2人のデジタル王国: オンライン情報を安全に共有するには

2018年4月19日

ジョンとエイミーの物語

主な調査結果

  • 恋愛/夫婦関係にある人の82%が交際中の相手とデバイスを共有し、77%は銀行、ショッピング、SNSなど何らかのオンラインアカウントを共有すると回答しました。
  • 回答者の62%は、デバイスやインターネットを通じてコミュニケーションをとることで、互いをより理解できるように感じると回答しました。パートナーと何らかのアカウントを共有している人の半数以上(53%)は、オンラインでのアクティビティをパートナーと共有することは関係改善に役立ったと回答しました。
  • ただし、パートナーとデバイスを共有していると回答した人の90%は、パートナーが安全を考えずに行動している(複数アカウントで同一パスワードを利用している、公共の場でデバイスを手放したことがあるなど)と回答しており、リスクが潜在することが判明しています。
  • こうしたサイバーセキュリティ意識の低さは、さらにリスクの高い状況を招く可能性があります。パートナーの方がサイバー攻撃について詳しくないと回答した人のうち、は自分よりもパートナーの行動に不安を感じているとし、28%はそうしたパートナーとデバイスやオンラインアカウントを共有するようになってから、これら関連の問題が増えたと回答しています。
  • こうした状況は、サイバー脅威(24%はうっかりデバイスをマルウェアに感染させてしまったと回答、16%がオンラインでいくらかのお金を失ったと回答)だけでなく、口論に発展するなどのリスクを高める可能性があります。
  • デバイスの使い方が引き金となった口論は、パートナー間で頻繁に起きています。たとえば、回答者の半数以上(55%)は相手がデバイスを長時間使うことに不満を抱き、30%はどちらかが相手のしてほしくないと思うことをデバイスに対して行ったために口論になっています。
  • オンラインに投稿した情報も、口論の原因となります。34%は自分のSNSの投稿に対して「いいね!」をしなかったことで喧嘩になったと答え、33%は元パートナーとオンライン上で会話したことで喧嘩になったことがあると回答しました。

はじめに

パートナーと何かを共有する、というのは関係性が深まる中の自然な流れで、物理世界の話だけでなくオンライン世界でも同様です。日常の多くのやり取りがオンラインで行われていることを考えれば、自分のパートナーとデバイスやアカウントまで共有することは、ベッドや車を共有するのと同じ感覚なのかもしれません。

これには非常にポジティブな側面があります。事実、パートナーと何らかのアカウントを共有している人のうち半数以上の人(53%)は、オンラインでのアクティビティを共有するようになってから関係性が改善したと回答しています。

オンライン上の自分の世界をパートナーと共有することが互いへの深い関与を示す一方で、セキュリティ意識の甘さから口論になるなど、カップルとしての関係性を犯す問題を多くもたらす原因にもなります。

パートナー同士に与える影響としてどのようなものがあるのか、ここではジョンとエイミーという若いカップルを題材に考えたいと思います。ジョンとエイミーは、オンラインでのやり取りを通じて関係性を深めた典型的なカップルで、関係構築ではデバイスやデジタルのやり取りが大きな役割を果たしています。

つきあい始めて1年経つジョンとエイミーは、デジタル面での考え方の違いを乗り越えてきました。今はデバイスを共有し、請求書の支払いや食品の購入などに使う共同のアカウントを持っています。そんな固い絆のある2人ですが、テクノロジーの使い方やテクノロジーへの姿勢の違いは2人の関係に影響を及ぼし続けています。

本レポートでは、パートナー間に起こる「デジタル共有のサイクル」を検証します。共有し始めの興奮状態から、次第に懸念が生じだして口論が起きるようになるまでの流れに注目することで、デバイスの使い方やアカウント共有の範囲、これらが暗示するもの、さらにはジョンとエイミーのようなカップルが2人のための「デジタル王国」の主導権を取り戻し、安全な「2人の王国」を築くために何ができるかを考えます。

調査方法

2018年1月、調査会社TolunaおよびKaspersky Lab は、6か月以上交際しているパートナーを持つ、世界18か国の18歳以上の男女18,000名(男性9,000名、女性9,000名)を対象にオンライン調査を実施しました。

