「セクストーション」と呼ばれるものが、マスコミや警察の注目を集めています。名前が示すとおり、セクストーションとは一種の性的脅迫です。性的な素材(写真、動画、チャットの内容も)を手に入れて相手を脅迫し、お金を払わなければ素材を公開すると脅します。中には、恥ずかしい映像をさらに要求することもあり、被害者側が抜け出したくても抜け出せない悪循環に陥るケースもあります。
脅しのネタになる写真は、セキュリティの甘いアカウントをハッキングしたりデバイスをマルウェアに感染させたりして手に入れることもありますし、オンラインでのやりとりの中で恥ずかしい写真や動画、Webカメラの映像を送るようにと相手をそそのかして手に入れることもあります。
残念なことに、こうした悪質な行為は子どものオンラインセキュリティとも関係があります。米国Brookings Institutionのシニアフェローであるベンジャミン・ウィット(Benjamin Wittes)氏が78件の犯罪事件を調査したところ、3,000人の被害者のうち、実に78%が未成年だったことが判明しました(英語記事)。率直に言って、驚くような結果ではありません。子どもが2段階認証を使うことはほとんどなく、解読されやすいパスワードを作りがちですし、サイバーセキュリティに対する認識が不足している場合がほとんどです。そのうえ、ティーンエイジャーの間ではセクスティング(英語記事)、つまり性的なメッセージのやりとりが行われています。The National Campaign to Prevent Teen Pregnancy(未成年者の無計画妊娠をなくす全米規模のキャンペーン)によると(英語記事)、ティーンエイジャーの20%が裸の写真をシェアしたことがあります。40%近くが性的に露骨なメッセージを書いています。そして、自分の裸の写真をシェアしたことがあるティーンエイジャーの15%は、実生活で面識がなく、オンラインでしか会ったことがない人とシェアしたと認めました。
自分の性的な画像や言葉のせいで被害を受けた子どもがそのことを親に言おうとしない理由は、想像に難くありません。親の叱責や理解不足は、話をしようという気持ちを削いでしまいます。さらに、恥ずかしさや救われない気持ちは、傷つきやすいティーンエイジャーにとって大きなトラウマとなります。子どもたちの中には、セクストーションによって自殺に追いやられる子もいます(英語記事)。
保護者としては、このような手口があることを認識し、自分自身のセキュリティだけでなく子どものセキュリティについても意識する必要があります。セクストーションの被害に遭わないためにも、オンライン上での安全の基本ルールに従いましょう。
- ネット上では慎重な行動を。そして、堅牢で最新のアンチウイルス製品を使用しましょう。
- 裸の写真を撮る、シェアする、デバイスやクラウドサービス上に保存する、といった行為は厳に慎みましょう。あなたのアカウントまたは写真をシェアした相手のアカウントを、何者かがハッキングして写真にアクセスするかもしれません(2014年にセレブのヌード写真が流出した事件がありました)。要は、こういった写真がそもそも存在しないのが一番です。
- 2段階認証と強固なパスワードを使いましょう。オンラインのセキュリティに、この2つはアンチウイルス製品と同じくらい欠かせません。
- ソーシャルネットワークやチャットを通じて知らない人と会話するのは止めましょう。ネット上の友達とフォーラムやゲーム内チャットでやりとりする場合には、自分の身元を明らかにしないようにしましょう。子どものオンラインコミュニケーションについても、我が子がどういった通信手段で誰と話しているのか、目を配るようにしてください。
- セクストーションのこと、そしてご紹介した基本ルールのことを、親子で率直に話し合いましょう。性的な問題はなかなか話題にしにくいものですが、ティーンエイジャーは、不注意の結果、何が起こるのか知っておくべきです。