未来の自動車:フランクフルトモーターショー

2017年10月13日

将来、どのような車が登場するか見てみたいなら、フランクフルトモーターショー(Internationale Automobil-Ausstellung:IAA)に行くのが一番でしょう。世界最大の自動車展示会であり、ドイツ自動車製造業界でも最も重要な展示会です。

Aspark Owl — 世界最高速の自動車?

「アスパーク アウル」なんて初めて聞いたという方、それは当然です。フランクフルトモーターショー以前には、そのクリエイターたち以外は誰もこのスーパーカーの存在を知りませんでしたから、そのデビューは驚きをもって迎えられました(英語記事)。

Aspark Owl:わずか2秒で時速0kmから100kmに

Owlの設計チームによると、バッテリーとスーパーキャパシターを組み合わせ、100%電気で動くこのスーパーカーは現在、世界一速い自動車で、時速0kmから100kmにはわずか2秒で到達するそうです。これはUltima Evolution Coupe、Dodge Challenger SRT Demon、Tesla Model S P100Dが持つこれまでの記録を数十分の1秒、上回っています。

車体はすべてカーボンファイバーで作られており、その重量はわずか50kg。総重量は850kgで、Lamborghini Aventadorの半分です。

Aspark Owlの車高はわずか99cm

最高速度は時速280kmと、スーパーカーにしては遅い方ですが、電気自動車としてはかなり高速です。最も速いTeslaでさえ時速250kmですから。しかし、Aspark Owlの航続距離はあまり芳しくなく、150kmしかありません。フランクフルトのAsparkブースでは先行予約を受け付けていましたが、Owlの価格や発売時期はまだ発表されていませんでした。

Audi A8:初のレベル3自動運転車

フランクフルトモーターショー2017で、Audi社は新しい主力セダン、A8を披露しました。非常に高度な自動運転機能を搭載したこのセダンは、世界初の量産型自動運転車で、従来のカメラとソナーに加えて、ライダーを使用しています。さらに、Audi社によると、A8は、SAE(Society of Automotive Engineers)規格(英語記事)に準拠した史上初のSAEレベル3自動運転車だそうです。

新しいAudi A8。市場で最も進化した自動運転技術を搭載

つまり、ある条件を満たせば(この場合は時速60km以下で走行中)、ドライバーは運転を自動車に任せて、映画を見る、メールを書くなど、他のことに注意を向けていられます。これまで、最高の自動運転技術を搭載していた車はTesla車と言われていましたが、それでもレベル2で、ドライバーは常に道路に注意を払い、いつでも運転を替われるようにしておく必要がありました。

シフトレバーのすぐ前に自動運転ボタンのあるAudi A8

Audi A8の高度な自動運転技術をサポートしているのはNVIDIAです(英語記事)。A8に搭載されたNVIDIAプロセッサは合計6個で、ダッシュボード、エンターテインメントシステム、ナビゲーションなどをつかさどっています。

Qualcomm Halo:ワイヤレス給電

実を言うと、ワイヤレス給電は長い間、Qualcomm社のポートフォリオに入っていました。同社は来年、このソリューションがプロトタイプやコンセプトを脱し、量産車で使用されると期待しています。現時点では、ドイツの大手自動車会社2社が2018年にこのテクノロジーを自動車に装備することを明言しています。BMWは、コネクテッドハイブリッドカー530eへのワイヤレス給電の導入を計画し、Daimlerは主力ハイブリッド車Mercedes S560eへの搭載を約束しています。

Qualcommはさらに、自動車が走行中、それも高速道路を走る速度でバッテリーをチャージできる自動車用次世代ワイヤレス給電技術の開発にすでに取り組んでいます。

この技術は、欧州委員会がスポンサーを務めるFABRICプロジェクトの一環としてすでにテストが進められ、このプロジェクトでは、給電器の組み込まれた高速道路建設の可能性を調査しています。これにより出先でもバッテリーの充電が可能になり、限られたバッテリー容量への1つの対策となります。

自動駐車機能:ValeoCiscoのコラボレーション

どうやら、ドライバーからのインプットをまったく必要としない完全な自動運転車が到来するまでには、まだ少し時間がかかりそうです。人工知能はまだミスが多すぎますし、認識アルゴリズムが正しく機能していることを保証できる道路インフラはまだ存在しません。また、倫理的なジレンマ(「トロッコ問題」を参照)や、法律的なあれこれをどう解決するかもまだ明らかではありません。一部地域での過酷な気候も事態を複雑にします。冬の間は、路面や路傍の交通標識はいうまでもなく、道路と歩道の区別すらできません。このような問題はいずれ徐々に解決されるでしょうが、それには時間がかかります。

しかし、自動運転はすでに駐車場で重宝されています。ここで言っているのは、立体駐車場のこと。立体駐車場では、空いている場所を探してぐるぐる走り回らなければならず、かなりの時間が無駄になります。

このような施設の制限速度は必要最低限に設定されていますし、駐車スペースは均等に割りふられています。人が歩いていることはほとんどありません。つまり、不完全な自動運転機能でも使用できる条件がすべて整っているのです。コンピューターは、高速でルートを生成する能力を発揮して、コントロールセンターと連絡を取り合い、空いている駐車スペースを見つけることができます。

かなり近い将来、入口に車を残し、あとはお任せで仕事に行けるようなスマート駐車場が登場するでしょう。この件については、Ciscoと自動車部品メーカーValeoのコラボレーションに期待できます。この提携の一環として、Valeoは自動車の自動運転機能を開発し、Ciscoは小規模な立体駐車場に向けて、通信、ビデオ監視システム、制御室などのインフラストラクチャを提供します。

