ネット恋愛のリスク:デート相手は詐欺師かも

2017年2月20日

インターネットが出会いの場になる前は、さまざまな場所に出向いて交友を広げたり新しい人と知り合ったりしたものです。バーやパブ、クラブ、パーティー、結婚式、図書館までもが出会いの場でした。初対面の相手に歩み寄って自己紹介をするには、体力と気力が必要でした。

今では、出会い系のWebサイトやアプリが登場し、その気になれば外国からでも相手(この場合は結婚相手)を簡単に見つけられるようになりました。まずは写真を見てプロフィールを読み、自分の好みかどうかを判断できます。

出会い系サイトでは、データベースに登録されている何百万人もの会員を、コンピューターやサーバーがさまざまな条件でふるいにかけて、自分にぴったりの相手を見つけてくれます。あるいは近くに住んでいる会員のプロフィールをスマートフォンで次々と見ていき、Google検索した文章をコピーしてお誘いメールを送ることもできるので、相手に面と向かって何と言おうかと思い悩む手間が省けます。

ネット上では犬でもばれない

出会い系サイトでプロフィールをいくつか見て、会ってもいいかもと思える素敵な女性を見つけたとしましょう。メッセージを送ると、返事がありました。彼女もあなたのことを知りたい、あなたとお話したい、と言うではありませんか!

とはいえ、感じのいい女性と見せかけておいて、実は相手は男性かもしれませんし、あなたの電話番号を聞き出して詐欺を働こうとしているサイバー犯罪者かもしれません。

2016年に、スモレンスクに住む2人の男がロシア警察に逮捕されました。若くて魅力的な女性を装ってモスクワの男性のハートを射止め、その後多額の金を送金するよう脅した疑いです。この手口で騙し取ったのは約100万ルーブル(約1万6,500ドル相当)に及んだことが判明しました。

こういう話を聞くと、男性の方が騙されやすいように思うかもしれませんが、実際には、女性がネット恋愛でお金を騙し取られたケースも数多くあります。もっとも、全体像はわかりません。被害者の多くが(特に既婚者の場合は)何も語らないからです。

また、それ以外の詐欺行為もあります。たとえば、出会い系サイトの従業員が架空アカウントを作成して、女性会員の登録数を実際より多く見せようとするケース。さらに、ボットを使って新規登録者をチャットに誘い、会話を続けたければ料金を支払うよう促すサイトもあります。

罠に釣られる可能性は誰にでもあります。英国レスター大学の心理学者、モニカ・ホウィッティ(Monica Whitty)氏は次のように説明しています。「弱い人だけが被害者になるわけではありません。良い仕事に就いていて、極めて高い知性の持ち主であっても、被害者になる可能性があります。詐欺師の戦略は非常に洗練されています」

サイバー心理学を専門とするホウィッティ氏は、これまで恋愛詐欺の被害者に数多く接してきました。同氏によると、被害者は自分の落ち度を責め、友人や家族からも責められるという二重のプレッシャーに苛まれます。「普通、犯罪の被害者には、同情や支援の気持ちが寄せられるものです。ところが、ネット詐欺の被害者は友人や家族から非難され、『そんなものに騙されるなんて、どうかしていたんじゃないの?』という反応が返ってくるのです」

バレンタインデー

バレンタインデーの日、(形はデジタルでも)慣習にならって送り主の名前を伏せたメッセージカードを受け取った人も多いでしょう。たいてい、送り主が誰かは天才でなくともわかるものですが、時には誰からなのか、本当にわからないこともあります。そのような場合に好奇心をそそられるのは自然な反応ですが、警戒を怠らないでください。オンラインカードを受け取った結果、愛の告白どころか、マルウェアに感染するか、お金を騙し取られるか、またはその両方に巻き込まれるかもしれません。

もちろん、カスペルスキー セキュリティのような信頼できるインターネットセキュリティ製品をインストールすれば、マルウェアや悪意あるリンクから身を守ることはできますが、残念ながら失恋防止にはなりません。

そこで今回は、失恋の痛手や詐欺の被害から身を守るため、よくある詐欺の手口と対策をいくつか紹介します。

手口:共通の知人つながり

知らない相手がソーシャルサイトを通じて連絡してきて、共通の趣味があるとか、共通の知人がいる(結婚式や大勢の人が集まる場で紹介された、など)とか言ってきます。あなたがサイトに写真をたくさん投稿していて、プライバシー設定を変更していなければ、サイバー犯罪者がどうやってあなたに近づくのがベストか目星をつけるのは簡単です。

