プライバシーと安全を守りながらマッチングアプリを利用する方法

マッチングアプリを安全に、そしてプライバシーを守りながら利用するためのヒントを解説します。

世の中のデジタル化が進んで20〜30年になりますが、2020年にはそのペースがいっそう速まりました。2021年もその傾向が続きそうです。オンラインでの出会いが大きな存在感を示しているのも、不思議ではありません。Tinder、Bumble、OKCupid、Zooskなどのマッチングアプリの登録者数は増え続けています(英語)。

誰かと関係を築くときには、相手にたくさんの情報を共有します。Tinderのようなマッチングアプリを利用する人たちは、まさに、自分自身に関する数々の情報を投稿しています。その一方、マッチングサービスの利用者の中に詐欺師やボットが紛れ込んでいるのも事実です。あなたが自分について多くを語るほど、悪意を持った人々は目的を遂げやすくなります。

今回は、安全とプライバシーを守りつつ、望むような相手と出会うチャンスを狭めることなくマッチングアプリを利用するためのヒントをお話ししたいと思います。

安全でプライバシーを維持できるようなTinderプロフィールの設定方法

この記事では、代表的なアプリとしてTinderを取り上げて説明します(他のアプリにもおおむね当てはまるので、参考にしてください)。Tinderの場合、プロフィールには3つの項目しかありません。

  • 写真:自分が写った本物の写真を使いましょう。ただし、住所や勤務先のような不必要な個人情報が分かってしまう写真は避けてください。旅行のときや有名スポットに行ったときに撮ったもので、個人情報が含まれず、他の人が写っていない写真を選びましょう。投稿した写真からSNSのプロフィールを探す人が出てくる可能性を考えて、別のところで使っていない写真を選ぶのがお勧めです。また、SNSアカウントのセキュリティとプライバシーを正しく設定することもお忘れなく。
  • 名前:ハンドル名を使う場合でも実名を使う場合でも、フルネームを入れないようにしましょう。ただ、ニックネームを使うと混乱が生じることがあるかもしれません。
  • 興味のあること:お付き合いの相手を探すなら、2つか3つは書いておきましょう。あなたがどんな趣味を持っていて、どんなことに興味を持っているのかは、交際相手となるかもしれない人にとって重要な判断基準かもしれませんから。

避けるべきこと

マッチングアプリを使用していて、罠に遭遇する可能性もあります。そこで、以下のような行動は避けましょう。

  • マッチングアプリとInstagram(またはその他SNS)のアカウントを連携させない。連携させると、マッチングアプリのプロフィールから分かる以上の個人情報が他人に知られることになり、こういった情報が悪用される可能性があるためです。すでにInstagramでプライバシーとセキュリティの設定をしてあったとしても、アカウントの連携にはメリットよりもリスクの方が大きいのです。
  • 電話番号やメッセンジャーアプリのハンドル名は共有しない。マッチングアプリの使用に関しては、アプリに備わっているメッセンジャー機能を使ってやりとりすることが強く推奨されています。チャットの相手が確かに信頼できる人だと思えるようになるまでは、そうするのが良策です。別のメッセンジャーアプリに移行する段階になったら、個人情報の安全を守れるように、そのメッセンジャーアプリを適切に設定しましょう。

Tinderで安全にやりとりをする方法

マッチする相手が見つかったら、早速チャットを始めることになるかもしれません。でも、いきなり自分のことを何でもかんでも話してしまわないでください。そのせいで気まずくなることがあるから、という理由だけではありません。相手に伝えた情報が、相手以外にも知られることになるかもしれないからです。マッチング相手に何かを伝える前に、今から言うことが世間一般に知られたら自分はどう感じるだろうかと考えてみてください。いい気分にはならないなと思ったら、今のところは言わないでおきましょう。

それから、知らない人とやりとりをしているのだということを忘れないようにしましょう。これから一生大事にしたい相手になるかもしれませんが、今のところはまだ、どんな関係になるか分かりません。そんなわけで、ドキシングつきまといに遭遇する可能性も心にとめておく必要があります。こういったものは、不適切な相手の元に個人情報が渡ったことがきっかけで始まったりするものです。やはり、いきなり初めのうちからプライベートなことを話すのは避けましょう。

やりとりをしている相手は、メッセージからうかがえるとおり親切で理解のある人なのかもしれませんが、仮面をかぶった詐欺師である可能性もあります。一般的に詐欺師は、相手との信頼関係を築いた上で、(突然必要になった)お金や情報の提供を求めるものです。やりとりの中でお金やプレゼントを要求されたら、これは大きな赤信号です。自分に会いに来るために必要な少しばかりの交通費であろうと、相手の命がかかった多額の身代金であろうと、理由は何であれ、お金を要求されたときはやりとりを打ち切りましょう。相手が本当のことを言っている可能性は、あったとしてもわずかです。

相手をだまして個人情報を引き出そうとする詐欺師もいます。マッチング相手が何かのアプリをスマートフォンにインストールするように言ってきたり、どこかのWebサイトにアクセスしてほしいと言ってきたりしたら、または、例えば好きだった先生の名前や最初に飼ったペットのことを聞いてきたら、警戒しましょう。好きだった先生の名前や最初に飼ったペットの情報は、WebサービスやSNSアカウントのセキュリティ質問(秘密の質問)の答えに使われる典型的な情報です。インストールするように言われたアプリは、悪意あるアプリかもしれません。アクセスするように言われたWebサイトは、あなたが使っている何かのサービスのアカウントへのログイン情報を盗むフィッシングサイトかもしれません。手に入れた情報を使い、詐欺師があなたのアカウントにアクセスしてお金を盗んだりあなたになりすましたりする可能性があります。

安全のためには、ネット上で用心深くふるまうことはもちろんですが、Webサイトや新しいアプリに怪しいところがないか自動的にチェックするセキュリティ製品を使用することも重要です。

マッチングサービスで遭遇する可能性があるものとして、詐欺師のほかにボットがあります。詐欺師と同じく、ボットの目的も相手をうまくだましてお金や情報を差し出させることです。ただし、詐欺師がアカウントを運用している場合とは違って、ボットのアカウントは自動化されています。チャットをしていて何か変だなと感じるとき、相手の返信がこちらの質問とかみ合わないときには、相手がボットだと考えて一切返信しないようにするのが無難です。

見えないようにする

Tinderほかマッチングアプリのほとんどでは、一定のあいだ利用されていないユーザーのプロフィールは自動的に表示されないようになります。ただ、自分で非表示に設定した方がよいでしょう。付き合い始めた相手にまだアプリを使っていると誤解されないように、というのも一つの理由ですが、別の理由からもプロフィールの非公開をお勧めします。プロフィールは自分のことを知ってもらうための情報源なので、公開しておく必要がなくなった以上、他人から見られないようにした方がセキュリティ上好ましいからです。

マッチングには、多くの人と知り合う段階、新しい相手と出会った段階、相手と関係を深める段階など、さまざまな段階があります。その都度、自分が気に入った相手にだけ自分のプロフィールが見えるようにするのも一案です。プロフィールが表示される範囲を狭めることで、自分の情報が不適切な人の手に渡る可能性を抑えることができます。

以上、マッチングアプリを使うときのプライバシーの基本をお届けしました。このほか、出会い支援サービスでよくある詐欺の手口についての記事も読んでみてください。すてきな出会いがありますように!

ヒント