります。

購入しようと思っているフライトでどんなタイプの航空機が使われているのか調べることで、どんなフライトになりそうか予測がつきます。その逆も可能で、自分の好みに合わせてフライトを選ぶのもいいでしょう。航空機に関する情報があれば、最新鋭のBoeing 787の乗り心地を試すことも、Tupolev 154でレトロなフライトを楽しむこともできます。

飛行機を追跡するときは、通常の「飛行機が地図上を動く」モードのほか、「コックピットビュー」も楽しめます。もちろん、コックピットから撮ったライブビデオストリーミングではありません。このビューに表示される画像は、航空機の現在の高度から投影された衛星の地形画像を基に生成されています。最初のうちは見ていて楽しいかもしれませんが、航路のデータがときどき消えたり、画面上の飛行機のノーズが突然ぴくっと動いたりするので、目障りに感じるかもしれません。

モバイルアプリについては、Android、iPhone、iPad、Windows Phoneの各プラットフォームに対応する有料版でしか十分な機能を使えません。無料版は検索機能がごく限られています。モバイルアプリに固有の特徴は、拡張現実というクールな技術を使える点です。

その使い方を説明しましょう。飛行機が空を飛んでいるのを見かけたら、デバイスのカメラを向けてください。すると、その飛行機の写真と、すべての飛行データが表示されます。とはいえ、実際にこれをやろうとすると、問題がないわけではありません。移動する飛行機をずっとフレームに収めるのはとても大変ですし、航空機の特定に使われる位置データが、正確でないこともあります。この地理位置データは、スマートフォンのGPSモジュールから取得し、加速度計と内蔵コンパスによって補正されたものです。

しかし、こうした機能は必須ではありません。今回の記事で重要なのは、どのフライトもいつでも追跡できるということです。また、Flightradar24を使うことで日々の生活が便利になります。インターネットに接続されていれば、誰でもこういうことができます。知っていて損はありません。