対策:このような連絡を受けたら、本当は新しい知り合いが欲しくても、その人を無視して友だちに追加しないでください。また、プライバシー設定を変更して、自分の投稿した写真や記事を実際の知り合いだけが見られるように設定しましょう。

手口:プライベートな動画

恥ずかしいという気持ちにつけ込むのは、今でも確実なゆすりの手口です。よくあるのは、遠距離ネット恋愛を始めたばかりの人が標的になるケースです。熱烈なアプローチで口説き落とした後、詐欺師はWebカメラとチャットで話すことを相手に持ちかけます。詐欺師の方のWebカメラはなぜか故障していて使えないのですが、詐欺師は相手を褒めちぎり、お世辞を交えながら、服を脱ぐなど、きわどい行為をするよう繰り返し説得します。その後で詐欺師は正体を明かします。動画を録画したと言い、金を送ってこなければソーシャルメディアの共通の友だちにシェアする、ネットに投稿するなどと脅します。相手が脅迫に応じると、同じことが繰り返され、被害者が拒否するまで要求はエスカレートしていきます。

対策:Webカメラを使うという話になったら、どのような要求であれすべて拒否しましょう。本当の恋愛なら、直接会うときまで待てるはずです。

手口:名ばかりの出会い系サイト

Ashley Madisonのデータ流出事件を覚えていますか?名ばかりの出会い系サイトの世界がどのようなものか、垣間見えた事件でした。まっとうな出会いの場とうたっていながら、実際には会員が極端に少ないか、詐欺師やボットだらけのサイトがあります。

対策:登録時のアンケートで、個人的なことはさほど質問されないのに、金融情報は詳しく聞いてくるサイトがあったら警戒しましょう。プロフィールを作成して、すぐに誘いが殺到するサイトも怪しいと思ってください。プロフィールにほんの数行書いただけで、写真も載せていなければ、好みも設定していないのに、交際候補から次々とメッセージが届いたら、偽の出会い系サイトの可能性が高いでしょう。

詐欺警告サイン

本物の出会い系サイトであっても、警戒すべき点があります。どこにでも詐欺師はいますから。たとえば次の場合に注意しましょう。

誤字や文法の間違い

相手が母国語でチャットしているはずなのに、スペルや文法が間違いだらけのときは警戒すべきです。ネットで出会いを求めている人が皆、文才に恵まれているわけではないですし、母国語以外でチャットする人がいてもまったく問題ありません。とはいえ、詐欺師が新しい犠牲者を求めてネットで国境を超えてくることはよくあるため、とんでもない文法ミスは赤信号と考えましょう。メールの文章も同じです。人が母語で話したり書いたりするときの自然なリズムは、そう簡単には真似されません。文の調子やスピードに「なんとなく違和感がある」ときは疑いましょう。

コピペの文章

メッセージやプロフィールがあまりにもできすぎているときは注意しましょう。多くの場合、詐欺師はわざわざ自前の文章を書かず、別のWebサイトや出会い系プロフィールから借用します。できすぎで怪しい文章はネットで検索し、マッチする文章が見つかるかどうか確認します。見つかった場合、そのような詐欺師とはメッセージのやりとりをしないことです。

不審なリンク

正規の会員は、お気に入りのミュージシャン、旅行先、趣味などへのリンクを掲載することが多々あります。詐欺師がよくやるのは、商品の売り込みや、「一獲千金」方法を教えるなどの質の低いサイトへのリンクをプロフィール欄に貼り付けることです。アダルトサイトへのリンクが張られているケースもあります。これは、明らかに怪しいプロフィールであることを示すサインです。

急接近に注意

新しい恋愛が始まったばかりの数週間はテンションが上がりますが、詐欺師はこの期間に褒め言葉や優しい言葉を浴びせるだけでなく、「誰にも教えたことがない」という自分の秘密を打ち明け、事を急ごうとします。それ以上に厄介なのは、たった数回チャットやメールのやり取りをしただけなのに、謎の費用を賄うために少額の援助を求めてくる場合です。外国で足止めを食らってしまった、家族が重い病気で苦しんでいる、強盗に遭った、などを口実にして。事情はどうあれ、できるだけ早く送金して欲しいと頼んできます。一度でもお金の話が出たら、関係を絶ちましょう。

安全な出会いを

要するに、ネット恋愛もインターネットの世界の一部ということです。ネット上の至るところに、同じような危険が潜んでいます。出会い系サイトでは、傷つきやすい人を専門に狙う輩がたまたま表に出ただけです。ソーシャルメディアやショッピングサイト、ニュースサイトを使わないことが解決策でないように、出会い系サイトを利用しないことが解決にはなりません。それよりも、最新情報をチェックして警戒を怠らず、安全かつ安心してインターネットを利用することが重要です。