空飛ぶインターネット:誰のために、なぜ必要か

2016年8月12日

Facebookは先日、ソーラー発電で飛ぶドローン「Aquila」の初飛行の動画を公開しました。Aquilaは全翼機型のドローンで、ボーイング737とほぼ同じ幅の翼はソーラーパネルで覆われています。

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このドローンはソーラーパネルのほか、夜間の動力源となるバッテリーも備えており、ピラーにはプロペラを回す電気エンジンを4基搭載しています。機内コンピューターは、あらかじめ定義された軌道に沿ってドローンを航行させるだけでなく、地上との通信も担当しています。

機体の軽量化のため、ドローンには車輪が付いていません。離陸時には、ドローンを特別な台車に載せ、その台車を車に引っ張ってもらう必要があります。とにかく、重い荷物は運べないので、乗客や貨物の輸送手段としてはまったく役に立ちません。しかし、このドローンは別の使命をもって設計されたのです。

このドローンの最大の特徴は、長時間、無着陸で飛行できることです。今回の試験飛行で、Aquilaは90分以上飛行を続けました。プロジェクトの開発担当者によると、商用ドローンは数か月間にわたる飛行が可能で、保守のために時々着陸することになるそうです。

このドローンは、技術的には極めてシンプルです。空を飛ぶときは、エンジンのないグライダーと同じで、大抵は滑昇風に乗って上空に浮かびます。太陽電池には、ドローンに絶えず動力を提供し続けても余るほどの容量があります。

余ったエネルギーは、ドローンに搭載されている「業務に役立つ積み荷」(気象センサーやカメラなど)の電源として使われます。しかし、Aquilaの真の目的は、超低空飛行の衛星として、ネットワーク環境が整備されていない遠隔地にインターネット接続を提供することです。Facebookのドローンは衛星として地上局と接続されているだけでなく、他のクライアントデバイスや別のドローンとも航空レーザーで接続されており、この「中継」方式によって最寄りの地上局への効果的なアクセスを実現するのです。

このドローンと衛星との違いは、高度です。通常、衛星は地上数十万フィートの高さを飛んでいますが、Facebookのドローンが浮かぶのはほんの数千フィート上空であるため、安価で高速のデータ通信が可能です。たとえて言えば、衛星で遠隔地に接続を提供するのは、巨大なハンマーでクルミをたたき割るようなもの。接続を必要としているのは、熱帯雨林の奥地にある村々であって、アマゾン全域や南米大陸全体ではないのです。

ここで、GoogleのProject Loon(英語記事)にも触れましょう。簡単に言えば、気球に基地局を設置する計画です。Facebookのドローンと同じように、気球は加入者と無線でつながり、他の気球には無線信号を送ります。なお、気球自体はあまり移動せず、地上から見て同じ位置に固定されます。これには、前述の滑昇風を利用して気球を制御する機能が使われます。高度は気球内の空気を出し入れして調整されます。

気球の配置を担当するのは気球に搭載されたコンピューターで、このコンピューターが他の気球から必要な情報を取得しています。つまり、気流のデータを見ながら、ある大気圏内のゾーンに常に気球を停留させているのです。ここで、理解しておきたいのは、基地局はもはや静止している必要がないということです。移動中でも、モバイルネットワークとWi-Fiネットワークの両方にアクセスできますから。移動範囲が数マイル以内であれば、極端な狭ビームアンテナであっても、移動中の飛行体や気球を「認識」できるでしょう。Googleの気球は、2015年に行われた試験飛行が示したように、高度18㎞の地点で約100日間、充電せずに滞空可能であるはずです。

しかし、なぜ通信事業者ではなく、インターネット企業がこんなことをしているのでしょうか。通信サービスを提供するのは、通信事業者の仕事なのに。実は、先進国の人々はすでにインターネットに接続しています。これに対し、インターネットがほとんど普及していない僻地は、多くが第三世界諸国であり、電気などの生活に欠かせないインフラの整備が大幅に遅れています。ディーゼル発電機でバッテリーを充電することはできますが、いつでも利用できる電力はありません。

僻地の人々は貧しく、ネットワーク基幹に投資しようという通信事業者はいません。大金を投じても利益を見込めそうにないのですから。

ところが、FacebookやGoogleは、こういった人々を必要としています。会社をさらに成長させ続けるには、新規の利用者を獲得するしかありません。ですから、新しい接続が必要です。インターネットの普及率が高い地域の利用者はすべて獲得済みですから、新たな利用者を巻き込んで、一番の収入源であるオンライン広告の新規閲覧者にしなければなりません。

「情報格差」の底辺にいる人々に、インターネットを契約する余裕がないことははっきりしていますが、最終的には料金を払わずに済むことになるでしょう。これはテレビと同じ話です。テレビ放送は無料で提供されるのが普通ですが、TV局からすれば、商品、サービス、人々、アイデアを宣伝することで、結果的に放送インフラや番組制作に対する投資の回収率を上げることができます。

ここで想像してみてください。何億人もの新規利用者がSNSや検索エンジンの楽しさに目覚めたとき、インターネット企業が手に入れるであろう利用者情報の量を!これはまさに世界征服の思想です。これで世界レベルの権力を手中に集められるのなら、奇妙な飛行物体を使った常識外れに見えるアイデアを追求することは、生産性の高いアプローチに思えます。