有名Twitterアカウントがなりすましだった?SNSの投稿写真が危ない

なりすましの恐さがいまひとつピンとこないという人に、実際の例を紹介しましょう。自分の写真を勝手に使われて、挑発的でスキャンダラスなコンテンツを投稿されてしまった女性の話です。

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なりすましの被害に遭う恐ろしさはわかっているものの、人々は概して、ネット上での自分のID(アイデンティティ)を積極的に守ろうとしないものです。とはいえ、セキュリティ侵害や個人情報盗難が多々報じられるようになり、注意を払う人も徐々に増えてきました。今こそ現実を直視しましょう。デジタル時代を生きている以上、この種の犯罪は決して珍しくありません。現に最近の出来事は、この事実を裏付けるものばかりです。

先日、Twitterのある人気アカウントについてBuzzFeedが調査しました(英語記事)。アカウントの持ち主は自称「誇り高きクリスチャン、歌手、3児の母」であり、「ユマ・コンプトン(Uma Kompton)」と名乗っていました。ところがそのアカウントに投稿されていた写真はすべて、別の若いロシア人女性から盗まれたものだったことが判明しました。盗まれた写真は、「ユマ」のInstagramのプロフィールにも使われていました。

この「ユマ」と名乗る女性のSNSアカウントは、挑発的でスキャンダラスなコンテンツを投稿しています。ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏に捧げる歌として、非常にわいせつで「NSFW(職場での閲覧注意)」指定間違いなしの曲をSoundCloudにアップロードし、18,000人以上ものフォロワーを集めています。

また「ユマ」は、「性的に露骨」としか言いようがない挑発的な内容の投稿者としても知られており、さらに米国での暮らしや文化について「自身の」独自な視点からコメントしています。「ユマ」には「パートナー」がいて、パートナーの写真も時々投稿しています。

インターネットミームや悪趣味なユーモアを撒き散らす、よくある煽りアカウントの1つでしょ、と放っておくのは簡単ですし、煽りアカウントに対する反応としては普通です。しかしその姿勢は、このアカウントが実在の女性と実在の夫から盗まれた写真を使用しているという事実を追求せず放置することと同義です。

BuzzFeedの編集者は調査の過程で、「ユマ」のアカウントに投稿されている写真の中に重要なヒントが隠されていることに気付きました。キリル文字で書かれた案内表示が写っていることから、ロシア連邦内で撮影されたと思われる写真だったのです。編集者はロシアのSNSを調べ、実在するロシア人女性のVK.comアカウントを見つけ、その女性の写真が「ユマ・コンプトン」アカウントの作成に使われたことを突き止めました。

その女性の名前はナターリヤ。エフゲニーという名の夫がおり、2人ともモスクワ地域在住です。ナターリヤは歌手ではなく、2人ともユマ・コンプトンのことなど聞いたこともありません。たまたま何者かがこの夫婦の写真を盗むことにしたというだけです。

別人のVK.comアカウントから写真を盗んだことについて、BuzzFeedの編集者が「ユマ」にコメントと説明を求めたところ、「ミセス・コンプトン」は、この夫妻のこともVK.comというSNSのことも知らないと答えました。その後、自分のフォロワーたちに、自分についての報道は一切信じないようにと訴えるツイートを投稿しました。

この話を笑い話と捉える人も多いでしょうが、ナターリヤとエフゲニーにとっては笑うどころではありません。なんと言っても、2人はなりすましの被害者なのです。そのことを踏まえ、いつものことながら、当社の役割は適切なプライバシー設定の重要性を訴えることです。

自分のSNSページや家族写真を実際の友達だけに限定公開していれば、「コンプトン夫妻」のような人が勝手に使用することはできません。Kaspersky Daily(当ブログ)では、FacebookInstagramGoogle+のアカウントを保護する方法を紹介しています。今すぐチェックして、ネット上での自分の存在を守りましょう。

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