データは、各国で一貫したものとなるように重みづけされています。

※このレポートは、『A Digital Kingdom for Two: Securing a Shared Online World』の抄訳です。

第1章:ジョンとエイミー、共同生活の次のステップに進む

今では多くの人間関係がオンラインで構築され、やり取りを重ねながら成長します。ジョンとエイミーも例外ではありません。彼らはオンラインで出会い、今では同居しながらも日々メッセンジャーを使っておしゃべりしたり予定を立てたりしています。

こうしたコミュニケーション方法は多くのカップルにとっての日常で、回答者の3分の1(34%)は、オフラインまたは対面で話すよりもデバイスを介して会話する方が多いとしています。同性カップルではこの傾向が著しく、男性同士のカップルの場合は3分の2(66%)、女性同士のカップルの場合は42%が対面よりもデバイスで会話すると答えました。

このほか、関係性のステージによってまったく異なる結果が得られました。同居中のカップルでオンラインでの会話が多いと答えたのは4分の1をやや上回る程度で(27%)、結婚しているカップルの結果と近いことが分かりました(30%)。同居していないが交際中としたカップルの場合、この数字は52%に上がりました。

離れているときに連絡を取りやすくするための手段として、オンラインのツールが役立っていることは明らかです。82%の人は、常時連絡をとるための手段をツールに頼っていると回答しています。オンラインコミュニケーションの使い勝手の良さは、多くのカップルにプラスの影響を与えており、62%はデバイスやインターネットでやり取りできるので相手をより近く感じると回答しています(この数字は男性同士のカップルと、交際を始めて9年未満のカップルでは上昇します)。

このことから、デバイスやSNSなどのオンラインアカウントの共有は、関係性が発展していく上で必然のステップと言えます。それだけでなく、さらに関係を深めるのに役立つこともあります。事実、調査に回答したカップルのは、何らかのデバイスを共有していると回答しました。オンラインアカウントの共有については、77%が何らかのアカウントを共有していると認め、一緒に過ごした時間が長いカップルほどデバイスやアカウントを共有する意思があることが分かりました。

第2章:ネット常識レベルの差が懸念を生む

デジタル生活の共有を巡る最初の興奮が去ったあと、ジョンは、どこまで共有するべきか、自分が弱い立場におかれるのではないか、と不安を感じ始めます。

多くの場合、警報が鳴り始める(はず)なのがこの段階です。これまでは、オンラインでの自分の行く末や個人情報のセキュリティは自分で管理できましたが、今や、オンラインに残る行動の跡を守る責任はパートナーと共有され、パートナーに翻弄されるようになりました。

「ネット常識」のレベル差は懸念を生む原因であり、すべてを共有する関係性に大きな影響を与える、具体的には、双方のオンラインリスクや脆弱性を高める可能性があります。回答者の半数以上(57%)はパートナーよりもコンピューターに詳しいと回答し、詳しいと回答した10人のうち9人(94%)はいつも相手からの技術的な質問に対応しているとしました。しかし、こうした対応が必ずしも受け入れられる、または求められているわけではなく、パートナーよりもコンピューターやサイバー事情に詳しくないと回答した人のうち、ほぼ3分の1(31%)の人は、オンライン上で何か問題が発生したときにパートナーに助けを求めないと答えています(男性の場合は43%で、女性の28%よりも多い傾向にあります)。

その結果、コンピューターやサイバー事情に詳しくないパートナーがいる人の約半数(45%)は、相手の意識の低さからサイバー脅威に対して不安を感じており、4分の1以上(28%)はそんな相手とデバイスやオンラインアカウントを共有するようになってから問題が増えたと明かします。

知識不足、リスクのあるふるまい、そして安全性の低い行動は、両者を危うい状況に陥れる可能性をはらんでいます。デバイスやアカウントを保護する最終防衛ラインであるパスワードについても、回答者の約3分の2(62%)の人が複数アカウントで同一パスワードを使用しており、パートナーとデバイスを共有している人のうち34% は公共の場にデバイスを置いたままにしたことがあると認めています。興味深いことに、カップルの2人ともがコンピューターやサイバー事情に詳しい場合や、どちらもあまり詳しくない場合でも、オンラインで安全性の低い行動をとることがあり、愛する相手をリスクに晒す結果となっています。  