Amazon Alexaを搭載したSEATBMW

理想的には、運転中のドライバーの目は常に道路を見ているべきです。したがって、音声インターフェイスが(たとえば、電話をかける、ラジオ局を切り替えるなどのための)単なるオマケではなく、本当に便利で、必要不可欠な機能といえるのは、おそらく自動車だけでしょう。しかし、十分に機能する音声インターフェイスの開発に成功しているところはほとんどなく、現時点で成功を収めているのはわずか4社、Amazon、Apple、Google、Microsoftだけです。おそらく、これら4社のいずれかとパートナーを結ぶのが理想的な解決策でしょう。

まさにこれが、Volkswagen AGのしたことです。Amazonのパートナーとなったドイツのこの大手自動車会社がまず選んだのは若者向けのブランド、SEATでした。

今年中に、AmazonのAlexaを搭載したLeonsとAtecasが登場します。その後、この機能はIAA 2017で初お目見えしたIbizaハッチバックとコンパクトクロスオーバーAronaに搭載されます。前述の4社は、音声アシスタントソフトウェアを車内での使用に最適化することを約束しています。

BMWも、同社製品にAlexaを設置する意向を発表し、2018年下期にはBMWとMINIのすべての車種にAmazonの音声アシスタンスのサポートを追加すると約束しました(英語記事)。

残念ながら、Alexがまだ英語とドイツ語しかマスターしていないため、その他の言語ではまだ、この音声アシスタントは使用できません。

未来の自動車の車載ネットワーク

車載ネットワークは実に複雑に入り組んでいます。これはユーザーの目に見えるものではありません。ネットワーク自体と、それに接続されている電機部品の大半は、人間の目からできるだけ隠されるべきものだからです。EDAGのブースを訪問した人たちは、このネットワークがどういうものかをその内部から見ることができました。

これが現在の車載ネットワークです

現時点では、1台の自動車に搭載されているケーブルの総重量だけでも約50kgに達します。自動車に搭載される電子機器が増えれば増えるほど、必要な接続の数も増えていくので、さらに重くなるでしょう。自動車の車載ネットワークの配線量を減らし、全体的に整理する方法を考え始める時期はとうの昔に来ています。

EDAGは、自動車を複数のゾーンに分割し、それぞれに独自の電子コントローラーを設置して、ゾーン内の機器をそのゾーンのコントローラーに接続するという新しいアプローチを提案しています。これらのゾーンは、車内での使用に適合した軽くて速い特別なイーサネットで接続されます。また、コンポーネントは、CANバスの安価な(しかし、それほど高速ではない)代替手段として開発された(そして、すでに実用化されている)LINバス(英語記事)経由でゾーンのコントローラーに接続されます。

EDAGによると、将来、車載ネットワークはこのようになるとのこと

やや先になりますが、車載ネットワークは多少すっきりし、より一元化が進むでしょう。自動車の左および右側のゾーンコントローラーに接続された2台の中央車載コンピューターが、システムをコントロールします。また、これらの中央車載コンピューター同士は、ギガビットチャネルで接続されます。

サイバー脅威から自動車を保護する

代の自動車は、ネットワークに接続された100個以上の電子機器を搭載しています。基本的には、中小規模の事務所と同程度のデバイスを載せた車輪付きのネットワークです。また、最近は、インターネットに接続できる車も数多くあります。近い将来、激安モデルを除き、インターネットに接続できない自動車がなくなることはほぼ確実でしょう。

フランクフルトモーターショーでは、他のどの言葉よりも「コネクテッド」や「コネクティビティ」という言葉を頻繁に耳にしましたが、残念ながら「セキュリティ」という言葉はほとんど聞こえてきませんでした。自動車業界で、サイバーセキュリティに言及している企業はあまりにも少なすぎました

車載ネットワークとオフィスネットワークは何が違うのでしょうか。まず、ネットワークを監視しているIT部門がありません。もちろん、自動車には、一般的なITセキュリティソリューションもありません。エンドポイントデバイスには、ファイアウォールやセキュリティソフトウェアがありますが。

数年前は理論に過ぎなかった自動車のハッキングは、現在、現実になっています。自動車のインターネット接続をハッキングするハッカーの例はいくつもありました(たとえば、例1例2例3例4例5例6例7例8例9例10…もちろん、これらの例がすべてではありません)。まだハッキングされていないメーカーやモデルがあるとすれば、それはおそらく、ハッカーがまだハッキングしようとしていないだけのことでしょう。

ここでの問題は、自動車インフラの設計に、最初からサイバーセキュリティが組み込まれていないことです。自動車メーカーは今のところ、考えられるサイバー脅威をすべて考慮し、サイバーインシデントを防ぐために必要なすべての手続きを設計プロセスに含めるために十分な経験を積んでいません。また、コンポーネント1つ1つのセキュリティはテストされますが、車載ネットワーク全体のテストは行われていません。

安全なコミュニケーションユニット — Kaspersky LabとAVLがパートナーに

このアプローチに変更が必要なのは明らかで、当社はITセキュリティにおける豊富な経験をすぐにでも分かち合う用意があります。そこで、Kaspersky Labは自動車産業機器の専門企業AVLと提携し、Secure Communication Unitを開発しました。このデバイスは、安全なKasperskyOSを使用して、コネクテッドカーとの間で行われるコミュニケーションすべてのセキュリティを促進します。

Kaspersky Labは、関心をお持ちのあらゆる企業とのパートナーシップを積極的に模索しています(英語サイト)。市場の関係者すべてが、自動車のセキュリティを真剣に考えるべき時が来ているのです。