今回はKaspersky Labのマイクロチップ移植実験を、文化的になじみがあり、わかりやすいコンセプトに結び付けようと思う。ジェダイのフォース™を使うのだ。
驚くかもしれないが、現在のテクノロジーの水準をもってすれば、ジェダイのフォース™を使うなど造作もない。1920年代に今回の実験の原理に最も近いものを取り入れたのは、レオン・テルミン(Leon Theremin)氏である。テルミンという楽器を見たり聞いたりしたことがあれば、私が今、何を話しているかわかるだろう。ここで、物理学のシェルドン・リー・クーパー(Sheldon Lee Cooper)博士がこの原理を面白おかしく実演している動画を紹介しよう。
ジェダイのパワーを実生活で応用している例として、テルミンがベストというわけではない。ぴったり当てはまるのは、Microsoftが開発したXbox One Kinectセンサーだろう。人体の動きをかなり正確に追跡する技術だ。
こういったコントローラーの用途は、たいていがゲームだ(ゲームだけに限らないが)。詳しくは、こちらの動画を見てほしい。Microsoftでこのプロジェクトの開発チームリーダーを勤めるカリーム・チョードリー(Kareem Choudhry)氏が、Kinectの最新世代の機能を紹介し、このテクノロジーの主な原理についても説明している。
そこで、ドアの開閉を意図して設計された電動装置をドアに取り付け、その装置のソフトウェアとKinectのプロセスを同期させれば、ただ手を振るだけでドアを開閉できるようになる。
もっとも、Kinectには重要な機能が1つ欠けている。人物を識別する機能がいまいちなのだ。ここで役立つのが、人体に埋め込んだマイクロチップ。ドアを開けようとしているのは確かに私であり、ドアを開ける権限を私が持っていることをシステムに知らせてくれる。
言うまでもないが、システムはまだ完璧ではない。手探りでやっていることがたくさんある。もちろん、商業展開は先の話だ。安全性やセキュリティ、使い勝手、そしていずれはライセンスや生産など、細部を詰め、改善しなければならないことが山のようにある。
#BionicManDiary(エピソード4): 「フォース」でドアを開ける男
Tweet
しかし、大局的に見れば、どれも些細なことだ。最も重要な成果は、ジョージ・ルーカスが1970年代に思いついたテクノロジーが現実のものになろうとしていることだ。みんなでこのプロジェクトに貢献しよう。下のコメント欄にジェダイのフォースのほか、SF的な発想を日常生活で活用する方法を提案してほしい。この世界は錠と鍵から解放され、「ジェダイ」は立派なサイボーグを意味する実用的な言葉に変わるだろう。
もちろん、フォースを悪用するシスも現れるだろう。
さて、今回はこれで締めくくりとしよう。ご意見、ご希望をお待ちしている。次回、マイクロチップとバーチャルリアリティのエピソードをお楽しみに。
#BionicManDiary(エピソード1) — 身体にチップを埋め込んだ男
#BionicManDiary(エピソード2) — 寝返りを打つチップを持つ男
#BionicManDiary(エピソード3) — スマホのパスワードロックをすり抜ける男
P.S. 前回の記事で、鍵を使わずにKaspersky Labのオフィスへ入る様子を動画でお見せしたいと言ったが、忘れたわけではない。残念ながら、まだ実現できていないのだ。よくあることだが、私のもとに届いた電子錠の周波数の設定が間違っていた。今は新しい錠が届くのを待っている。デモができるようになったら、今後のエピソードで必ず披露する。お楽しみに。