第3章:ジョンとエイミー、次第に用心が足りなくなる

 

デバイスやオンラインアカウントが秘密のデータや個人データで溢れかえっていることを考えれば、個人情報のセキュリティに関する不安には十分な根拠があります。コンピューターやサイバー事情の知識不足、不十分なセキュリティ対策、他人に自分のデバイスやアカウントを使わせる行為は、パートナー(やその他の人)の行動によって個人がリスクに晒される可能性を高めます。特に2人の関係の中でデジタル上のプライバシーが希薄になったとき、リスクは深刻化します。パートナーとの関係におけるデジタルプライバシー問題については、以前のレポート(パートナーとの関係性とデジタルプライバシーに関するグローバル調査)をご覧ください。

ジョンは業務でも個人デバイスを使用しており、これらのデバイスに多くの情報を保存しています。エイミーも、保存されたこれらの情報にアクセスできます。しかも、毎週オンラインで買い物をするので、2人は銀行口座のカード番号をデバイス上に保存して共有し、その他のオンラインアカウントの情報も、忘れてしまわないようにデバイスに保存しています。

こうした行動は、彼らばかりではありません。回答者の半数以上(58%)は、自分のデバイスまたはパートナーと共有しているデバイス/アカウントに仕事関連のデータを保存していると回答。46%はパートナーと共有しているアカウントのアクセス関連情報を同じように保存していると答え、PINなど金融情報を同じように保存している人も同様の割合でした。

パートナーと共有するデバイスやアカウントにこれだけ多くの重要な情報が保存されていることを考えると、軽はずみな行動は、2人の関係やデバイス上/オンラインに保存されたデータのセキュリティに致命的な影響を与える可能性があります。回答者の3分の1(36%)は、うっかりデータを削除したために関係が悪化したと回答。30%はデバイスを壊してしまったと回答し、約4分の1(27%)は紛失したことがあると答えています。加えて、自分またはパートナーの所有するデバイスやアカウントに仕事関連のデータを保存しているカップルの72%は、公共の場にデバイスを置きっ放しにしたことがあるとしています。

驚くことに、パートナーとデバイスを共有しているカップルの32%が、知らない人から届いたメッセージ内のリンクをクリックしたことがあると回答。同34%は公共の場でデバイスから目を離したことがあり、44%は知らないWebサイトからファイルをダウンロードしたことがあり、62%は複数アカウントで同一パスワードを使用していると答えました。こうした安全性の低いふるまいは、互いにとって非常に深刻な被害をもたらす可能性があります。

コンピューター/サイバー事情の知識不足でうっかりデバイスをマルウェア感染させてしまった人は、4分の1(24%)でした。また、16%はうっかりミスまたはマルウェアが原因でお金を失ったことがあると回答しています。

第4章:「ジェイミー」の世界に陰りが生じ始める

関係性の中でのデバイス依存がオンライン上の生活に悪循環をもたらす可能性、影響を与える可能性があることを見てきました。それに留まらず、デバイス依存はデバイスやデータのレベルを超えた結果を招くこともあります。カップルの関係を深めるだけでなく(パートナーと何らかのアカウントを共有している人のうちは、オンラインでのアクティビティを共有するようになってから関係が深まったと回答)、さまざまな原因による口論を呼んで2人を引き離すこともあります。

回答者の約半数(55%)は、相手がデバイスをいじっている時間が長すぎることで喧嘩したことがあると明かしました。興味深いことに、この割合は男性同士だと72%に上昇し、オンラインでのアクティビティを共有していると回答したカップルの66%は関係が改善したとしています。さらに、デバイスの長時間使用に関する口論は、同居しているカップル(58%)の方が、交際はしていても同居していないカップル(49%)よりも多い結果となりました。こうした結果から、一緒に過ごしているときにパートナーの目が常に自分に向いていないと不満を感じる人が多いことが分かります。

この傾向は、特に関係性がぎくしゃくしているカップルに顕著です。本レポートでは、交際相手との関係についての質問に対する「良好な関係で満足している」「素晴らしい関係で幸せだと感じている」との回答を「良好な関係」に分類し、「良い関係だがもっと良くできるはず」「安定しているとは言えず、今後は未定」の回答を「上手くいっていない関係」と分類しています。上手くいっていないとした人の65% が、パートナーが長時間デバイスを使いすぎることで口論に至っているのに対し、良好な関係にあるとした人で同様の不満を感じているのは50%でした。

