FindFaceに悪用の恐れ:身元を特定されたAV女優

2016年5月17日

サンクトペテルブルクの写真家エゴール・ツヴェトコフ(Egor Tsvetkov)氏は先ごろ、FindFaceというサービスを使った写真プロジェクトを発表しました(英語記事)。このWebサイトを公開したところ、図らずも野獣どもを目覚めさせてしまったようです。野獣は美女を襲うのが世の常。それでは、物語の始めからお話ししましょう。

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ちなみにFindFaceはロシア発のサービスで、SNSサイト「VK.com」のユーザーを、街中で撮った写真から探し出すことができます。初めは出会い系サービスとして宣伝されていましたが、現在は誰もが思い思いに利用しています。

たとえば、警察関係者はFindFaceを使って犯罪者の詳細情報を収集しています。ロシアの匿名フォーラムArhivachのユーザーは、嫌いな人物の身元を暴き、本人や周囲の人をいじめるという品のない趣味に興じています。

事件のあらまし

今回、ネット荒らしのターゲットとなったのは、ロシアのAV女優でした。米国の同業者とは異なり、ロシアのAV女優は自分の職業をSNSで公言しません。日常生活では普通の女の子として見られることを望んでいます。

そんなわけで、彼女たちの職業を知らない知り合いは大勢いるかもしれません。ネット荒らしは、彼女たちのもう1つの顔をさらけ出してやろうと考えました。彼女たちのセクシーな写真をFindFaceにアップロードし、VK.comのアカウントを探し始めたのです。

人物の特定に成功すると、ネットいじめの始まりです。荒らしは、アカウントの所有者である女性やそのアカウントとつながっている友達に、メッセージを送りつけました。女性本人には「AVで金を稼ぐとはけしからん」と言い、女性の知り合いには女性のアダルト写真をシェアしました。

Arhivachには専用のスレッドが立てられ、本人の写真とアダルト写真とを並べたものや調査結果が掲載されました(ロシア語記事)。さらに、この内容をVK.comのグループでシェアしましたが、このページについて数多くの報告が寄せられたため(ロシア語)、現在は削除されています。

結果的に、何人かの女性は自分のVKページとInstagramのアカウントを削除しました。公開されたスクリーンショットを見ると、女性はポルノ業界とのつながりを否定しており、この女性の友人も怒り心頭の様子がうかがえます。

なぜ問題なのか

ネットいじめは、かなり広まっています。荒らしにとって一番の趣味は、ネット上で誰かを匿名でいじめることです。ネット荒らしは、自分の行為を公正な裁きだと思う場合が多いようですが、この事件にはうわべだけではわからない問題が数多く隠されています。

FindFaceは、絶対に正確なわけではありません。当社社員の顔でテストしたところ、人物を特定できないこともあれば、間違いもしばしば見られました。FindFaceの検索結果には、関連性があると思われるアカウントが一覧表示されますが、必ずしも正しいわけではないのです。

ですから、AVやエロティックな企画で撮影されたことのない女性がいじめのターゲットになる可能性があります。この女性はAV女優の誰かに似ていただけなのです。

FindFaceの利用者は現在50万人を超えており、利用目的はそれぞれ異なります。なお、FindFaceを他のSNSと連携させる計画もあるようです(ロシア語記事)。この方向に進んでしまえば、ネット上のプライバシーは何もかも根本から変わってしまう可能性があります。

そうなると、問題は世界規模になります。FindFaceは、プライバシーという概念自体の消失へと向かう大きな一歩であり、アレクサンダー・エロフィーエフ(Alexander Erofeev)が言うところの「新しいバロック時代」への一歩です。

次は何が来る?

FindFaceは、ロシア企業N-Tech.Labが開発した技術に基づいて作られています。これらの技術は数々の大問題を解決しうるものですが、これらによって、私たちの私生活の一部は公のものとなってしまうでしょう。

マーケティングの専門家たちは、個別の提案、正確な統計情報の収集、割引用ポイントカードなどの廃止(顔認識システムと顧客の写真があればカードは不要)のための強力な広告ツールとしてFindFaceを活用したがっています(ロシア語記事)。

個別にカスタマイズされた提案は、それだけで顧客の関心を引きます。テレビCMの場合、テレビを消される可能性があります。ところが、誰かに名前で呼ばれ、最近Webで興味を抱いた商品を勧められると、なかなか無視することはできません。

FindFaceを作り上げた技術が、FindFaceと同じくらいのスピードで普及した場合、私たちは近いうちに個人向けの提案や割引サービスの波に溺れることになるでしょう。街中のデジタルサイネージ、ショッピングモールの液晶画面、電車の中、さらにはあなたのPCやスマートフォンなど、広告は至るところに表示されるかもしれません。

では、どうすれば身を守ることができるのでしょうか。

まずは、自分の写真を大量にオンラインで公開しないこと。自分のアカウントにアップロードする画像が少ないほど、顔認識の精度は下がります。今のところ、そういう仕組みです。

次に、SNSのプライバシー設定を確認すること。ネット荒らしが直接メッセージを送りつけてきたり、ウォールに投稿したりできないように制限をかけましょう。この対策は、迷惑広告の防止にもつながります。それ以外では、友達リストを非表示にしましょう。ネット荒らしは、あなたの知り合いという最も価値のあるところをまず狙うからです。

Kaspersky Daily(当ブログ)では、FacebookTwitterLinkedInInstagramのアカウントを守る方法について解説した記事を掲載しています。ぜひご一読ください。