もっとも、パートナー間で問題となるのはデバイスの長時間使用ばかりではありません。食事時の使用や対面で会話しているときのデバイス使用も、51%は許されない行為としています。

また、45%はどちらかがデバイスの充電を忘れたことで喧嘩になり、3分の1近く(30%)がデバイスにダメージを与えたことで口論したことがあると回答。デバイスにアクセスできなくなる、またはダメージがあったことが原因で喧嘩するのはよくあることだということを示しています。

また、デバイス上で行ったことでパートナーを怒らせ、関係性にひびが入ることもあります。

たとえば、回答者の45%はオンラインコミュニケーションでパートナーと喧嘩になったことがあるとしており、原因はメッセージ内での言葉や画像の解釈でした。さらに、41%はパートナーが嫉妬心を抱く相手とオンラインでやり取りしたことが原因で口論になったとしています。ジョンとエイミーにとっては、大いに心当たりのある話です! 残念ながら、ジョンとエイミー以上に同性カップルにとってこの問題は深刻で、67%の男性カップルと52%の女性カップルはパートナーが嫉妬心を抱く相手とオンライン上でやり取りした際に口論になったことを認めています。

まとめ:2人のデジタル王国を築くために

ほとんどの生活をオンラインで行うカップルにとって、デバイスやアカウントの共有は当然の行為です。しかし、そのことによってリスクや脆弱性を招き入れることになるのも事実で、2人で責任を共有しながら対策することが求められます。

ジョンとエイミーは、オフラインとオンラインでの生活の共有や、うまく調和させる方法を模索中です。どこまで共有するかはカップルによって判断が異なりますが、どこまで共有するにせよ、デジタルの生活を共有するのであれば、セキュリティ対策も共有する必要があります。

住居を構えるのと同じように、共有するデジタル王国の基盤をしっかり固めることで、ジョンとエイミーはそれぞれのデジタル上の生活やオフラインでの関係性を管理できるようになることでしょう。

この目標の達成には、次の項目が役立つことと思います。

  • 継続を念頭に始めること。デバイスの使い方の基本ルールは、真っ先に決めることが重要です。デバイスの使用時間や使い方について、お互いの不安を話し合いましょう。特に、デバイスやアカウントを共有する際に大切です。長時間または不適切な使い方で関係性を悪化させないよう心がけましょう。
  • 助けを求めるのをためらわないこと。または、パートナーが困っていたら手を差し伸べてください。コンピューターやサイバー事情について詳しいと自負するのであれば、技術的な問題が発生したときにパートナーが助けを求めやすいようにしましょう。そして、オンラインの脅威や安全なデバイスの使い方に詳しくない人は、自分で解決しようとしないでください。インターネットを安全に利用できるかどうかは、2人次第です。
  • 義務と責任を共有すること。デバイスまたはオンラインアカウント、もしくは両方を共有するのであれば、セキュリティのルールを設定して2人で守るようにしましょう。手始めに、すべてのオンラインアカウントに強固なパスワードを設定し、かつアカウントごとに別のパスワードを設定すること、アカウント情報を入力する前にWebサイトのアドレスを確認すること、安全なWi-Fiネットワークにのみ接続するか、VPNを使ってトラフィックを保護すること、見知らぬWebサイトからファイルをダウンロードしないこと、怪しいリンクはクリックしないこと、をルールにしてみてください。
  • テクノロジーの力を借りること。個人情報が悪い人の手に渡らないように、またマルウェア感染しないために、セキュリティ製品を活用しましょう。カスペルスキー セキュリティなど、多機能でマルチデバイス対応のセキュリティ製品は、2人のデジタル王国を守ってくれます。さらに、マイ カスペルスキーのアカウントからは1つのコンソールですべてを管理でき、よりサイバー事情に詳しいパートナーに保護を任せることができます。

これら製品の詳細や、あなた個人パートナーと共有するデジタル王国の守り方について、詳しくはKaspersky LabのWebサイトをご覧ください。